ウクライナ:ドネツク州の事務所が攻撃を受け全壊──現地活動は一部停止へ
国境なき医師団 / 2024年4月6日 11時46分
ウクライナ・ドネツク州ポクロウスクで現地時間4月5日午前3時15分頃、国境なき医師団(MSF)の事務所がミサイル攻撃を受けた。建物は全壊し、MSFスタッフ1人を含む5人が負傷した。MSFは強い言葉でこの攻撃を非難する。
爆風で身体が浮き、地面に叩きつけられた
攻撃によりMSFは、ドネツク州での救急医療と救急搬送支援以外の活動停止を余儀なくされた。MSFの緊急対応コーディネーターのビンチェンツォ・ポルピーリアは、「今回の攻撃を1件の戦争被害として片付けることはできません。人道援助従事者が働く施設に対する攻撃は、スタッフの安全を脅かすだけでなく、援助を必要とする人びとへの医療提供を妨げることに直結するからです」と訴える。
負傷したMSFスタッフのエドゥアルド・マルチェンコは、攻撃発生時、事務所内にいた警備スタッフだ。彼は脳挫傷と頭蓋骨損傷と診断された。また当時、建物の近くにいた14歳の少年を含む4人が負傷したが、命に別状はなかった。
「爆風で身体が浮いたと思ったら、次の瞬間には波が打ちつけるように地面に叩きつけられました」と、マルチェンコは当時の衝撃を振り返る。
医療・人道援助活動の継続には安全と効率性の担保が必要
MSFは2015年からドネツク地方で医療を提供してきた。戦争の激化に伴い、最前線に近い地域にも活動を拡大し、現在、戦争と医療従事者の不足によって医療へのアクセスが困難となっている100以上の地域コミュニティに医療と心のケアを提供している。また、ドネツクおよび近隣地域で爆撃による多数の負傷者が出た場合に備え、救急車15台による救急搬送体制を敷いており、その点においてはウクライナ保健省もMSFに依存している。
今回の事件は、2023年11月、MSFが支援するヘルソン州とドネツク州セリドーブの病院が2度にわたる攻撃を受け、死傷者が出たことに続くものだ。MSFは今後も、ヘルソン、チェルカーシ、ビンニツァを含むウクライナの複数地域で医療援助活動の継続に全力を尽くしていくが、活動の安全と効率性は担保されなければならない。
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