発作性夜間ヘモグロビン尿症、初の皮下注射治療薬「クロバリマブ」が米国で承認申請受理
QLife / 2023年10月10日 11時14分
自己補体による血管内溶血を引き起こす造血幹細胞疾患
中外製薬株式会社は2023年9月6日、米国食品医薬品局(FDA)が、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として、同社で開発中の新規抗補体C5リサイクリング抗体「クロバリマブ」の生物学的製剤承認申請(BLA)を受理したことを発表しました。
PNHは指定難病の一つに数えられる希少な疾患であり、生命にかかわりうる希少な血液疾患です。日本では、令和3年度末の医療受給者証保持者数は959人で、世界では約2万人が罹患しています。病態としては、PIG-A遺伝子に後天的に変異が生じた造血幹細胞がクローン性に拡大することにより、自己補体による血管内溶血を生じる造血幹細胞疾患で、赤血球が自然免疫系の一部である補体系によって破壊され、貧血、疲労、血栓、腎疾患などを引き起こします。ヘモグロビン尿、血栓症などPNH特有の溶血に起因する症状と、再生不良性貧血と同様の造血不全症状の二面性を持ちますが、症状は患者さんにより異なります。合併症としては、慢性腎臓病、肺高血圧症等を併発する場合が報告されています。
在宅での自己投与が可能な初めての皮下投与治療薬補体系カスケードを阻害するC5阻害剤はこの病態の治療に有効であることが示されており、クロバリマブは、中外製薬のリサイクリング抗体(R)技術により抗体を繰り返し抗原に結合するよう改変した新規C5阻害剤です。低用量で持続的な補体阻害が可能となり、4週ごとの皮下投与を実現しています。これによる治療で、患者さんおよび介護者の負担軽減をもたらすことが期待されています。
今回のBLAは、補体阻害剤による治療歴のないPNHを対象としたCOMMODORE 2試験の成績に基づいています。クロバリマブを維持期において4週間ごとに皮下投与した場合、2週間ごとに静脈内投与する標準治療薬のエクリズマブに対し病勢コントロールに関する非劣性が確認され、両薬剤間で安全性は同様でした。本試験における有害事象(AE)は、クロバリマブ投与群の78%、およびエクリズマブ投与群の80%で見られ、最も多く認められたAEは注入に伴う反応でした。BLAには、既存のC5阻害剤からクロバリマブに切り替えたPNH患者さんにおけるクロバリマブの良好なベネフィット・リスクプロファイルを支持する第III相COMMODORE 1試験のデータも含まれています。COMMODORE 1/2試験のデータは6月に開催された欧州血液学会(EHA)ハイブリッド会議で発表されました。
国際共同治験、第Ⅲ相COMMODORE2試験の結果に基づく承認申請の受理PNHを対象とした国際共同第III相COMMODORE 1/2試験のデータは世界各国の規制当局への提出が進められており、日本および欧州では承認申請が受理されています。中国ではPNHを対象にクロバリマブを評価した中国における第III相単群COMMODORE 3試験の肯定的なデータに基づきBreakthrough Therapy指定による審査プロセス経由で承認申請が行われ、中華人民共和国 国家薬品監督管理局(NMPA)によって受理されるとともに、優先審査品目に指定されています。COMMODORE 3試験のデータは2022年の米国血液学会(ASH)総会で発表されました。
クロバリマブは現在、PNHおよびその他の補体関連疾患に対する、5つの第III相試験と、より早期段階の3つの臨床試験を含め、広範な臨床開発プログラムが行われています。(QLife編集部)
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