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米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達した中国経済が昨年は3分の2まで縮小

ニューズウィーク日本版 / 2024年4月30日 18時21分

これに先立ち中国国家統計局は、2023年の中国経済の実質GDP成長率が5.2%を記録し、目標だった「約5%の成長」を達成したと発表していた。2024年についても、3月に開かれた全国人民代表大会(全人代)で5%前後の成長目標が設定されている。

しかし第1四半期のデータを詳しく見ると、輸出など幾つかのセクターの成長は主に1月と2月に達成されたものであることが分かる。これにより、パンデミック後の回復が遅れている中国経済の回復力を疑問視する声が上がっている。

中国の第1四半期の失業率は平均5.2%で、2023年のはじめ以降、5~5.3%の範囲内を推移し続けている。中国では、失業者の数を失業者と就業者の合計で割ることで、四半期毎の平均失業率を割り出している。特筆すべきは中国政府がこの計算において、人工の約3分の1を占める農村部の人々を除外していることだ。

IMFは2024年の中国経済の成長率について、政府が掲げる約5%を下回る4.6%程度にとどまると予想。また失業率は全体で5.1%になるとみている。

中国の経済統計については、故・李克強前首相をはじめとする多くの専門家が信頼性に疑念を表明してきた。

英オックスフォード大学中国センターのエコノミストであるジョージ・マグナスは、低迷する中国経済が今後、アメリカを追い抜くことができるかどうかについて、2020年以降、アメリカと中国のGDPの差が名目値で約5兆ドルから10兆ドルに拡大したと本誌に語った。

「アメリカの名目GDPは複利でおよそ6.75%、中国は同6%のペースで成長してきており、このままのペースが続くならば中国がアメリカに追いつくことはない」と彼は述べた。

名目GDPは物価変動の調整を行わずに、現在の市場価格で生産されたモノとサービスの価値を合計して算出したものだ。

中国経済はデフレをはじめとする複数の持続的な「逆風」に直面しており、アメリカに追いつけるチャンスはなくなりつつある。「今やGDPの米中逆転がまったく起こらない可能性の方が高まりつつあると言えるだろう」とマグナスは述べた。

嵐のなかに浮かぶハイテク島

それでも中国が世界をリードする幾つかの産業は、前四半期に大幅な成長を遂げた。たとえば電気自動車の充電ステーションの生産台数は41.7%、電子部品の生産量は39.5%増加した。

「中国政府は、『新たな質の生産力』が不動産やインフラに代わってGDP成長の原動力となることを期待しているが、これは非現実的な考え方だと思う」とマグナスは言う。「問題だらけのマクロ経済全体のなかに、技術的に優れた島々が浮かんでいる、と考えるほうが正しいイメージだろう」

世界銀行などの主要な金融機関のデータによれば、2023年、世界の2大経済である米経済と中国経済の差はますます拡大した。中国経済の規模は2021年には米経済の76%に達したが、2022年にはそれが70%に縮小。2023年には米経済のわずか3分の2程度にまで縮小した。

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