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コロナ後遺症で2年間寝たきり 演歌歌手の夢挫折 治療法手探り続く

産経ニュース / 2024年5月8日 20時14分

コロナ後遺症外来で「筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME・CFS)」と診断された約2年前から、寝たきりの状態が続く相澤めぐみさん=5日、神戸市東灘区(王美慧撮影)

新型コロナウイルスの5類移行から8日で1年がたったが、感染後の後遺症に悩む人は多い。演歌歌手の相澤めぐみさん=30代=は、感染した約2年前から激しい疲労感などに襲われ、寝たきりの状態が続く。一時はベッドから動けなくなり、親の介護を受けた。念願かなった歌手への夢は挫折し、日常も奪われた。確立した治療法や特効薬はなく、社会復帰への道は遠い。

「これからというときにコロナで仕事ができなくなり、いつ復帰できるかさえ分からない。これ以上の苦しみはもうない」。幼少期から演歌歌手を夢見て平成26年にデビューした相澤さんは、つらい胸の内を明かす。

令和4年2月、コロナに感染。最初は微熱などで症状も比較的軽かったが、3週間が過ぎても改善せず、次第に強い倦怠(けんたい)感などに襲われた。3月、コロナ後遺症の専門外来に行き、症状の一つである「筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME・CFS)」と診断された。ME・CFSは発症後、心身に負荷をかけると極端に体力を消耗するのが特徴だ。

1人暮らしが困難になり、6月には東京から神戸市内の実家に戻った。その後、症状は急激に悪化し、水を飲んでも胃腸障害を起こし、寝たきりの状態になるまで衰弱した。

一歩も動けず

10月には緊急搬送で入院し、月経の影響などもあり、症状はさらに悪化。体が動かなくなる恐怖とパニックで入院中に鬱病と診断された。

退院後の3カ月間はベッドから一歩も動けず、オムツや酸素チューブを付け、向精神薬で意識がもうろうとした状態で過ごした。「死にたいと思った。治る見込みなんてないと感じた」。それでも、両親が明るく介護してくれたことが相澤さんの心の支えとなった。

今もほぼ寝たきりで、嗅覚も感染前の半分程度しか感じない。自室横にある数メートル離れたトイレに行くにも動悸(どうき)が起き、それ以上に負荷をかければ、強い倦怠感に襲われ、数時間~3日間は動けなくなることもあるという。

相澤さんは個人事業主のため傷病手当金の対象外。現在、障害者年金の受給も検討しているが、毎月5~6万円にもなる医療費が重くのしかかる。

周囲の無理解

医療関係者の無理解にも苦しんだ。1年以上も往診した心療内科の医師が書いた他院への紹介状には「コロナ後遺症で動けなくなったと思い込んでいる」と書かれたこともある。

社会はコロナ前の日常に戻りつつある。だが、相澤さんは「明日はわが身」とたとえ、こうも訴えた。「症状には個人差があり、それぞれに合うリハビリ法も異なることを知ってほしい」(王 美慧)

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