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【横浜・18歳女子大生殺人】「オマエ、俺と別れたら知らねえからな」子役女優としても活躍した被害女性は警察に4度相談。SNSのアカウントを何度変えてもつきまとわれ…容疑者のニート男はヒモ状態だった…【2023スクープ記事 4位】

集英社オンライン / 2023年12月28日 8時1分

2023年度(1月~12月)に反響の大きかったスクープ記事ベスト10をお届けする。第4位は、子役女優としても活躍した女子大生が殺された事件の記事だ(初公開日:2023年6月29日)。6月29日午前10時15分ごろ、横浜市鶴見区東寺尾中台のマンションに住む女性から「マンションの駐車場で娘が血だらけで倒れている」と110番通報があった。神奈川県警鶴見署員が現場に急行、刃物で刺されて血まみれで倒れていた大学1年生、冨永紗菜さん(18)が病院に運ばれたが、死亡した。

2023年度(1月~12月)に反響の大きかった記事をジャンル別でお届けする。今回は「スクープ記事ベスト10」第4位、子役女優としても活躍した女子大生が殺された事件の記事だ(初公開日:2023年6月29日。記事は公開日の状況。ご注意ください)

非常階段のあたりに若い男性が立っていた

通報から約10分後の同30分ごろ、包丁を持った20代の男が同署に出頭、「彼女が家から出てくるところを待ち伏せして刺した」などと供述したため同署は殺人容疑で男を逮捕した。男は同区本町通、伊藤龍稀(いとう・はるき)容疑者(22)。
2人の交際を巡っては、2年近く前から「けんかになっている」などの相談が同署に寄せられており、同署は交際トラブルが犯行につながったとみて動機などを詳しく追及している。冨永さんは芸能事務所に所属し、小学生や中学生時代には舞台公演などの経験もある元子役女優だった。

事件現場となったマンション(撮影/集英社オンライン)

現場はJR鶴見駅の西約1キロの住宅街の一角。冨永さん宅は同マンションの2階で、伊藤容疑者は容易に冨永さんが玄関から出るのを確認できたとみられる。4階に住む住民女性が事件発生直前の様子を振り返る。

「朝8時半ごろに犬の散歩から戻ったのですが、その際に2階の冨永さんの部屋のすぐ横にある非常階段のあたりに、若い男性が立っていました。横を通り抜けるときに犬がクンクンと匂いを嗅いだので『すみません』と声をかけると『大丈夫ですよ』と明るい感じで返事をしてくれました。しかし、早朝に住民でもない人がそんなところにいたことには、かなりの違和感を覚えました。今までそんなことは一度もなかったので」

住民が見た男は上下茶色の服装で、小さなショルダーバッグを腹の前で抱えるようにして、壁に寄りかかっていたという。
事件はマンション1階に近い地上の駐車場とみられるが、犯行時に大きな物音はしなかったという。1階に住む女性はこう落胆した。

「事件が起きただろう時間帯には部屋にいましたが、叫び声などはしませんでした。被害者の女の子は顔を合わせればあいさつしてくれる、ハキハキとした可愛い子で、『女優を目指しています』と言っていたんですが……」

逮捕された伊藤容疑者は飲食店の従業員だったとみられる。社会部記者が語る。

「知り合った経緯はまだわかりませんが、2人の交際を巡っては少なくとも4回は警察沙汰になっており、鶴見署が伊藤容疑者をストーカーとして警戒していたのは間違いないでしょう。最初は一昨年の10月ごろ、続いて昨年は夏と冬の2回、直近は今月に入ってからで、いずれも冨永さん本人や関係者からの通報で同署がマンションなど現場に駆けつけ、対応しています。男は興奮すると馬乗りになって冨永さんを殴りつけたこともあるといい、県警は対応に不備がなかったなどを含めて確認を急いでいます」

「痛いっ」「もう嫌だ。もう出てく」

冨永さんの小中学校時代の同級生の母親は、こう表情を曇らせた。

「娘と仲が良くて、小学生低学年のころはよく一緒に遊んでました。紗菜ちゃんは昔から明るくて可愛くて、当時すでに劇団のお仕事もしてました。お母さんは専業主婦でしたけど、演技力を伸ばそうと、すごく熱心に育てているように見えました。紗菜ちゃんが何かの劇に出ることになったときも私たち保護者仲間に『よかったら見に来てください』と一生懸命声かけをされていました。高校生になると可愛さに磨きがかかって、付き合う異性には困ってないようでしたけど、最近はDV気質の年上男性と付き合っているらしいと地元の子たちの間では噂になっていたみたいです」

冨永さんの中学校時代の同級生の弟はこう話した。

「中学時代は目立つような子ではなかったようです。でも、紗菜ちゃんと仲のいい僕の先輩が、今回事件を起こした彼氏から『お前、別れたら知らねえからな』と紗菜ちゃんが脅されていたと言っていたのを覚えています。今から3〜4カ月前のことです」

伊藤容疑者と同じアパートに住む20代の女性は、2人とみられる男女の激しすぎるケンカに辟易し、110番通報したことがあるという。

「これまでも何度か2階の部屋から男女がケンカする声や音が聞こえたことがあったんですが、去年の12月はあまりにもひどくて通報したんです。物を落とす音や何かが割れる音に加えて、女性の『痛いっ』『もう嫌だ。もう出てく』という叫ぶ声がしました。追いかけるように男性の『落ち着いて。そんな大きな声出さなくていいじゃん』という声も聞こえたんですが、夜中だったしケガでもしてるんじゃないかと思って通報しました。2階にどんな人が住んでるのかは私は見たことはないんで、その人が容疑者かどうかはわからないのですが」

伊藤容疑者が住んでいたアパート(撮影/集英社オンライン)

同じアパートに住む別の20代の女性も同様のトラブルを経験していた。

「5ヶ月くらい前、夜中の2時過ぎに壁や床に『ドン、ドン』と何かを叩きつける音がして、女性の『痛い』という叫び声と、男性の『あんまり騒ぐと通報されるだろ』という声が聞こえました。あまりにうるさいので通報をすると、しばらくたってピタリと声が止みました。実は以前に落ちていた郵便物を見たことがあり、宛名が『伊藤』だったので、おそらくその男女の声も容疑者の部屋かと思います。私が見たその男性はヘアバンドをして髪をあげていて、小柄で細身でした。女性も小柄で金髪でわりと派手めでした。断捨離でもしていたのか、2人でアパートの廊下にゴミを出していたのを見かけたこともありますが、そのときは仲良さそうにしてましたけどね……。
また、私とは違うタイミングで他の方が通報したこともあって、そのときは男性が部屋の扉を開けなかったようで、警察官が明け方までその部屋の扉を叩いていました。実際に事件が起きてみて、警察は何度も通報が入ってたんだから、もっと何かできたんじゃないかとも思います。ただでさえ、この辺は治安が悪くてケンカの声とかすごい怖いんで」

アカウントを何回変えても毎回メッセージが来る

冨永さんが凶行に倒れたマンションの現場付近では、2人とみられる男女が何度も目撃されている。

伊藤容疑者(共同通信社)

そして約1カ月前、冨永さんと話をした同級生の男性はこう話し、肩を落とした

「彼女とは小学校のときに同じクラスでした。すごく明るくて活発な女の子でした。6年生のときに運動委員会で一緒でしたが、テキパキ動くし、誰とでも分け隔てなく話せる明るい人でした。だから、男の子は彼女のことを好きな子が多かったです。足が速くて確かリレーの選手にも選ばれていたと思います。憧れでした。彼女と最後に会ったのは1ヶ月前です。友人らと何人かでお店で話をしましたが、そのときに彼女は、彼氏とはもう別れたと言っていました。でも、インスタグラムのアカウントを何回変えても毎回メッセージが来るから怖いと訴えていました…。つい最近も、『オマエ、俺と別れたら知らねえからな』と脅されていたようです。警察には4回くらい相談していたけど、全く動いてくれないと言っていました…。彼氏はニートだったみたいで、いわゆるヒモ状態だったようです。彼女が居酒屋でバイトをしてお金を稼いでいたと聞いています」


22歳の男と18歳の女性はどんな交際をしていたのか。そして度重なる通報や相談を受け、事件を未然に防ぐことはできなかったのか。今後の捜査の展開が気にかかる。

※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(Twitter)
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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