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【南スーダン】自衛隊はPKOの任務激化に対応を――伊勢崎賢治・東京外国語大学教授に聞く

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月8日 16時3分



武装解除→援助の順序誤るな

――平和構築の問題とはどういう点でしょうか。

伊勢崎氏 構築する平和が無くなって困っています。昔は維持する平和が無いと言われていたのですが。シリアなどを見ていると平和構築を語れる事態ではない。フィリピンのミンダナオ和平では、和平合意前の時にも援助をすれば不満が減って、和平を達成しやすいというような平和ぼけの議論が日本ではされました。

 たまたまうまくいく例もありますが、それがその援助のおかげというのは、援助する側の自己肯定でしかありません。国際援助というのは、紛争当事者たちから平和に向けたより大きな政治的妥協を引き出すカードとして最後まで取っておくものなのです。最初からカードを切ってしまっては元も子もありません。

 和平前に道路などのインフラ整備をすれば、それは軍事作戦にも使えるし、人心掌握の作戦にも有効であることを忘れるべきではありません。DDR(Disarmament〈武装解除〉、Demobilization〈動員解除〉、Reintegration〈社会復帰事業〉)でも、この順番をはしょってRから先に、という意見もあります。それは間違いです。

――武装解除はどこに課題がありますか。

伊勢崎氏 国連がやる場合と米国がやる場合で全然違います。国連は一応紛争を終結させるために武装解除を行う。しかし米国の場合は、あくまで敵に勝つための投降作戦のような形になるわけです。私が関わったアフガニスタンでは、そうした事情が色濃く見えました。国連も入っていますが、米国の戦場です。ここでDDRをやるというのは米国のためにやることになります。非常に複雑な思いをしました。

 対テロ戦を戦うには、現地にかいらい政権をつくり、それを維持していかなければなりません。私たちは、タリバンやアルカイダより民衆を多く殺した戦争犯罪者である軍閥たちに、武装解除と引き換えに恩恵や政治ポストを与え、彼らは今でも政府に君臨しています。イラクも全く同じパターンです。結果、両国は、世界でも最も腐敗した政権になってしまいました。これが、米国・北大西洋条約機構(NATO)という最強の軍事力が、対テロ戦に勝利できない根本の原因です。

IS掃討後の停戦監視参加は日本も可能

――イスラム国(IS)がイラクとシリアで掃討される日がそう遠くない時期に来ると思います。その後のシリアの和平をどう構築すべきでしょうか。

伊勢崎氏 そういう時期がいつ訪れるかですね。ISが弱体化して小さな領域で住民を盾にとってこう着状態になる。その時までには、IS、ヌスラ戦線も少しは現実的になり、停戦合意、そして彼らを含めた反政府勢力、アサド政権との政治的な合意となるかもしれません。でも、その時には、先進国でのホームグロウンテロや、スンニ派の政治的グリーバンス(構造的な不満)が蓄積している他の国々、地域での活動が増大しているでしょうが。あるいは別のISが生まれているかもしれません。でも、そういう合意の想定と準備はしておかなければなりません。

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