その後、長きにわたり『ブレードランナー』(1982)といえばおしゃれなサブカルでカルトな映画として、ファッショナブルな雑誌の映画特集で、「俺もしくは私センスいいもんね」アピールの道具として便利に使われてきました。 でも、劇場公開時に観たのかお前ら! このシャレオツどもめが! と、またしてもルサンチマンが頭をもたげてきやがります。
ええそうですともわたしゃ公開1週間後に、だれ~もいない映画館で観ましたよ。公開前のテレビスポットで、「ケロッグコーンフロスト」でおなじみ、低重心で高トルクを体現する内海賢二さんのタイトルコールで本格的SFポリスアクションへの期待を膨らませて劇場に行ったら、近未来を舞台にしたビターなフィルムノワールだったですよ! 『マルタの鷹』(1941)も『現金(げんなま)に手を出すな』(1954)も観たことないけど痺れましたよオトナの世界に高校2年の分際で!
とはいえこの映画、メチャクチャいい!という結論は観終わった直後は導き出せていません。その圧倒的な情報量に脳はオーバーフローを起こして麻痺状態。しかもすぐに移動しないと、靖国通りを渡った新宿ピカデリーで『ファイヤーフォックス』(1982)が始まってしまうからでした。