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グローバルな「南」にも「北」にも「配慮」する南アフリカ...「新たな夜明け戦略」に突き付けられる難題とは?

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月11日 14時35分

ラマポーザが議長を務めるアフリカ民族会議の選挙ポスター。1994年の民主化以降の絶対的な与党だが、近年は勢いが衰えている WALDO SWIEGERSーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<パンデミック、そしてロシアによるウクライナ侵攻による経済的な打撃...。南とも北とも仲良くするラマポーザ政権が直面していること>

南アフリカの外交にとって、多忙を極めた夏だった。

同国は8月22~24日にヨハネスブルクでBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議を開催。約50カ国の首脳らを招いた拡大会合では、グローバルサウスからBRICSとの協働に期待する声が上がった。

議長を務めた南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は、「BRICSはグローバルサウスの擁護者になる」と宣言した。さらにアルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国が、来年1月1日に新たに加盟すると発表した。

思えば年初から忙しかった。1月にはロシアのセルゲイ・ラブロフ外相、アメリカのジャネット・イエレン財務長官、EUのジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表(外相)が相次いで南アフリカを訪れた。

特にラブロフの訪問と、2月下旬に南アフリカ沖合のインド洋沿岸でロシア、中国と3カ国で合同軍事演習を実施したことは、西側から非難を浴びた。

南アフリカは、ロシアのウクライナ侵攻を表立って批判していない。国連で非難決議の投票が行われるたびに棄権しており、ロシアへの暗黙の支持という見方もある。

しかし、こうした投票行動は外交政策の文脈に照らして考える必要がある。

1994年の民主化後に初代大統領を務めたネルソン・マンデラ以降、南アフリカの外交政策は5つの原則に沿っている。すなわち、パン・アフリカニズム、南南協力(開発の進んだ途上国が他の途上国を支援・協力すること)、非同盟、独立、進歩的国際主義だ。

このうち進歩的国際主義とは、与党・アフリカ民族会議(ANC)の定義によると、グローバルな連帯、社会正義、公平な発展、人間の安全保障などの追求を軸とする国際関係のアプローチを指す。

グローバルノースを挑発

マンデラの下で南アフリカは国際社会に復帰し、2国間および多国間関係を大幅に拡大した。マンデラは人権侵害に対する率直な発言で知られ、東ティモールやアフリカなどの紛争解決にも深く関与し、南アフリカは世界から友好的に迎えられた。

マンデラの後継のターボ・ムベキ大統領はアフリカの再生を掲げ、パン・アフリカニズムとアフリカの団結を呼び覚ますことを目指した。

2009年から9年間にわたって大統領を務めたジェイコブ・ズマは、平等、平和、協力を重んじるウブントゥ(他人への思いやり)の精神を重んじ、アフリカだけでなくグローバルサウスにも目を向けた。

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