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ヌバイア・ガルシアが熱弁、UKジャズとクラブミュージックの深く密接な関係

Rolling Stone Japan / 2023年10月18日 17時45分

Photo by Adama Jalloh

サックス奏者のヌバイア・ガルシア(Nubya Garcia)は今日のUKジャズにおけるシンボルであり、その理由は2020年に発表された現時点の最新アルバム『Source』のインタビューでもたっぷり語ってもらった。トゥモローズ・ウォリアーズをはじめとしたロンドンの教育機関の出身であること、レゲエを取り入れるなどカリブ海やアフリカからの移民が持ち込んだ文化を反映していることもそれにあたるが、彼女にはもう一つ重要な文脈がある。エズラ・コレクティヴのリーダー、フェミ・コレオソは「UKジャズはダンスミュージック」だと以前語っていたが、クラブミュージック的な文脈を一貫して取り入れてきたのがヌバイアだ。

ナラ・シネフロ、カイディ・テイタム、モーゼス・ボイドなどが参加した『Source』のリミックス・アルバム『Source ⧺ We Move』(2021年)はひとつ象徴的だろう。ジャズがハイブリッドになり、様々なジャンルとの交流が当たり前になっていると言われている昨今にあっても、実はリミックスを制作するジャズ・ミュージシャンは少ない。UKでもほとんどいないのが現状で、クラブシーンとの繋がりはあっても、DJとの接点が増えているとは言いがたい状況だ。そのなかで、ヌバイアは突出してクラブシーン/DJカルチャーにアプローチし続けている。

さらに、今年7月に発表されたシングル「Lean In」はUKガラージにインスピレーションを得た楽曲であり、サウンド面でもより深くクラブミュージックにアプローチしはじめている。そこで、今年10月にブルーノート東京で開催された初来日公演に伴う今回のインタビューでは、彼女の音楽性と広義のクラブミュージックとの関係について尋ねることに。UKガラージからドラムンベース、グライム、ダブ、ジャングルと縦横無尽に語るヌバイアの話を聞きながら、彼女こそUKジャズの象徴的存在であることをあらためて実感させられた。


2023年10月、ブルーノート東京にて(Photo by Tsuneo Koga)


―前回の取材でいろいろ伺ったので、今日はまた別の話を聞かせてください。例えば、僕のTシャツに書いてある言葉(「British History is Black History」)のような話とか。

ヌバイア:いいね。そのTシャツ好き!

―まず、最初にクラブミュージックを意識的に聴くようになったのはいつ頃からでしょうか?

ヌバイア:兄や親から教えてもらったんだと思う。特に、兄はドラムンベースがずっと大好きで、私の部屋は彼の隣だったから、私は大音量のドラムンベースの音を聴きながら育った。たしか、私が9〜10歳で、兄が15歳くらい(ヌバイアは1991年生まれ)。それが覚えてる最初の記憶かな。スピーカーをゲットした彼はドラムンベースに没頭していた。それにティーンの頃は、アンダーグラウンドのレイヴイベントに行ったり、友達から音楽を教えてもらったりっていう感じで、ジャズだけじゃなくて、いろんな音楽やライブの情報をシェアし合える友達に囲まれてた。「次の金曜日はこれに行こう」って感じでね。ガレージ、ダンスホール、レイヴ……いろんな方面で友好関係があった。そういう点においては、ロンドンってまさにぴったりの場所。移民の歴史は、多くの文化が入り混じってる都市だってことを意味するし、その背景が提示されている場所がたくさんあるから。

20代の頃からフェスに行くようになって、やっと自分が好きな音楽がわかってきたり、知らないうちに抱いていたアメリカのハウスミュージックへの先入観に気づいた。ヨーロッパのハウスミュージックって、ちょっと違う形で存在していると思うから。つまり、ホワイトウォッシュされている部分があるってこと。私は、友達やYouTubeを通してたくさんの音楽に触れたり、セオ・パリッシュみたいなレジェンドがフェスでパフォーマンスしてるのを実際に見たり……そういったことの繰り返しから、たくさんの音楽と出会ってきたと思う。

―少し話を戻して、最初に買ったクラブミュージックのレコードやCD、特にハマったプロデューサーについて教えてください。

ヌバイア:最初だったかどうかははっきり覚えてないんだけど、ティーンの私にとって決定的瞬間だったのは「Baby Cakes」(UKガラージのグループ、3 of a Kindによる2004年のヒット曲。UKシングルチャート初登場1位)がリリースされた時のこと、知ってる? ティーンの頃に大流行してた。当時はYouTube全盛期の前だったから、誰かが曲を買ったら「Bluetoothで聴かせて」って、そんなやりとりをしてた。それから、グライムだよね。その時に流行していた音楽には何か共通するものがあった。あとは、初期ドラムンベース(ダブステップ)のMala & Coki、Commodoやその周辺のクルーとか……ほんとにたくさん。




―グライムだと、どういったアーティストが好きなんですか?

ヌバイア:正直、そんなに聴いてるわけじゃないけど、ケイノ(Kano)にスケプタ、ゲッツ(Ghetts)、ギグスは好きかな。グライムを知り尽くしてる友達から教えてもらった。グライムは、私たちの世代の音楽だと思ってるけど個人的にはそこまでハマらかなった。ただ、すごくリスペクトはしている。

―それにしても、あなたにとってドラムンベースは身近なものだったんですね。

ヌバイア:ええ。今年はジョー(・アーモン・ジョーンズ)のプロジェクトで、マーラと一緒にプレイする機会があったのも幸運な出来事だった。私たち3人は以前にも、チャーチ・オブ・サウンドとトータル・リフレッシュメント・センターのコンピレーション・アルバム『Untitled』(2019年)の収録曲(「Scratch &Erase」)を一緒に制作したんだけど、マーラとの共演自体が、音楽のもつ循環的な性質を示していると思う。ティーンの頃から20代にかけて、聴き続けてきた彼の曲を今ではライブのステージで演奏しているというね。彼と知り合って、交流を重ねていく過程はまさに夢のようだった。ブリュッセルにいた時に彼のライブを観に行って素晴らしいライブを体験した。最近はブリクストンのPhonoxで行われた、彼のレーベルとメンバーを祝う特別なライブにも行った。彼はもちろん、CommodoとCokiもそこでプレイしていた。サウンドシステムも素晴らしくて、オールナイトのパフォーマンス。私はその夜に、ここ20年間で彼らが築き上げてきたものに対する疑いようのない愛をみた気がして、それはとても形容できないような瞬間だった。

ドラムンベースはまさにたくさんの喜びを与えてくれる。20代の半ば頃から他の音楽を聴くようになったから、ここ数年は聴いてなかったけど、私にエネルギーを与えてくれるし、その人気をつくづく目の当たりにしてる。もともとはアンダーグラウンドミュージックだったドラムンベースが、今ではちょっと行き過ぎってくらい人気になってるじゃない? 個人的には、あんまり快く思ってないけど。とにかく、私はダブをルーツにした初期のオールドスクール・ミュージックが好き。ドラムンベースの進化は音から感じられるけど、モダンで高音域なものは私の趣味じゃない。つまり、他のジャンルが広大なようにドラムンベースも広大で、あなたと私の好きなドラムンベースは違うっていうことが起こりうる。それはジャズにもグライムにも、アフロビートにも言えること。私たちは違う意見を持ってる生き物だし、きちんと敬意を示しさえすればそれでいいと思う。それぞれのジャンルに情熱を注いでいる人たちに、最大限のリスペクトを示すことを大事にすればいいんじゃないかな。


ジョー・アーモン・ジョーンズ&マーラのライブにヌバイアも参加

ダブやサウンドシステムへの特別な情熱

―ダブやサウンドシステムの話も出てきましたが、スピーカーのタワーが立っているようなサウンドシステムにもよく行ってたりしたんでしょうか?

ヌバイア:ええ。

―それは子供の頃から?

ヌバイア:4歳の頃、カーニバルに行ったのを覚えている。サウンドシステムの体験は、ダブが最初だったわけじゃないかな。どちらかというと、ダブは家や車のなかでよく聴いていた。母が教えてくれた私と弟の面白いストーリーがあって、私たちは後部座席からずっとボブ・マーリーの「Three Little Birds」をかけてってリクエストしてたんだって(笑)。まだ幼い、4歳の頃にね。それから、歳を重ねて気づいたのは、ダブっていう音楽が私のベースにあったこと。それはクラブともドラムンベースとも違う、別軸でのエネルギーを持っていて、ダブは私にとって特別な関わり方をしてる。今も昔も好きだし、ロンドンで時間がある時は、ダブを聴きに出かけている。



―例えば、どのサウンドシステムが好きだったんですか?

ヌバイア:昔も今も、Channel Oneのサウンドシステムのラインにはよく行くね。それからAba Shanti-Iも素晴らしい。あとはアイレイション・ステッパーズ。ちょっと違うサウンドシステムだけど、踊らせてくれるって感じ。この3つかな。ジャー・シャカはもう大御所だし。そうそう、面白い話があって、私の父は昔ロンドンのヴォクソールで行われていた初期のサウンドシステムを撮影していたんだって。私がその映像を喜んで観ていると、父は「このテープは当時、俺が撮ったんだぞ」って言ってくる。ちょっと自慢気になるんだよね(笑)。

―同じような趣味を持つ周りの友達とよく行ってたりしたんですか?

ヌバイア:ええ、今でも。ラッキーなことに家の近所にいくつかサウンドシステムがあるから、家にいる時は1人でも行ったりする。ただその場にいるだけでいい、誰にも邪魔されない、私にとってすごく安全な場所。例えば、ふらっと数時間だけ行って好きなように過ごしたりもするかな。



―特に好きなレゲエ/ダブのアーティストは?

ヌバイア:ボブ・マーリーはたくさん聴いてきたし、それからブジュ・バントンも。義父が彼を大好きだったんだ。今はキング・タビー、プリンス・ジャミーにホレス・アンディ。(自分用の)すごく長いプレイリストもあるの。1つはダブとレゲエ、それからステッパーズ・ダブにルーツ。分類してプレイリストを作るのが好きなんだよね。その音楽の世界観に浸りたいとか、特定の音楽を聴きたい時とかあったりするでしょ? 昔の作品やアーティストと同様、新しいものもチェックしている。

私がサウンドシステムで好きなのは、ダブ・プレート。なぜかって、その曲をもう一度聴くことはできない、もしくは探せないから。曲の情報を知らせてるわけでもないし、Shazamも役に立たない。その場にいない限りは体験できないじゃない? もう一度その曲を聴きたいがためにその場所に戻ったり、家でその曲を聴くために、名前が分かるまで人に尋ねて回ったり……そんなことをしていたティーンの頃が懐かしいな。背景や知識がなくても、ただその瞬間に起こることを楽しめる、そのエネルギーが好きなんだよね。素晴らしい音楽と出会って、吸収して、またその体験をしに戻ってくる。もしかしたら、その場に居合わせたかもしれないし、いなかったかもしれない。そういう偶然性って素敵じゃない?

―ちなみに、ブジュ・バントンはどういったところが好きなんでしょうか?

ヌバイア:彼の声の虜になった。だって、とてもユニークでしょ? 初めて聴いた時のことを覚えている。その頃、義父はMP3プレイヤーにハマっていて「ああ、持っていけよ」って渡されたんだけど、そのなかに入ってた音楽の量は異常だった。こんな小さいメモリースティックに、ありえないほどの曲が入っていて、どこから手をつけたらいいか分からないくらい。そこに入っていた彼の声は、本当に魅力的だった。



「Source」はレゲエ/ダブの影響が顕著な一曲

―あと、ヌバイアさんはNTS(ロンドン発のネットラジオ局)で番組を担当していたり、いろんな場所で選曲をたくさんしてますが、DJもやってるんですよね?

ヌバイア:ええ。でも、私は自分のことをDJだとは思ってない。だって、素晴らしいDJをたくさん知ってるし尊敬しているから、自分をDJって呼ぶのはやっぱり気が引けるかな。彼らはまるで楽器のようにプレイするし、私が音階を熟知しているようにビートマッチングを熟知している。だから、私は自分のことを「セレクター」って呼んでるの。ダブのアイディアにも近いと思うし。

―セレクターですか。

ヌバイア:ええ。私は、ほとんどの時間をサックスの練習と作曲に費やしてるから。もし、DJのスキルを磨くことに時間を割けるようになったら、自信を持ってDJって言えるかもしれない。でも、今のところその2つはかけ離れてもいる。私は楽器のようにプレイするDJを純粋にリスペクトしている。もちろん、選曲するのは好きだし、エネルギーの方向性をキュレーションするのも好きなんだけどね。

―セレクターはいつ頃からスタートしたんですか?

ヌバイア:大学のちょうど折り返しの頃かな。「Balamii」っていうラジオ番組に出たの。番組を制作している友達がいて、ゲストとして招待してくれたのが始まりだった。そこから、「Balamii」のオーガナイザーと知り合った。彼が「番組やらない?」と言ってくれて。日曜日の朝8時から始まるから、身体がついてこなくて、「こんなに早い時間から毎週やってるなんてありえない!」って思ってたりもした。でも、本当にいい時間だった。ゲストとして1年に数回やらせてもらって、その1年後に「番組をやらないか」って誘ってくれた。それから時々やるようになって、レギュラー番組も数年間やった。NTSに出るようになったのもそんな感じのきっかけだったと思う。ツアーがあるからレギュラーではできなくなっちゃったけど、ラジオは楽しいし大好き。

「枠組みを横断することは私の使命」

―ヌバイアさんは、ご自身の曲のリミックスをたくさんリリースしていますよね。

ヌバイア:うん、かなりの量!

―ジャズミュージシャンで、これだけのリミックスを作る人はほとんどいないと思うんですよ。

ヌバイア:きっとお金も手間もかかるからじゃないかな。私は作曲やバンドでの演奏を始めた頃からずっと、リミックスもやりたかった。私のなかでそれらは繋がり合っていて、サックスをボーカルのように扱う、つまりボーカルのようなメロディとして扱うことで、みんなにもリミックスの面白さを感じてもらえたらなと思ってる。最近では、ほとんどのアーティストが数曲のリミックスを用意するのが当たり前になってきたけど、プロデューサーがジャズミュージシャンだったり、アシッドジャズのムーブメントのころのようなアプローチをしているのはかなりレアなケースだと思う。

リミックスを作る理由について……うまく言えないけど、もし私が作っているものを誰も望んでないとしても、私はリミックスを作り続けたい。「日々リミックスに取り組んでいる人たちは私の音楽をどう捉えるんだろう?」「音の世界をどこまで追求できるんだろう?」、私はそういうことを知りたいから。私の音楽は、新たな形に生まれ変わる時を待っているから。それに、クラブで自分の音楽を聴きたいじゃない?(笑)。それは明らかに理由のひとつ。とてもワクワクするし、自分の選んだ手段を誇りに思ってる。


Photo by Tsuneo Koga

―僕もちょっとだけDJをやっていて、いつもヌバイアさんのアルバムを持っていくんです。というのも、DJで使いやすいんですよね。大きな音でかけても低音がしっかり出るし、フロアにいる人が踊ってくれそうな曲が入っているので。リミックスではない自分の作品でも、DJにかけてほしい、クラブで映えるような曲にしたいとか意識しながら作っているんでしょうか?

ヌバイア:そのことは、アルバムの制作とミキシングのアプローチが違う理由と関係している。私はジャズのレコードみたいにミキシングはしないって決めていた。「ジャズレコードのようにミキシングやマスタリングをするんじゃなくて、まったく違うものにしてほしい」ってリクエストしている。音楽を制限するものは、レコーディングスタジオに限らず、音楽制作の至るところに潜んでいる。ミキシングやマスタリング、プロモーション、ライブのブッキングだってそう。ジャンルによってアプローチの方法は異なってくる。クロスオーバーのアーティストだとしても、例えば「彼女はサックス奏者だ」と聞けば、きっとジャズアーティストだって思うでしょ? 

私は、音楽の偉大な歴史の一部にいることを光栄に思ってるし、先人たちは素晴らしいことを成し遂げてきた。ただ、ゆっくりでも確実に変えていかなきゃいけないこともある。それは、あなたが聴いている音、あなたが感じている音を見直してもらうことから始まると思う。例えば、ジャズ・カルテットを聴いた時、ただジャズ・カルテットのようにしか聴こえないのか、それとも、他の何かを感じるようになるのかってこと。(ジャズ・カルテットの音源でも)カジュアルなレストランやジャズハウスだけじゃなくて、もしかしたらクラブでかけてみるのもいいかもしれないってこと。決まりきった枠組みを横断することは、音楽を制作するうえでの美学にもなりうる。私の使命は、ミュージシャンではない人々によって引かれた境界線を押し上げることだと思っている。

―ちなみに偶然、自分の曲がかかっている場面に出くわしたことはありますか?

ヌバイア:最近行ったパブでかかってた! 従姉妹に会いに行ったとき、彼女が遅刻して、私は1人でずっと待ってたんだ。すると、「Pace」――『Source』の中で1番クレイジーな曲が流れてきた。ソロの中盤にさしかかると、まさに盛り上がりのピークって感じで……信じられなかった! 貴重な瞬間だよね、まさか自分の曲を聴くことになるなんて予想してなかったし、あの曲はBGMって感じでもないから。流れる場所によってコンテクストも変わってくる。だから、みんながどんな反応するのかを知れたのもすごく良かった。



―少し話を戻して、リミックス・アルバム『Source ⧺ We Move』についても聞かせてください。ここに参加しているプロデューサーはどんな基準で選んだんですか?

ヌバイア:参加してくれたのは、私が常々尊敬してるプロデューサーたち。ほとんどは友達だけど(笑)。アプローチについて私が思うのは、もし憧れの人がいるとして、その人と一緒に何かしたいとする。相手が「イエス」って言うかは分からないけど、聞いてみない限りは「イエス」か「ノー」かすら分からないってこと。それは自分の安全地帯から一歩踏み出すような行為だけど、たとえ「ノー」って言われても世界が終わるわけではないでしょ? そのプロジェクトと合わなかっただけかもしれないし、単に忙しいだけかもしれない。相手がいつも断るとは限らないし、「ノー」という答えの裏側にもいろんな事情があるわけで。参加してくれたプロデューサーのなかには今回初めて知った人もいるから、どうなっていくか予想できなかった。OG legends(OG=Original Gangsta:パイオニア、創始者)にメッセージを送るなんて信じられなかったけど、私には何も失うものはない。実現できたことを誇りに思ってるし、一緒にできて本当に光栄なの。今までの作品と完全に違うものになったし、素晴らしいものに仕上がってすごく気に入ってる。

―リミックスのサウンドが自分のセレクターとしてのセットに入れやすいとか、そういったことも考えますか?

ヌバイア:うん、そのことも考えていた。このアルバムには旅をさせてあげたい――ダンスミュージックのなかでも、いろんな場所に存在してほしいっていう想いを込めた。だからアンビエントや、チューンアップしたダブ・ステッパーのバイブスも入れた。それから、私はデンゲ・デンゲ・デンゲ(ペルー出身のトロピカルベース・ユニット)の大ファンで……ほんっとに大ファン! 彼らにアプローチしたら「やろう」と言ってくれて……信じられなかった。実は、まだ彼らには会ったことがないんだけど。すれ違いが続いてて……でも、すぐに会いに行く、絶対にね! このアルバムが、私たちをどこかに連れて行ってくれるものになればいい、ラジオ番組やセットでも使ってもらえたらいい。それが目標としてあったんだけど、無事に達成できたかなって感じてる。




―最後に、新曲の「Lean In」について。UKガラージがインスピレーションになっていると思いますが、あなたにとってのUKガラージはどのような音楽ですか?

ヌバイア:電話がダンスフロアにあった頃の情景、ティーンの頃を思い出す音楽かな。暗くて汗のにおいが充満したクラブにDJのプレイを観に行ったこと、活気のあるエネルギーが溢れていたこと、ただ楽しい時間を過ごすっていう、みんなが同じ目的のために集まっていたこと。お互いが心を許しあって自分を開放する、それが私にとってのダンスミュージックの醍醐味。本物のダンスミュージック好きは、その音楽、その場から吸収するエネルギー、その場で発散されるエネルギーを感じるためにやってくるじゃない? UKガラージは、そういった素晴らしい経験を与えてくれたから。



―「Lean In」を聴いてUKガラージに興味を持った日本のファンにおすすめしたいプロデューサーもしくは曲を教えてください。

ヌバイア:そうね……ウーキー(Wookie)かな。グラストンベリーで、私は彼の曲をカバーしたから。(Sweet Female Attitudeの)「Flowers」から彼のヒット曲を演奏するっていう流れで、いわゆるメドレーみたいに。とても魅力的なエレクトロニックで、みんなの反応も新鮮だった。私はその2つを勧めたい。

それから、私の曲「Lean In」についてちょっと付け加えておくと、この曲には、私に多くの喜びを与えてくれたUKガラージへの敬意がつまってる。私の好きなものを分かちあうことで、あなたが好きな音楽を見つけるきっかけになるなら喜んで話したい。きっとあなたもその音楽を好きになるよって思うから。




―ところで先日(9月後半)、Wu-Luも日本に来ていたんですよ。

ヌバイア:そうそう、ちょうど彼が帰った日に日本に来たから会えなくて、お互い残念だねと言い合ってたんだ。

―彼がDJをしているのも見たんですけど、かなりジャングルをかけまくってましたよ。

ヌバイア:そうだ、ジャングルの話をしてなかった(笑)。手短に話すね! 私は1年くらいコンゴ・ナッティ(ジャングルのパイオニア)とライブをやったんだけど、それはジャズミュージシャンとしてダンスミュージックを演奏するきっかけになった。当時、私は大学を卒業したばかりで、ビバップのバンドを結成しようとしていた。たしかシャバカ・ハッチングスがツアーでできなかったから、コンゴ・ナッティが私を誘ってくれて。それが、音楽制作やキュレーション、DJ、コミュニティの構築……そのすべてを包括した歴史的なレジェンド、(レベル)MCとの初共演だった。当時の経験は私の財産になっているし、彼の存在もそう。彼がセットを構築する姿、彼を筆頭に周囲のメンバーがジャングルという音楽をどのように存続させていこうとしているのか、その一連を目の当たりにすることができた。あなたがWu-Luの話をしてくれたから、思い出せてよかった。私はジャングルが大好きだから!




ヌバイア・ガルシア
『Source』
発売中
https://www.nubyagarcia.com/

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