東大などが開発する機器、NASAアルテミス計画の月面観測装置として採択
マイナビニュース / 2024年4月8日 13時8分
東京大学(東大)、学習院大学、岡山理科大学、東北大学の4者は4月4日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や海外の研究機関も加えて共同で開発を進めている「月面誘電率計測器」(LDA)が、NASAのアルテミス計画の「Astronaut Deployment Instrument」(宇宙飛行士持参の観測装置)に採択されたことを共同で発表した。
同成果は、東大大学院 工学系研究科の宮本英昭教授(同・大学大学院 理学系研究科兼任)、同・小林真輝人特任研究員、同・姫野武洋教授、学習院大の渡邉匡人教授、岡山理科大の新原隆史准教授、東北大の熊本篤志准教授、JAXAの臼井寛裕教授、同・西堀俊幸研究領域主幹らの国際共同研究チームによるもの。
NASAは現在、JAXAを含めた国際協力の下、1960~70年代のアポロ計画以来となる人類を再び月面へと送るアルテミス計画を進行中だ。NASAはアルテミスIIIにおいて、宇宙飛行士が月面に降り立った際に月面に展開する科学機器を世界中に公募しており、現地時間3月26日に、3つの科学機器を採択したことを発表。そのうちの1つが、宮本教授らの共同研究チームが提案していた、月面の誘電率を計測することを目的とした「月面誘電率計測器」(Lunar Dielectric Analyzer:LDA)だったのである。
LDAは宇宙飛行士により月面上に設置された後は、独立した小型基地のように月面で観測を開始する。月レゴリスの誘電率分布を測定することで、表面の土砂の密度(しめ固まり度合い)に関する情報を得ることができ、表面の温度変化に応じて、誘電率がどのように変化するかもあわせて確認することで、月面に氷が存在しうるのか、という問いに関連した基礎科学的なデータを獲得するとした。
今回のアルテミス計画は、アポロ計画のように国家の威信をかけて月に到達すること、そして科学的な活動(岩石の収集など)を目的とした短期間の一過性のものではなく、2020年代末から2030年代の月面に恒久的な有人活動拠点を建設する計画。月にはさまざまな資源がある可能性があることが過去の周回機などによる探査からわかっているが、将来的にはそうした月資源の採取も期待されている。
(波留久泉)
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