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ポイントカードは「節約」ではなく「出費」の象徴…「ポイ活」をやめたら月2万円の節約になった理由

プレジデントオンライン / 2024年5月1日 8時15分

写真=iStock.com/BBuilder

出費を減らすにはどうすればいいか。家計アドバイザーの下村志保美さんは「ポイントカードは割引などがあってお得に見えるが、お金を使えば使うほど増えていく出費の象徴でもある。私の場合、ポイントカードを厳選することで1カ月の食費と日用品の支出を2万円節約できた」という――。

※本稿は、下村志保美『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

■「節約」=「安いものを買う」ではない

さていよいよ、部屋の中のみならず、家計、お財布といった「お金」の整理整頓の仕方も学んでいきましょう。まずは節約の意識から見直してほしいのですが、節約とは、予算の中から本当に必要なものだけを吟味することです。

近年、節約に結びつけて特売やセールが盛んに行われていますが、安売りと節約はイコールではありません。片づけが苦手なお宅へお邪魔すると、節約することと、安いものを買うことを混同されている方が多いなと感じます。

いくら安くても、必要のないものを買っていたら、それは浪費になります。「お得や特売を活用しているはずなのに、なぜか家計に余裕がない」という人は、節約のつもりが、思わぬムダ遣いや予算オーバーにつながっているのかもしれません。

■レシートを溜めても紙ゴミになるだけ

とあるお客様の家に伺った時のことです。「下村さん、これはどうしたらいいでしょうか?」と彼女が差し出してきたのは、大きな紙袋3つ分のレシートでした。「家計簿をつけようと思って溜めていたレシートなんですが、結局、家計簿自体は早々に挫折したものの、レシートだけを集め続けてしまった」とのこと。

紙袋からレシートを取り出してみたら、「いつのお買い物?」というぐらいの古いレシートだらけでした。中には、印字が薄くなってプリントしてある値段が読めなくなってしまい、もはやただの紙ゴミと化しているものもたくさんありました。

結論から言うと、レシートを集めて家計簿をつけるだけでは、お金は貯まりません。貯まる家計とは、収入が支出を上回る家計。収入から支出を引いた金額が貯蓄となります。

つまり支出が減れば貯蓄が増えますが、すでに使ってしまったお金の記録であるレシートを集めてもお金は増えません。レシートを溜めることで「節約行動」をしているような気持ちになる分、むしろ逆効果かもしれません。

■家計管理の肝は「予算オーバーしないこと」

キャッシュレス化が進んでいる今、家計管理におすすめなのはクレジットカードや電子マネーの活用です。利用履歴を見れば、今月いくら使っているか一目でわかります。

家計と自分の小遣い、家計と仕事のように、複数に分けて考えたい方にとっても、クレジットカードや電子マネーを使い分けるとシンプルで便利。例えば私はSuicaを2枚持ち、仕事用と家計用とで使い分けています。

家計管理でもっとも大切なことは、食費にいくら使った、トイレットペーパーにいくら使った……という細かいことではなく、生活費としてどれくらいかかっているか、娯楽費としてどれくらい使っているのかなど、項目ごとの金額を知り、予算オーバーをしないことです。

毎月の予算10万円の家計の中で、ある月は生活費8万円・娯楽費2万円、次の月は生活費5万円・娯楽費5万円だったとしても、トータルで10万円に収まっていればOK。細かく完璧にやろうとすればするほど家計簿をつけることが目的になってしまい、しんどくなって続きません。

予算を決めるために、最初だけは家計簿をつけることが必要になることもありますが、その時も古い買い物を遡(さかのぼ)らず、最近の買い物から始めることがコツです。

■できるだけラクに、気楽に節約する

節約や家計管理、貯金は“苦行”ではありません。家計簿やレシートにこだわる人は、ある意味、真面目で几帳面(きちょうめん)な人とも言えるでしょう。実はお金がなかなか貯められない、節約がうまくいかないという人の中には、こういった“真面目すぎて、本来の目的を見失ってしまう”という人も少なくありません。

節約や貯金は「収入」の中から「貯めるお金」と「使うお金(予算)」を分け、予算内に収め、手元に残るお金を増やしていく行為です。その目的を達成するために、自分にとってもっともシンプルなやり方を選び、仕組み化すればいいのです。

家計管理も片づけも、完璧を目指す必要はありません。「できるだけラクに、決めた枠をはみ出さなければいい」と思えば、気楽に向き合っていけそうな気がしませんか?

■「お金持ちの財布」は中身がスッキリ

突然ですが「お金持ちの財布」と聞いて、どんな財布を想像しますか? ブランド物の長財布でしょうか。きっとていねいに使われていて、中身もスッキリしているイメージではないでしょうか。

お金持ちのお財布の中には、余計なものが入っていません。必要なものがすぐ取り出せて軽いのです。使っていないポイントカードや特典目当てで入会したクレジットカード、大量のクーポン、古いレシート、あふれんばかりの小銭でパンパンのお財布はお金持ちの財布から縁遠いものです。

まずはお金持ちの財布を真似してみましょう。といってもブランド財布を買うのではなく、財布のゆとりを真似するのです。クローゼット同様、「お金」に財布の中でゆったりくつろいでもらえるようファーストクラス、ビジネスクラスの考え方で整えていきます。

クレジットカードは普段持ち歩くのは1〜2枚で充分なはずです。カードのポイントを貯めたいのであればライフスタイルに合っていて、効率的に貯められるカードに一本化するのもいいですね。レシートは確定申告等に必要ないものであれば、金額に間違いがないことを確認したら早めの処分を心がけてください。

■「出費の象徴」ポイントカードは潔く処分

ポイントカードが多すぎるというのも、「貯まらないお財布」の代表格。お金を使えば使うほど増えていくポイントカードは出費の象徴です。あまり行かないお店のものは潔く処分。そしてスマホのアプリに対応しているものは移行し、「貯まるお財布」に変えていきましょう。

レシートなどがパンパンに詰まった財布のクローズアップ
写真=iStock.com/boboling

大量のクーポンは「いつ使うか」を決めましょう。そして「クーポンがあるからそのお店に行く」、つまりクーポンがなかったら買うはずではなかったものを買い、使わなかったお金を使うことになるというリスクも覚えておいてください。

ファーストクラス、ビジネスクラスのお財布になるとむやみにレシートやポイントカードを突っ込みたくなくなります。そう、出費が減ってお金が貯まるお財布になるのです。

■「ポイ活」を見直したら2万円の節約に

買い物をする際に、値段に応じてポイントがつく、お店のポイントカード。「ポイ活」なる言葉も生まれて、節約生活の象徴的な存在になっています。でも、このポイントカードを持ちすぎていたり、生活の目的が「ポイ活」になってしまうと、本末転倒状態に。かえって、家計を圧迫する原因にもなりかねません。

というのも、「今日はポイント5倍! どうせ買うなら今買わないと損」と、点数が稼げる日にドカ買いを繰り返してしまうと、余計なものまで買ってしまったり、あらかじめ立てていた予算をオーバーしたりして、かえって家計管理がしづらくなるからです。

また、私自身がかつてやっていた失敗ですが、ポイントカード用のカードケースをわざわざ買って持ち歩いていました。お得なはずのポイントカードによって、出費が増えてしまっていたのです。この習慣を見直したところ、毎月7万円以上かかっていた食費&日用品の支出が5万円以下になり、2万円もの節約になりました。

■余計なものを買いたくなる誘惑を防ぐ

確かにポイントカードを持っていれば、割引を受けたり、ポイントを貯めて特典を利用したりできます。でも、それが必ずしも節約になっているのかというと、どうでしょうか。1万円分ポイントが貯まったとして、その分貯蓄につながっているでしょうか?

私はそうは思いません。ポイントという目先の「お得」を手放したほうが、長い目で見れば支出を減らすことができると感じています。ポイントカードを作るのは、本当によく使う店舗に限定することをおすすめします。

私の家の近所には、よく使うメインのスーパーと、たまに特定のものを買うために利用するスーパーがあります。私がポイントカードを作っているのは、メインのスーパーだけ。ちなみに後者のスーパーは、会員になってポイントカードを作ると、買い物をするたびに割引になるシステムです。

一見、ポイントカードを持つほうがお得に思えますが、利用頻度と、管理する手間を鑑みて、結局作っていません。割引目当てに余計なものを買いたくなる誘惑を防ぐこともできるので、このままでいいと思っています。

■「先取り貯金」は先人たちの知恵

下村志保美『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社)
下村志保美『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社)

家計管理についていろいろとご紹介してきましたが、お金を貯める極意は、なんといっても「月の予算を決める」ことと、「先取り貯金」です。この先取り貯金という言葉、祖父母や親世代の人から“人生の先輩の知恵”として言われたこともあるのではないでしょうか。給与から決まった額が天引きされて貯まっていく「財形貯蓄」も、この先取り貯金の一種です。

貯蓄の最短にして最強の方法はまさにコレに尽きます。「毎月、○万円は貯金用に取り分ける」! そして余った金額内で生活をしていけばいいのです。

これは手取り月収が50万円の人でも、20万円の人でも、同じことです。たくさん稼いでいるからといって、その月に余った分を貯めようとしても、なかなかお金は貯まりません。

一方で、たとえ月2万円でも先取り貯金を続けていれば、1年後には確実に24万円が手元に残ります。

■クレジットカードは「できれば1枚」

この、決まった枠内で予算管理をするツールのひとつとして、クレジットカードは非常に便利です。いつ、何に、いくら使ったのかが可視化できるので、ムダ遣いの抑止力になります。

ただしここで大事になってくるのは、クレジットカードを「できれば1枚」にすること。最近では入会時の特典などに惑わされてクレジットカードを複数お持ちの方も多いですが、カードの枚数が多くなるほど引き落とし日がまちまちになり、家計管理が混乱する原因に。

また複数枚持っていると紛失に気づきにくかったり、最近増えつつある少額の不正使用を見落としやすかったりするリスクがあります。

複数枚のクレジットカード
写真=iStock.com/bernie_photo

またクレジットカードを作るということは、顧客データを知られるということ。カード会社は、嗜好(しこう)に合ったキャンペーン情報を送ってきては、あなたに次々と買い物をさせようとします。ムダ遣いを防ぐには、「まず情報の入り口を減らす」ことも大事です。

私もメイン、万が一のサブ、仕事用と3枚持っていますが、常用しているのは1枚で、それで飛行機のマイルを貯めています。出費も、特典も「限りなくシンプル」にするほど、ムダなお金を使わずに済みます。

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下村 志保美(しもむら・しほみ)
家計アドバイザー
1968年、愛媛県松山市生まれ。「空間・お金・心」の3つを整えることで、忙しい女性をサポートする「PRECIOUS DAYS」を主宰。2014年に片づけのプロとして起業。訪問やオンラインでの整理収納レッスンをはじめ、各種講演やコンサルティング、ESSE onlineでの記事執筆、家計アドバイザーとしての活動など、多岐にわたって活躍する。著書に『『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社刊)、『片づけのプロが教える心地いい暮らしの整え方』(三笠書房刊)がある。

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(家計アドバイザー 下村 志保美)

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