リスティーゴとジルビスク、全身型重症筋無力症に対し2剤同時に承認
QLife / 2023年10月12日 14時56分
慢性的で症状の変動の予測が困難な「全身型重症筋無力症」
ユーシービージャパン株式会社は2023年9月25日、抗FcRnモノクローナル抗体製剤「リスティーゴ(R)皮下注280mg」(一般名:ロザノリキシズマブ(遺伝子組換え)、以下、リスティーゴ)および補体(C5)阻害剤「ジルビスク(R)皮下注 16.6mg/23.0mg/32.4mgシリンジ」(一般名:ジルコプランナトリウム、以下、ジルビスク)について、「全身型重症筋無力症(ステロイド剤またはステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能・効果として、製造販売承認を取得したことを発表しました。
全身型重症筋無力症(gMG)は、希少性の慢性的かつ症状の変動を予測することが難しい自己免疫疾患で、神経筋接合部の機能不全と損傷という特徴があります。発症の原因として、補体や免疫細胞、病原性IgG自己抗体が関係しているとされています。gMGの患者さんは、眼瞼下垂、複視、嚥下困難、咀嚼困難、発語困難などのさまざまな症状を有し、また、生命を脅かすような呼吸筋の筋力低下に至る可能性がある重度の筋力低下を引き起こすこともあります。gMGの有病率は全世界で100万人につき100~350人とされており、国内患者数は2万9,210人と言われています。
リスティーゴは対策がなかった疲労感改善にも期待、ジルビスクは自己注射可能リスティーゴは、FcRnに結合し、IgG自己抗体を含む血中のIgG濃度を減少させるヒト化IgG4モノクローナル抗体です。同剤はgMGの最も一般的なサブタイプである「抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性」および「抗筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)抗体陽性gMG」に有効性が認められています。また、これまで定量的な評価が行われていなかった疲労感などの患者さんの自覚症状の改善を評価しました。
ジルビスクは、補体C5を阻害する1日1回自己投与型皮下注ペプチド製剤です。補体C5に結合し、C5aおよびC5bへの開裂とC5bおよびC6の結合を阻害するデュアル作用によって、神経筋接合部への補体が関与する損傷を阻害する、次世代補体C5阻害剤です。gMG治療薬としては、初の自己注射が可能な皮下注射剤です。
日本人を含む国際共同試験で有効性・安全性を確認済み今回の承認は、いずれもgMGを対象とした日本人成人患者を含む国際共同試験(リスティーゴ:MycarinG試験、ジルビスク:RAISE試験)などの結果に基づいています。
MycarinG試験では、gMGの成人患者さんを対象に、リスティーゴの有効性と安全性を評価しました。主要評価項目であるMGADL総スコアの43日時点におけるベースラインからの変化量で、リスティーゴはプラセボ群に対し、統計学的に有意で臨床的に意義のある改善を示しました。また、副次評価項目であるQMG総スコアの43日時点におけるベースラインからの変化量においても、リスティーゴはプラセボに対し、統計学的に有意で臨床的に意義のある改善を示しました。
RAISE試験では、gMGの成人患者さんを対象に、ジルビスクの有効性と安全性を評価しました。主要評価項目であるMG-ADL総スコアの12週におけるベースラインからの変化量において、ジルビスク群はプラセボ群に対して統計学的に有意で臨床的に意義のある改善を示しました。また、RAISE試験の副次評価項目であるQMG総スコアの12週におけるベースラインからの変化量でも、ジルビスク群はプラセボ群に対し、統計学的に有意で臨床的に意義のある改善を示しました。
なお、リスティーゴは2020年に希少疾病用医薬品としての指定を厚生労働省より受け、優先審査が行われました(EUでも同様)。また、2023年6月に米国食品医薬品局(FDA)で承認を取得しています。ジルビスクは2022年11月に欧州医薬品庁(EMA)とFDAに承認申請が受理されています。(QLife編集部)
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