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「昇進するにはどうすればいいですか」上司への要求が多い堅調部下に効果てきめんのA4ペライチ改善計画

プレジデントオンライン / 2024年1月29日 11時16分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nuthawut Somsuk

社員の昇進昇格や給与の判断材料となる会社の人事評価は、人が人をジャッジする行為だ。そこにはどうしてもバイアスが発生してしまい、全員に公平な評価を下すことが難しい。40年以上のロングセラー本『マネジャーの全仕事』から、マネジメント層がどのような点に注意しているかを紹介しよう――。(後編/全2回)

※本稿は、ローレン・B・ベルカー、ジム・マコーミック、ゲイリー・S・トプチック『マネジャーの全仕事 いつの時代も変わらない「人の上に立つ人」の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■人事評価以外の時期にできること

部下の評価のやり方のひとつに業績に課題のある部下をサポートする改善計画のツールがある。これはコピー用紙を三つ折りにして、「強み」「改善すべき点」「目標」と書いただけのシンプルなツールだが、さまざまな状況で部下のマネジメントに使えるはずだ。

堅調な仕事ぶりの部下が「昇進するためには何をすればいいか」と相談してきた場合などは、このペラ1枚の改善計画の出番である。本人の望むポジションに選ばれなかった部下への対応にも活躍するはずだ。向上心に満ちた真剣な部下をサポートすることに、マネジャーとしての喜びを感じるだろう。

こうした業務貢献度の高い部下が自分の部署にいてくれるのは非常にありがたいが、上司への要求も高いことは多い。A4ペラ1枚の業務改善計画ツールを活用して、その部下が引き続き自分の部署で、キャリア上の成長ができるよう、目標に向けた支援を行いたいものだ。

■「いつでも声をかけて」とは言うけれど

「いつでも声をかけてね」と、あなたは部下に繰り返し伝えているだろう。だが、部下がこの言葉の真意を知るのに、そう時間はかからない。

「いつでも声をかけてね、ただし難題は持ち込まないでくれよ」という意味もあれば、「いつでも声をかけてくれていいけど、昇給や昇進の談判はしないでね」と受け取る人もいるだろう。「いつでも声をかけてくれていいけど、個人的なトラブルの話はやめてくれ」というのもあるかもしれない。部下はすぐ真意に気づくものだ。

「部下に好かれるつもりはない。敬意さえあればいい」などと言い出すマネジャーもいるだろう。だが、敬意を持たれるためには、まず好感を持ってもらうほうが早いのではなかろうか。

業績評価の面談は、部下が思っていることを自由に話してもらう良い機会だ。お互いに心を開いてコミュニケーションができたほうが、仕事でも上手にやっていけるだろう。

■主観によるバイアスを自覚する

部下のことはできる限り客観的に見て、平等に接するべきだが、残念ながら、人間はそのようにはできていない。人にはバイアスがあり、他者への評価にもそれが影響する。

部下の中にもお気に入りができてしまう。それ自体は当たり前のことだ。ただし、個人的な好き嫌いは業績評価から排除せねばならない。また注意したいのが、一緒にいて楽しい気の合う部下を、必要以上に手厳しく評価しがちなことだ。評価の際には、定量データや数値を活用して、主観が混じり込まないようにしよう。

マネジャーにありがちなのが、「ハロー効果」(後光効果、光背効果)によるバイアスだ。たとえば、評価対象の部下には5項目の目標を設定しており、そのうちの1つは部署のエラー率を5%削減することなのだが、これがあなたにとって他の目標より重要だったとする。

部下がその目標を達成している場合、あなたがその部下を見ると、天使の後光(ハロー)のように光り輝いて見える。このハロー効果で目がくらんで「この部下には何も悪いところはないはず」と思い込んでしまうのだ。

ハロー効果が起こると、他の項目についても評価が甘くなりやすい。生活のどんな場面でもハロー効果は起きる。たとえば学校で担任の教師が理科を好きだとすると、理科が得意な生徒の頭に後光(ハロー)が見えてしまい、数学や歴史でも高い評価をしがちになる。理科ができるせいでバイアスが生まれているのだ。

オフィスで話しているグループ
写真=iStock.com/imtmphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imtmphoto

ハロー効果の逆は「ホーン効果」(悪魔効果)と呼ばれている。部下がエラー率を削減できなかったとすると、頭に悪魔の角(ホーン)がついているように感じるわけだ。他のことでよい仕事をしていても、マネジャーの眼からは、たいしたことがないと判断される。その部下には悪魔の角(ホーン)があるからだ。

さらに「新近効果」というものもある。マネジャーも人間なので、最近起きたことをよく覚えているものだ。だから、評価を気にしている部下は、評価が6月1日に行われるとわかっていれば、特に4、5月に仕事を頑張ればよい。これは、豪華なプレゼントが欲しいからクリスマスが近づくと行儀がよくなる子どもと似た行動だ。この影響を避けるためには、評価対象期間を通じて記録をつけ、文書として保管しておくことだ。

マネジャーの主観を左右する心理的バイアスには、「厳格化傾向」もある。完璧な部下などおらず、誰もがより良い仕事をできる余地があるはず、とマネジャーは考えがちである。この考え方自体に異論のある人は少ないだろう。

だが、この考えのせいで、部下に「優」などの最高評価を絶対につけないマネジャーがいるのだ。この行動は論理性を欠いており、しかも部下の士気を下げてしまう。目標を大幅に超えて達成し、非常に高水準で業務ができた部下には、最高評価をつけるのが当然だ。

この手の上司は部下にベーブ・ルースがいても最高評価をつけないだろう。子どもがクラスで最高点の99点を取っても、親がそれを褒めずに「どうして間違ったの?」という例を聞いたことがあるだろう。この親は「厳格化傾向」に嵌まり込んでいる。満点を取るよう子どもに発破をかければ成績は伸びると信じているのだろうが、子どもの受ける心理的ダメージを考えるべきだ。

■よく把握していない社員の評価が「真ん中」になりがちな理由

ローレン・B・ベルカー、ジム・マコーミック、ゲイリー・S・トプチック『マネジャーの全仕事 いつの時代も変わらない「人の上に立つ人」の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
ローレン・B・ベルカー、ジム・マコーミック、ゲイリー・S・トプチック『マネジャーの全仕事 いつの時代も変わらない「人の上に立つ人」の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

業績評価を左右する主観やバイアスには、もう1つある。新米マネジャーや、部下のことをまだ把握できていない上司に多い「中心化傾向」だ。たとえば最低1から最高5までの5段階で評価するとしよう。

部下の目標設定をしていなかった、四半期ごとの振り返りができていなかった、業務記録をつけ忘れていたなど、マネジャーが課題をサボっていたせいで、どういう評価をつけるべきか自信がないとき、真ん中あたりに評価をつけるという雑な仕事をやりがちだ。マネジャーが仕事をしていれば、部下は別の評価点だったかもしれないのに、ひどい話である。

部下を「中心化傾向」の犠牲にすることは、自身のマネジャーとしての信頼性を傷つける行為であり、「部下はどうでもいいから、査定のためにわざわざ資料確認をするまでもない」というメッセージが部下に伝わってしまう。

(ローレン・B・ベルカー、コンサルタント、エグゼクティブ・コーチ ジム・マコーミック、ゲイリー・S・トプチック)

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