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間質性膀胱炎(ハンナ型)の治療に「抗IFN-γアプタマー」が有効な可能性

QLife / 2023年11月27日 12時20分

間質性膀胱炎(ハンナ型)患者さんの膀胱組織を用いて包括的ゲノム病理解析を実施
画像はプレスリリースより

 東京大学医学部附属病院を中心とする研究グループは、原因不明の難病「間質性膀胱炎(ハンナ型)」において、患者臨床サンプルを用いた包括的なゲノム病理解析を実施し、治療標的としてインターフェロン-γ(IFN-γ)を同定するとともに、新規治療法につながる核酸アプタマー(抗マウスIFN-γアプタマー)を創製したと発表しました。

 間質性膀胱炎(ハンナ型)は、膀胱の粘膜に慢性炎症とびらんが生じ、強い膀胱・尿道痛と頻尿や尿意切迫といった排尿症状により、患者さんの生活の質を著しく低下させる原因不明の疾患で、特に症状の強い重症型は、国の指定難病となっています。その病態機序はほとんど解明されておらず、標準的な診断基準や根治治療もいまだ確立されていません。国内患者数は約2,000人程度と報告されていますが、正確な診断の難しさから、未診断・未治療で困っている患者さんが潜在的に多数存在している可能性も指摘されています。そのため、病態機序の解明と有効な治療法の開発が求められています。

 研究グループは今回、同病院に通院する間質性膀胱炎(ハンナ型)の患者さん25人と、間質性膀胱炎(ハンナ型)と臨床病理学的に類似した病態を呈するBCG誘発性膀胱炎(BCG膀胱内注入によって引き起こされる慢性膀胱炎)の患者さん13人から得られた膀胱組織検体を用いて、包括的なゲノム病理比較解析を行いました。

抗ヒトIFN-γアプタマーが、モデルマウスの病状を大きく改善

 その結果、間質性膀胱炎(ハンナ型)で特徴的に変化している遺伝子を突き止め、それらが主にTh1/17型免疫応答に関連するものであることを明らかにしました。中でもIFN-γの発現上昇が顕著だったため、研究グループはIFN-γを標的とした薬剤が、有望な治療薬となる可能性があると考えました。

 そこで、タグシクス・バイオ株式会社が保有する独自の人工核酸技術を用いて、IFN-γに高親和性・特異性を有する「核酸アプタマー(抗マウスIFN-γアプタマー)」を創製し、間質性膀胱炎(ハンナ型)疾患モデルマウスに膀胱内投与した結果、膀胱組織の炎症が著明に改善し、炎症反応に関与する遺伝子の発現も低下しました。さらに、骨盤部の疼痛や頻尿も大きく改善し、この治療の有効性が示されました。

臨床応用に向けた開発を推進中、GLP安全性試験実施を予定

 間質性膀胱炎(ハンナ型)は根治治療がなく治療法も限られているため、患者さんのみならず医療者をも困窮させる極めて難しい疾患です。世界中で新規治療薬の開発競争が繰り広げられていますが、いまだ大きな成果は上がっていません。

 今回の研究では、間質性膀胱炎(ハンナ型)の病態に、IFN-γが中心的な役割を果たしていることが判明し、抗IFN-γアプタマーの膀胱内治療が疾患モデル動物に高い有効性を示しました。研究グループは現在、抗ヒトIFN-γアプタマーの臨床応用へ向けた開発を推進しており、各種GLP安全性試験の実施を予定しているということです。(QLife編集部)

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東京大学医学部附属病院 プレスリリース

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