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がん疼痛コントロールに有効な、貼付剤の魅力とは

QLife / 2023年11月2日 17時40分

がん患者さんにとって大切な、痛みとの付き合い方

がん治療の進歩により、がん患者さんの10年生存率(がん診療連携拠点病院における)は 60%1)を超えるようになりました。がん種によって起こる症状はさまざまですが、そのひとつが、がん疼痛(がんに起因する痛み)です。多くのがん患者さんにとって、比較的早期から出現し、最後まで悩まされる身体症状です。

手術・外傷・抜歯など一般的な痛みは時間の経過とともに次第に収まっていくものですが、がんの場合は例外です。がんの痛みは時間の経過とともに強くなっていく特徴があるため、生存率の延伸とともに、どのようにがん疼痛と向き合うかも重要になってきました。

がん疼痛コントロールと薬剤選択が重要になってきたことをうけ、久光製薬株式会社は、そのヒントを学べるセミナー「飲まないがん疼痛治療~QOL 向上を目指したがん疼痛治療のポイント~」を2023年10月20日に開催しました。

「貼付剤」という鎮痛薬の投与方法
鹿田康紀先生(久光製薬株式会社提供)

最初に、鹿田康紀先生(医療法人二豊会国見病院院長)から貼付剤の特徴や投与方法についての話がありました。

「がん患者さんの持つ痛みは、がん自体が原因となる痛み、がん治療が原因となる痛み、その他の原因による痛みの3つに分類されます。がん疼痛治療では、これらの痛みをきちんと診断・分類して治療法を変えることが必要です」と鹿田先生は解説します。

がん疼痛治療に用いられる鎮痛剤の主な投与経路には経口投与、直腸内投与、経皮投与、持続性皮下注、持続静注、筋肉内投与、経口腔粘膜投与などがあります。

今回、フォーカスされていたのは、経皮投与です。湿布のように皮膚に直接貼るタイプの経皮吸収型製剤(貼付剤)を用いて、鎮痛薬を体に浸透させていきます。

鹿田先生が挙げた貼付剤のメリットは主に下記の3つです。

「嚥下困難患者に対する利便性」 皮膚を介して薬物が血液中に移行するため、 経口剤による治療が困難な患者さんにも投与することができます。 「血中濃度が安定する」 緩やかに血中濃度が上昇するため、効果発現に時間はかかりますが、その後は安定した⾎中濃度が維持され、効果の切れ目の痛みがなく、持続的な効果が期待できます2)。がん患者さんにとって体力を維持するための睡眠は重要ですが、鎮痛効果の切れやすい明け方に痛みが現れ、眠りを妨害することがあります。貼付剤の場合、明け方まで継続した鎮痛効果によって睡眠の質の向上が期待できます。 「投与の可視化が可能」 1日1回の投与で、患者さんの生活習慣に合わせ、毎日同じ時刻に規則正しく使用できます。家族および介護者にも目視できるため、服薬状況がすぐにわかります。 がん疼痛に有用な2つの貼付剤「フェントス®テープとジクトル®テープ」

次に、現在発売されている2つの貼付剤について、白川賢宗先生(獨協医科大学病院)が紹介しました。
白川賢宗先生(久光製薬株式会社提供) 「フェントス®テープ」 がん疼痛が強いときや、手術時に用いられるのが、モルヒネなどのオピオイド性鎮痛薬(医療用麻薬)です。フェントステープはモルヒネの約100倍という強力な鎮静作用をもつフェンタニルを成分とするオピオイド性鎮痛薬の貼付剤で、「モルヒネなどと比較して便秘の副作用が少ない、腎障害があっても使いやすい」などの特徴があります。従来は3日毎に貼り替える3日型のテープで、3日目に効果が落ちることがありましたが、2008年に発売された1日型の登場で安定した血中濃度で持続的な鎮痛効果が期待できるようになりました。また、1日1回の交換になったことで張り替え忘れが減り、管理がしやすくなったという利点もあります。2021年8月に小児への適応が拡大された3)ことも大きな進歩です。小児のがん疼痛に使えるオピオイドは種類も限られるため、フェントステープの存在は貴重です。ただし、オピオイド性鎮痛薬には副作用があるので、鎮痛効果と副作用を考慮し、うまくバランスをとることが大切です。 「ジクトル®テープ」 日本で開発されたジクトルテープは、2021年に世界で初めて承認された4)非ステロイド性の全身作用型貼付剤です。貼付型のジクトルテープによって、オピオイド性鎮痛薬の副作用を出さずに痛みを抑えられるようになりました。オピオイドを投与しているにもかかわらず,適切な鎮痛効果が得られていないときの有用な選択肢にもなっています。湿布に似ていますが、痛みを感じる部位ではなく、胸、お腹、上腕、背中などに貼ります。

今回のセミナーでは皮膚から投与する貼付剤が取り上げられていました。がん疼痛コントロールという目的に対し、さまざまな鎮静薬と服薬方法が選べる時代です。それぞれの患者さんが自分に合った方法が見つかる可能性があります。「痛みをコントロールする方法にはどんなものがありますか」と主治医に相談してみてはいかがでしょう。(QLife編集部)

1)がんの統計 2023 https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/2023_jp.html(2023年11月1日閲覧) 2)hisamitsuサポートweb~貼付剤と経口剤の吸収の違い~ https://www.hisamitsu-pharm.jp/assets/img/tdds/pdf/pamphlet01.pdf(2023年11月1日閲覧) 3)「フェントステープ」製造販売承認事項一部変更承認取得のご案内 https://www.jspm.ne.jp/files/news_domestic/E8A3BDE980A0E8B2A9E5A3B2E689BFE8AA8DE4BA8BE9A085E4.pdf(2023年11月1日閲覧) 4)経皮吸収型 非ステロイド性疼痛治療剤「ジクトル®テープ」(開発コード:HP-3150)のがん疼痛に関する国内製造販売承認取得のお知らせ https://www.hisamitsu.co.jp/company/pdf/news_release_210323.pdf(2023年11月1日閲覧)

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