【スズキ スペーシアカスタム 新型試乗】軽ハイトワゴンでは一歩抜きんでた存在になった…諸星陽一
レスポンス / 2024年3月31日 12時0分
「ジャパンモビリティショー2023」で多くの観客から脚光を浴びたスズキの新型軽自動車『スペーシア』。そのなかでもパワフルなエンジンを搭載する「スペーシアカスタム XSターボ」に試乗した。
スペーシアはもともと『パレット』というネーミングで2008年に発売されたモデルがルーツだ。パレットの登場にはダイハツ『タント』の存在を無視することはできない。タントの対抗馬としてパレットを登場させたが、タント人気を追撃することは難しかった。
2013年にパレットはスペーシアと車名を変更してデビュー、ふたたびタント追撃にかかることとなった。パレットという車名は親しみやすさはあったのだが、広さを連想させるには至らなかったということでの車名変更であったという。2023年のジャパンモビリティショーにコンセプトカーとして登場したスペーシアは、11月に正式に市場導入。スペーシアの名になって3代目となるモデルである。
◆群を抜いてしっかり感が漂っている
クルマに乗り込みインパネのATセレクターを引き下げDレンジを選ぶ。最近のクルマはわかりにくいATセレクターを採用するモデルが多いが、スペーシアのセレクターは単純明快にして確実。セレクトレバーの位置が視界に入るだけでなく、左手を添えたときに直感的にどのレンジを選んでいるか分かりやすい。これだけでも誤作動は減らせるはずだ。
アクセルを踏み込むと軽自動車とは思えない力強い加速を得られる。なによりも軽自動車にありがちなクルマ全体から放たれる薄っぺらさがないのである。こうした傾向は軽自動車のフルモデルチェンジごとに感じるのだが、今回のスペーシアは群を抜いてしっかり感が漂っている。
そのままアクセルを踏み込んでいくと、トルクに厚みを感じながらの加速を味わえる。さすがにアクセルをべた踏みして回転数が上がると、660ccのエンジンは頑張っている感を出すが、アクセルの踏み方をゆったりとそして床まで踏まないようにすればエンジンは余裕を感じさせてくれる。
今回、チャンスがあり箱根新道を上った。箱根新道の上りはかなりきつい勾配で、軽自動車にはきついセクションだがそれをものともしないのには驚きさえ感じた。軽自動車に乗ってこれで十分という感覚はよくあることだが、スペーシアカスタムの場合はこれで十二分であった。
高速道路では120km/h巡航もまったく問題はない。ACCの精度も高く、快適に高速移動できる。フロントシートもしっかりとしていて、100km程度の距離であれば何の苦痛もないだろう。ただし、それ以上の距離となるとシートの性能も影響してくることは多少なりとも予想される。
ハンドリングもしっかりとしていた。ステアリングの切り始めからしっかりとクルマが向きを変えていき、適度なロールを発生しながらコーナリングをこなす。全高が1785mmもあるのだから重心は高いはずだが、ロール時の不安感もない。タイヤサイズが168/55R15とちょっとハイトが低めのこともあり、段差乗り越え時の突き上げ感を感じることもあったが、実用上は支障がないだろう。
◆使い勝手は「さすが」の一言
使い勝手の面ではさすがの一言だ。とくにリヤシートはよく工夫されている。左右が独立してスライド&フォールディングするのはもちろん、クッションの前端を前に伸ばしてオットマンモードとしたり、前端を折り返して荷物の転落を防止するようにするなどクルマが使われるシチュエーションをしっかり考えた作り込みが行われている。直接のライバルとなるホンダの『N-BOX』のようにリヤシートクッションのチップアップはできないのが唯一残念な点だが、それ以外で不満はない。
今回のフルモデルチェンジでADAS(自動ブレーキなどの先進運転支援システム)も進化。従来のステレオカメラから単眼カメラ&ミリ波レーダーがセンサーとなった。短距離部分はソナーが対応する。高速道路での追従走行での安定性も向上しているが、それ以上に衝突軽減ブレーキの性能も向上しているとのことで、より安心してクルマをドライブできる。
今のところ、軽ハイトワゴンでは一歩抜きんでた印象があり、今後のライバルはスペーシアをベンチマークに追従することとなるだろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
コスパの高さが異常…スズキの新型軽「スペーシア」が、「これで153万円は安すぎる」と絶賛されている理由
プレジデントオンライン / 2024年5月5日 11時15分
-
スズキ次期「ハスラー」2026年登場か!? オシャカラー&斬新内装採用! 軽コンセプト「eWX」からわかる“新型ハスラー”の姿とは
くるまのニュース / 2024年5月3日 10時10分
-
【ボルボ EX30 新型試乗】デザインのために操作系が犠牲になるのは正しいのか…諸星陽一
レスポンス / 2024年4月21日 12時0分
-
ホンダ新型「N-BOX SUV」今夏発売!? アウトドア風「ジョイ」待望の登場か 見た目はどうなる?
くるまのニュース / 2024年4月19日 12時10分
-
スズキの新型「ド迫力軽ワゴン」公開! 驚きの”シャコタン”&エアロ仕様!“スポーティ感”爆上げの「スペーシアカスタム コンプリートカー」233万円から発売へ
くるまのニュース / 2024年4月12日 8時10分
ランキング
-
167歳・月の年金7万円「年金制度を信用していなかった」女性の後悔
オールアバウト / 2024年5月5日 20時5分
-
2退職後のがん患者にとって「幸せな食事」とは何か…療養食開発者が味以上にこだわったこと
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月6日 9時6分
-
3しゃぶしゃぶ食べ放題「しゃぶ葉」が好調。競合店から“圧倒的な大差”をつけるポイントとは
女子SPA! / 2024年5月3日 8時46分
-
4国民ブチギレ!? なぜ「13年」で”自動車税”高くなるのか 軽自動車は20%加算も!? 「やってらんない税」「税金安くしろよ」の声上がる 理不尽な重課措置の仕組みとは
くるまのニュース / 2024年5月3日 12時0分
-
5枯れたミントを畑に捨てたら…3年後に「地獄絵図」、 繁殖力に地主も後悔「土の総入れ替えしかない」
まいどなニュース / 2024年5月3日 7時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください