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日本では出版されなかった日系ブラジル人の「デカセギ文学」が教えてくれること

ニューズウィーク日本版 / 2023年12月27日 13時0分

著者のサムに尋ねたところ、この歌詞は誰かが実際にカラオケで歌っていたものを書き留めたわけではなく、彼の創作である。

タイトルにしても歌詞の内容にしても、「きつい、汚い、危険な」3K労働に従事するデカセギ者の心情を、排便という比喩を通して強烈に匂わせることに成功している(なお、サムの作家論や作品論については、参考文献のイシ(2017)を参照されたい)。

[参考文献]
イシ、アンジェロ(2008)「デカセギ移民の表象:在日ブラジル人による文学および映像表現の実践から」鶴本花織・西山哲郎・松宮朝編『トヨティズムを生きる』せりか書房、88−98頁。
イシ、アンジェロ(2010)「在日ブラジル人による表現活動の戦略と意義─音楽家の事例を中心に」中川文雄他編著『ラテンアメリカン・ディアスポラ』明石書店、226−248頁。
イシ、アンジェロ(2017)「デカセギ文学の旗手でもなく、在日ブラジル人作家でもなく──日系ブラジル人のマルチクリエーター、シルヴィオ・サム」細川周平編『日系文化を編み直す──歴史・文芸・接触』ミネルヴァ書房、16−177頁。
イシ、アンジェロ(2021)「ブラジル出身のデカセギ日系移民による旅行記と〝旅〟の意味づけ:モーターサイクル・ボーイによる3K旅行と〝百年の旅路〟に着目して」『新社会学研究』第6号、新曜社、88−106頁。

アンジェロ・イシ(Angelo Ishi)
サンパウロ市生まれの日系ブラジル人三世。サンパウロ大学ジャーナリズム学科卒業。1990年に日本へ国費留学、新潟大学大学院および東京大学大学院を経てポルトガル語新聞の編集長を務めた。2011年より現職。専門は国際社会学、移民研究、メディア論。(公財)海外日系人協会の常務理事、各省庁の多文化共生関連施策の有識者会議の委員も歴任。共著に『日本人と海外移住』(明石書店)など。

『アステイオン』99号
 特集:境界を往還する芸術家たち
 公益財団法人サントリー文化財団・アステイオン編集委員会[編]
 CCCメディアハウス[刊]

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