「医療保険に加入していれば、傷害保険は不要」は本当?
MONEYPLUS / 2024年5月10日 11時30分
「医療保険に加入していれば、傷害保険は不要」は本当?
「傷害保険は医療保険に加入しているので不要」と考える方もいますが、大きなけがの場合、後遺症につながるケースもあります。医療保険とはちがう、傷害保険のメリットをお伝えします。
傷害保険にあって医療保険にない保障
傷害保険は、損害保険分野の商品ですが、相手に対する損害賠償ではなく、自分に対する保障です。生命保険分野の医療保険に近い商品ですから、一般的に「医療保険に加入していれば、あえて傷害保険に加入しなくてもいい」という意見もたくさんあります。
では、傷害、いわゆるケガの保障として医療保険でカバーできるのはどんな場合でしょうか?
ケガの治療のために入院をした場合
医療保険は入院したら日額を払うまたは、一時金を払う保障が基本ですから、ケガでも給付金は支払われます。ケガの治療のために手術をした場合
入院と同様にケガでも手術給付金は支払われます。医療保険の多くは、給付金額が若干少なくはなりますが、入院を伴わない外来の手術も対象になる場合が多いですから、医療保険でカバーできます。
反対に、医療保険ではカバーしきれない部分はどんな場合でしょう。
ケガをして通院のみで治療する場合
医療保険にも通院給付金がある商品はありますが、主に、入院治療後の通院やがん治療のための通院で、通院のみの治療費用を支払う特約はあまりありません。実際通院はしないが、長期間ギプス固定で生活をしなければならない場合
骨折などで入通院はしないが、ギプス固定の場合、医療保険では入通院の費用も手術費用も支払われないので、給付金はありません。
自転車転倒で打撲、骨折などなく、2日の通院で終了、のようなケガでは、治療費も多くはかかりません。すべてのリスクを保険でカバーしようとすると保険料がかさんでしまいます。ケガでも入院が伴う場合は入院費用が支払われますから、医療保険だけしっかり加入していれば、傷害保険不要という意見も間違いとはいえません。
高齢者の傷害保険
医療保険にしっかり加入していれば、傷害保険はなくてもカバーできそうだとお話ししてきましたが、60代以上の人の中には、更新型の医療保険に加入していて、更新後の保険料が高額になり、更新を断念してしまうひとが一定数います。入院給付金がない状態ということです。改めて医療保険に加入するには持病があり、加入が難しい方もいます。持病があっても入れる保険が各社から発売されていますが、保険料は割高ですし、どんな病気でも加入できるわけではありません。高齢になってから医療保険に加入するのはハードルが高いのです。
傷害保険が加入しやすいのは、告知がないことが理由に挙げられます。加入が制限されている職業が一部ありますが、医療保険に加入する時のような、体況に関する告知は不要です。また、年齢によって保険料が上がることもありません。商品により加入できる上限の年齢がありますが、上限まではどの年齢も保険料率が同じです。
例えば、65歳女性の傷害保険の保険料は、年額21,010円
補償内容 傷害死亡・後遺障害450万円 傷害入院保険金日額7500円 傷害通院保険金日額2000円 熱中症の入通院を補償する特約を付けています。
年間2万円程度の保険料でしたら、ケガのリスクが高まる60代にとっても、無理のない保険料ではないでしょうか。もし、医療保険に加入しにくい体況であるひとにとっては、ひとつ持っていていい保険だと考えます。
保険会社によっては、70代以上の高齢者の傷害保険は、日額型ではなく、ケガの部位によって保険金額が変わる商品もあります。基本金額を3000円とすると、捻挫5倍の15,000円、足の靭帯断裂40倍120,000円、腰部の骨折60倍180,000円、のように部位ごとに一時金で払うような商品です。
基本金額3000円 傷害死亡保険・傷害後遺障害保険300万円の保障で年額約25,000円。70歳未満より若干保険料が高く、補償内容も縮小されています。高齢者のケガリスクを考えるとやむを得ないかもしれません。
後遺障害保険金
傷害保険はケガの入通院の補償に加えて、ケガの死亡、後遺障害に対する補償がセットになっている場合がほとんどです。
突発的な事故によるケガでは、後遺障害状態になるケースもあります。後遺障害保険金は、被保険者が事故によりケガをし、その事故が直接の原因となり、事故の発生日から所定の日数以内に後遺障害が発生した場合支払い対象となります。
一定の治療が終わった後も、症状が残り、将来においても回復できない症状を後遺障害といいます。保険金請求にあたっては、症状の詳細がわかる医師の診断書が必要となり、医師の診断書に基づき、後遺障害等級表に定められた1~14等級(100%~4%)が決められ、その割合を後遺障害保険金額に乗じて支払います。
同じケガでも、高齢になると打撲や捻挫などで治まらず、骨折して後遺障害が残る可能性が増えます。傷害保険が生活の経済支援に役立つこともあるでしょう。
(寺田 紀代子)
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