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疲れて休憩していたら「それ絶対亜鉛不足よ」…人に嫌われる"失敗コミュニケーション"の3パターン

プレジデントオンライン / 2024年4月5日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

相手に嫌な印象を与えてしまう話し方にはどんな共通点があるのか。コミュニケーションコーチの小林音子さんは「具体的には、自分の話ばかりをすることや、相手を都合よく動かそうとする話し方、よかれと思ってアドバイスをする話し方がある。自分の承認欲求に無自覚なことが原因だ」という――。

※本稿は、小林音子『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■承認欲求のマネジメントでコミュニケーションは変わる

承認欲求に注目すると、会話の中で自分や相手のマインドが見えてきます。自分の承認欲求をマネジメントするためには、まずは無自覚の欲求に気づく必要があります。

無自覚から自覚に変わるだけでコミュニケーションは変わり始めます。承認欲求のマネジメントを始めるために、「承認欲求をマネジメントできていない5つのNG例」を見ることで自分自身の経験を振り返り、メタ認知をしてみましょう。この記事ではNG例1~3を紹介します。

■「会話ジャック」は相手を考えていない行為

【NG1】自分の話ばかりをする

いわゆる「会話ジャック」と呼ばれている行為です。「自分の話を聞いてほしい」という承認欲求を抑えきれないことから生じてしまいます。人が何かを話している途中で話の主導権を自分側に奪ってしまったり、自分の話にすり替えたりしながらトータル的に自分の話ばかりする行為です。

また、会話ジャックは、自分が話したいことを言わなければと必死になっていて、相手の話を真剣に聞いていないときにも起きます。自分の話ばかりして人の話を聞かない、自分の話をするときはイキイキと話すが、人の話を聞くときはスマホをいじっていたり、つまらなそうな態度を取ったりするのです。皆との会話の時間を自己中心的な時間として独占しているのです。

自分の話したいことを話してはいけないわけではありません。しかし、話す時間配分とタイミングの取り方は重要です。人には誰もが「自分の話を聞いてほしい」という欲求があるためです。それなのに自分のことばかりを話してしまうのは、相手のことを考えていないことになります。

コミュニケーションを取るときには、「相手が話す時間」と「自分が話す時間」の配分とバランスを慎重に考慮しなければなりません。自分ばかりが一方的に話してはいけませんし、かといって相手ばかりに話させてもいけません。ただ、どちらかと言えば、相手に多めに話す時間を提供するくらいの気持ちでいるとちょうどいいでしょう。

■「相手6割:自分4割」で話すことを目指す

たとえば「今度3人で会って近況報告を兼ねた女子会でもしない?」と誰かが声をかけて、実際に3人がカフェなどに集まったときに、「ねえねえ聞いてよ」と1人が恋人との別れ話を始めました。

やがて2時間ほど経ち、「2人は最近どう?」と尋ねたときに、別の1人が「ずいぶん長居しちゃったし、そろそろ帰るわ」と言いだしたとします。この場合、失恋話をした彼女は気持ちがスッキリしたかもしれませんが、他の2人には全く近況報告をする時間が与えられなかったので、「貴重な時間をひとり占めされた」と思われても仕方ありません。自分の別れ話に夢中になっていた彼女は、相手のことを全く考えていなかったのです。

会話によるコミュニケーションを取るときには、気持ち的には相手6割に対して自分が4割話すくらいを目指しましょう。もっと好かれたいという場合には、相手が8割で自分が2割くらいを目指します。

先程の例のように、3人で会話を行うのであれば、単純に自分の話す量を3分の1にするのではなく、自分は5分の1、他の2人がそれぞれ5分の2になるくらいを目指し、どちらかというと、話すより傾聴する姿勢に重心を置くと、好感を持たれやすくなります。

このような時間配分を行えるようになるためにも、自己中心のマインドではなく、相手のことも考えるマインドを持ちましょう。話す時間を一人で独占しないことや、他の人の話を聞く時間を自分だけの時間にしないように気をつけましょう。

飲み物を飲みながら話をする3人の女性
写真=iStock.com/koumaru
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/koumaru

■「その日ね、私の誕生日なの」と言ってくる友人

【NG2】相手を都合よく動かそうとする

ある日、友人と過ごしているときの別れ際に、友人が「◯月◯日の夜、空いてる?」と尋ねてきました。特に予定はないと答えると、「その日ね、私の誕生日なの」と言ってきました。

このような会話の流れであれば、あなたは「それじゃあ、誕生日をお祝いしなくちゃね。ご飯でも行く?」と言わないといけない雰囲気になりますよね。すると友人は、「え、いいの?」などと驚いて見せるかもしれませんが、どう見ても、その友人は最初からお祝いしてほしい感を出していました。

この場合、友人は満たされたかもしれませんが、あなたは複雑な気持ちです。無理やり言わされたという気持ちが残るためです。あなたは、友人の承認欲求を満たす対象に選ばれた可能性があります。友人は、自分が祝われている絵が欲しかったのかもしれません。

もしかすると今どきなら、レストランであなたと乾杯している写真を撮ってSNSにアップするかもしれません。「お友達に誕生日をお祝いしてもらいました!」とコメントを入れて。あなたに誕生日を祝わせるだけでなく、人から祝福されている自分を演出し、SNSのフォロワーにも承認されたいという計画があるのかもしれません。

■人をコントロールしようとすると嫌われる

そのようなゴールがあるなら、レストランもある程度高級感があるお店を選ばされ、さらに、あなたはご馳走までしなくてはいけない状況に置かれる可能性もあるのです。

これは、強すぎる承認欲求で自分が理想の主役でないと気が済まず、よこしまな心でストーリーを計画してしまった状態です。つまり、このエピソードは、自己中心のマインドで人をコントロールしようとすると嫌われる、ということをお伝えしたかったのです。

誰かに何かしてほしいと思うこと自体は悪いことではありません。直接してほしいことをお願いしたり、相手が自ら望んでしてくれたりすること自体は、相手に不快感を与えていませんので、コミュニケーション上、何も問題は生じないのです。

しかし、相手が望んでいないにもかかわらず、望むことを強制し、そうしたいと言わせたり、行動したりするように仕向ける自己中心のマインドは、嫌われることになります。つまり、相手のことを考えずに自分だけが得をしようとするマインドでコミュニケーションを行えば、嫌われる可能性が高まるのです。

■合コンで「ほら、いつもの話をしてよ」と合図する友人

もう一つ例を出しましょう。Fさんは何人かの友人たちと合コンに参加しました。会の中盤でGさんがFさんに何か言いたそうにしています。「ほら、いつもの話をしてよ」と合図してくるのです。それは、Gさんがいかにお料理上手で家庭的な女性なのかを印象付けるための定番のネタです。

ワインで乾杯をする人たち
写真=iStock.com/AsiaVision
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AsiaVision

Fさんは心の中で、「え、またあの話をさせられるの?」と気が進みません。なぜなら、その話を切り出すには不自然すぎるタイミングでしたし、Gさんを持ち上げるだけで、他の誰も楽しくありませんから。

しかし、Fさんが躊躇していると、Gさんが「いつもFさんって私の作ったお弁当を褒めてくれるから嬉しくって……」と話題を持ち出してきました。Fさんは話さざるを得なくなり、定番ネタでGさんが料理上手なことを褒めました。この場合も、Gさんの自己中心的なマインドは、Fさんに見抜かれています。もしかしたら他の友人や合コン相手の男性たちからも違和感を持たれているかもしれません。

■素直にお願いしていたのなら、まだよかった

このとき、GさんはFさんから話題を選ぶ権利を奪っており、どうしても嫌われてしまうのです。たとえばGさんが、合コンの前にFさんに「途中であの話をしてくれる? お願い!」と素直にお願いしていたのなら、まだよかったのです。これは人をコントロールしたのではないからです。もちろんお願いされたFさんにはGさんを「褒めるネタ」を話さないことを選ぶ権利もあります。

そして「話す」「話さない」のどちらを選んだとしてもGさんはFさんを怒ったり、無理に言わせたりすることはやめておいたほうがいいでしょう。このように、同じお願いをするにしても、相手の意思や行動を尊重せず、自己中心のマインドで強要すると嫌われることになります。

■「自分が優位に立つため」のアドバイスをしている

【NG3】よかれと思ってアドバイスをする

アドバイスとは、助けを必要としている相手に助言を与えることですが、注意が必要です。

人は他人にアドバイスをするとき、いつの間にか「自分が優位に立つために」アドバイスをしていることがあるからです。

無闇にアドバイスをするのは、マウントを取ろうとしていると判断されたり聞き手がすでに知っていることであれば軽視されていると感じ、嫌われる原因になってしまいます。

あるとき、あなたは緊張感の高い仕事が続いたせいで疲れており、オフィスの休憩コーナーで一息入れていました。すると同僚の一人も休憩にやってきて、あなたの顔を見るなり「お疲れみたいね」と言います。

あなたは「そうなの、今週忙しくって――」と、この1週間、いかに張り詰めていたのかを話そうとしましたが、同僚が間を置かず話し続けます。「それ絶対亜鉛不足よ。だから亜鉛が含まれている◯◯や◯◯を食べるか、サプリの◯◯を飲むといいわよ。それから毎日の睡眠時間は最低でも◯時間は取らなきゃ駄目よ。ベッドに入る30分前くらいには温めのお風呂にゆったりと入ってね。それから――」

同僚は知っている限りの知識をすべて話そうとしているようです。あなたがなぜ疲れているのかには全く関心がありません。あなたはただ、どれだけ大変だったかを聞いてほしかっただけなのに。

オフィスで話をする女性
写真=iStock.com/ljubaphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ljubaphoto

■相手のマインドに興味がないことが伝わっている

確かに心配してくれて始まった会話ですので同僚は本当に心配はしてくれているのだと思います。しかし、気がついたら単なるうんちく自慢になっていますし、話を聞いているうちにあなたよりも知識を持っていることを示してマウントを取ろうとしているようにすら思えてきます。

小林音子『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)
小林音子『アメリカの中高生が学んでいる話し方の授業』(SBクリエイティブ)

同僚が自己中心のマインドでコミュニケーションを取ろうとしているために、あなたを余計疲れさせる状況になってしまったのです。この例のように、自分の知識自慢をしてしまうのは、相手よりも自分のほうが知識において勝っている、優位に立っている、そしてそのことを自慢して相手に感心してほしい、褒めてほしいという承認欲求があるためです。

そしてなぜ、相手から頼まれてもいないのにアドバイスをすることが嫌われてしまうことになるのかというと、実は相手のことを理解しようとしていない、相手のマインドに興味がないことを表してしまうからです。

自分の気持ちや考えをあからさまに無視されれば、誰でも良い気分はしません。ですから、求められてもいないのにアドバイスを行うことは自重しましょう。いわゆる「余計なお世話」になってしまいます。それよりも、まずは相手が聞いてほしいと思っていることに耳を傾けるようにしましょう。

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小林 音子(こばやし・おとこ)
コミュニケーションコーチ
TEDxスピーチトレーナー、エグゼクティブメディアトレーナー。オリオンズベルトグローバル代表取締役。俳優。コミュニケーションにおけるマインド、言語表現、非言語表現の3つの観点から「自己理解」を深め、「伝える技術」が向上するメソッドを確立。アメリカでコミュニケーションのスクールを複数回視察し、得た知見をメソッドに取り入れる。TEDxスピーカーやビジネスパーソンをはじめ、講師、学生、俳優、タレントに至るまで多様な分野の方に「表現力」のトレーニングを提供。メディアコーチとしては、政界や経済界のエグゼクティブ、広報担当者にメディア対応に必要な技術をコーチング。コミュニケーションコーチとしては、子供からシニアまで幅広い年齢層に向けて「話し方」「聞き方」の基本から、受験・就職面接対策、お見合い対策などをコーチングする。多角的に執筆・講演・ビジネストレーニングを手掛けている。

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(コミュニケーションコーチ 小林 音子)

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