文学、風俗、政治……文化の交易地としての書店を巡る旅
NeoL / 2020年2月19日 12時4分
古来より、新しい文化や先進的な思想は本を通して世界中に拡散されていった。それゆえ、書籍を販売する書店という場所が、時には思想や文化の交易地として重要な意味を持つ存在となることがある。例えばヘミングウェイなどの文豪のサロンとなっていた「シェイクスピア・アンド・カンパニー書店」、東西ドイツの架け橋となった「カール・マルクス書店」もその一つだろう。街単位で見ても、選書や著者との交流などを通して地域で特別な役割を果たし続けている書店は今も多く、その意味は少しも衰えてはいない。
ホルヘ・カリオンの『世界の書店を旅する』は、世界各地に点在するユニークな書店に焦点を当てた紀行エッセイ。
本書に登場する書店の数は300近く、著者が訪れた国は五大陸に渡る。各章には「世界最古の書店」「政治的であるべく運命づけられた書店」といったテーマが選ばれ、旅や旅先での経験を通じて、書店の歴史をひもとき、「私たちにとって書店とは何か?」を問いかける。
各章のテーマごとに、書店と書店主、その店を贔屓にした作家たちが登場する文学、書店が舞台となった映画のタイトルが数多く言及される。建築や見た目の美しさだけでなく、「書店」という存在のみが果たしうる有機的な役割について、著者が訴えかけるものは大きい。
本書では、歴史的に大きな役割を担ってきた実店舗書店だけではなく、電子書籍の成り立ちやAmazonにも言及。書店の未来を考える上でも読んでおきたい1冊だ。
『世界の書店を旅する』
ホルヘ・カリオン
白水社
3520円
Amazon
関連記事のまとめはこちら
https://www.neol.jp/culture/
この記事に関連するニュース
-
「デザインはあいまいでよくわからない。」という人のための1冊。新刊『美大式 ビジネスパーソンのデザイン入門』
PR TIMES / 2024年5月16日 14時45分
-
黒鳥社初の翻訳書、ジョン・バージャー(著)、ジャン・モア(写真)『第七の男』5月15日刊行!
PR TIMES / 2024年5月15日 18時40分
-
イギリスにはなぜ未だに国王がいるのか?――『世界史のリテラシー イギリス国王とは、なにか ~名誉革命』で、一千年以上の長きにわたる「王権」と「議会」の絶妙な関係が見えてくる。
PR TIMES / 2024年5月11日 12時40分
-
現代思想の奇才、ウクライナ戦争以後の世界の「常識」の本質をえぐり出す。スラヴォイ・ジジェク『戦時から目覚めよ 未来なき今、何をなすべきか』発売
PR TIMES / 2024年5月10日 14時15分
-
世界的コーチによる新時代のリーダーの教科書『FLEX(フレックス) 柔軟なリーダーシップ 権威と協調を自在に使い分ける』発売
PR TIMES / 2024年4月21日 12時45分
ランキング
-
1有毒植物の“誤食”に要注意 死亡例も 農水省が注意喚起
オトナンサー / 2024年5月18日 20時10分
-
2煮物だけじゃない!スーパーフード並みの栄養価「切り干し大根」の意外な食べ方
週刊女性PRIME / 2024年5月18日 8時0分
-
3ヤマトHDを苦しめる「2024年問題」…大幅減益で株価も大幅下落(小林佳樹)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月18日 9時26分
-
4ワークマンの「機能的なサンダル」3選 2000円前後で買える、アウトドアでも活躍する優秀アイテム
Fav-Log by ITmedia / 2024年5月18日 9時55分
-
5「16時間断食のデメリット」無理なく克服する方法 脂肪のほかに「燃やされてしまうもの」を補う
東洋経済オンライン / 2024年5月18日 15時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください