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ゴルフが下手な人は「手首の筋力」が足りない…なめらかなスイングが実現する10秒トレーニング

プレジデントオンライン / 2023年10月9日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Matt_Brown

ゴルフの上達にはなにが大事なのか。理学療法士の笹川大瑛さんは「“棒状のもの”を振るときは、手首の機能が重要な役割を果たしている。手首を鍛えればクラブをしっかり固定し、イメージ通りの動きができるようになる」という――。

※本稿は、笹川大瑛『運動能力が10秒でもっと上がる [ビジュアル版]サボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「振る」だけで手首は複雑な動作をしている

バット・クラブ・ラケットなどの“棒状のもの”を両手で持って振るとき、手首はかなり複雑な動きをしています。「右打ち」の人の右手なら、①振り出しからインパクトまでは「手のひらを上に向ける動き」、②インパクトの瞬間は固定&安定、③その直後からフォロースルーでは「手のひらを下に向ける動き」をしています。しかも、このときの左手のほうは、同時に正反対の動きをしています。

このときに使われているのが、橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)と尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)です。前腕には、ひじから手首の範囲に「2本の長い骨」があります。それらのうち、外側(親指側)にある長い骨が橈骨(とうこつ)です。そして、その橈骨に沿うように伸びているのが「橈側手根屈筋」という筋肉で、手首・指の親指側を支えています。

また、前腕にある「2本の長い骨」のうち、橈側手根屈筋とは反対、つまり内側(小指側)には尺骨(しゃっこつ)という長い骨があり、その尺骨に沿うように伸びているのが「尺側手根屈筋」です。こちらは、手首・指の小指側を支えています。

■スイングの流れが改善する

橈側手根屈筋は、手首の安定はもちろん、右手の手首を内向き(反時計回り)にひねる(下に向ける)動作をする際にも働く筋肉です。そのため、きちんとトレーニングすると、上記したスイングの流れでの「右手の②と③」「左手の①と②」の動きの質が必然的に向上し、ひじに余計な負荷をかけずにも済むのです。

笹川大瑛『運動能力が10秒でもっと上がる [ビジュアル版]サボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)
笹川大瑛『運動能力が10秒でもっと上がる [ビジュアル版]サボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)

橈側手根屈筋の主な機能は、つまむ・挟む・つかむなどの親指と人差し指の「ピンチ動作」、手のひらを下に向けるといった手首から前腕の「回内」、手首を曲げる「掌屈」です。

この筋力を高めるメリットは、

・テニスのトップスピンショット・ゴルフのドローショットの質が向上
・ひじの外側の痛み(テニスひじ)やケガの予防・改善に有効
・手首から前腕を「内側(親指側)にひねる」「固定する」力が向上
・打撃時のミート、テニスのフォアハンドの強さ・正確性が増す

【図表1】橈側手根屈筋の主な機能
出所=『運動能力が10秒でもっと上がる [ビジュアル版]サボリ筋トレーニング』

■手首を鍛える「10秒トレーニング」

上記でご説明したメカニズムによって、振る力&ボールを打つ力は当然強くなり、正確性も高くなります。特に、橈側手根屈筋が右手の手首を内向き(反時計回り)にひねる(下に向ける)ときにメインで働く筋肉であることを考えると、テニスのフォアハンドで打ち返すときなどに、相手からのボールの勢いに負けず、さらに従来以上のクオリティーのトップスピン系のショットを生み出しやすくなります。

また、野球のバッティングでもボールに押し込まれにくくなり、ゴルフならドローショットの質が上がりやすくなります。

「こうやって振りたい、打ちたい」と考えていた動きをそのまま実現でき、これまでよりワンランク上のパワーと正確性、ボールの回転などを生み出せる状態になるわけです。

【図表2】橈側手根屈筋トレーニング
出所=『運動能力が10秒でもっと上がる [ビジュアル版]サボリ筋トレーニング』
手首・指の内側(親指側)を支える力を効率的にアップし、「打ち負けないスイング」を獲得する!

1.脇を締めて手を「グー」にする
肩幅程度に両脚を開き、右の脇を締めながら、手を「グー」の形にする。特に親指、人差し指、中指を強く握る。

2.手首を真下に曲げる
手首を手のひら側に向けて真下に曲げ、その状態を10秒間キープ。左腕でも、同様にトレーニングする。

■指周りを鍛えればひじのケガ予防にも

振力をいっそう高めるには、指周りのサボリ筋「尺側手根屈筋」のトレーニングも欠かせません。尺側手根屈筋の主な機能は橈側手根屈筋と近いですが、こちらは手のひらを上に向ける「回外」を強くすることができます。

この筋力を高めるメリットは、

・手首を「外側(小指側)にひねる」「固定する」力が高まる
・ひじの内側の痛み(野球ひじ・ゴルフひじ)やケガの予防・改善に有効
・ゴルフクラブ・バット・ラケットを握る力、握力が高まる
・打撃時の引き手、ゴルフショットのフォロースルーの質向上
・ゴルフのフェードショット、テニスのスライス&カット系ショットの質が向上

【図表3】尺側手根屈筋の主な機能
出所=『運動能力が10秒でもっと上がる [ビジュアル版]サボリ筋トレーニング』

尺側手根屈筋のほうは、手首の安定はもちろん、右手の手首を外向き(時計回り)にひねる(上に向ける)動作の際にメインで働く筋肉です。そのため、きちんとトレーニングすれば、上の写真のような両手でのバックハンドを打つ場合に、「振り出しからインパクトまでは左手」「インパクト直後からフォロースルーでは右手」の尺側手根屈筋がきちんと機能し、インパクトの瞬間は2つの筋肉で手首をしっかり固定できるようになります。

同じ体勢でシングルハンドで打つと、インパクトの瞬間と、その直後からフォロースルーのパワー&質の向上が実感しやすいでしょう。

■添えている左手はスムーズに動いているか

では、ゴルフのショット・野球のバッティングで、「右打ち」をするときの動きと、尺側手根屈筋の関係も見ておきましょう。

注目したいのは、左手の動きです。野球でもゴルフでも重要性をよく指摘されている引き手・フォロースルーの動きを、スムーズかつ安定して行うには、尺側手根屈筋が担う「左手の手首を外向き(反時計回り)にひねる(上に向ける)」という働きがポイントになっているとよくわかるはずです。

また、尺側手根屈筋のトレーニングを行うと、特に手の小指・薬指の力と機能がアップするので、握力が強くなっていきます。これが、バット・クラブ・ラケットを握って振るスポーツにメリットがあることは、説明するまでもないでしょう。

【図表4】尺側手根屈筋トレーニング
出所=『運動能力が10秒でもっと上がる [ビジュアル版]サボリ筋トレーニング』
手首・指の外側(小指側)を支える力を効率的にアップし、打つ球を強く正確に飛ばせるようになる!

1.胸の前の高さで手を「グー」にする
肩幅程度に両脚を開き、右腕を軽く曲げ、胸の前の高さで手のひらを前方に向けてから「グー」の形を作る。特に小指、薬指、中指を強く握る。

2.手首を真正面に曲げる
手首を手のひら側の前方真正面に曲げ、その状態を10秒間キープ。左腕でも、同様にトレーニングする。

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笹川 大瑛(ささかわ・ひろひで)
理学療法士
一般社団法人 日本身体運動科学研究所 代表理事。教育学修士。剣道六段。日本大学文理学部体育学科卒、日本大学大学院(教育学)卒。関節の動き、運動能力の向上やスポーツが上達する方法を科学的に研究する、運動科学の専門家。臨床経験や独自の研究を経て、サボリ筋を鍛える「関節トレーニング」を考案。体の動きが劇的に変わると評判を呼び、関節痛の改善・予防のほか、アスリートの運動能力向上にも貢献。「運動を通じてカラダが動く喜びや感動・可能性を提供する」を理念に、トレーニング指導や指導者の育成に尽力している。

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(理学療法士 笹川 大瑛)

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