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ゴキブリと一緒に寝泊まりし、芋虫にかぶりつく…2千万円を投じた海外旅で、てんちむが気づいた本当の“お金の価値”「お金は使わなかったらただの紙切れ」

集英社オンライン / 2023年12月24日 13時1分

プロデュース商品炎上後の自腹返金を終えたてんちむは、炎上の後遺症とコロナ禍のマンネリをリセットするため、海外に出ることを決めた。2,000万円もの旅費を要した“コロナ禍の海外”シリーズ動画は、希少性もありヒット。人目を気にせず気ままに旅する中で気付いた「本当に大事なもの」と、てんちむが思う「お金を使うことの意義」とは? 『推される力 推された人間の幸福度』(星天出版)より、一部抜粋、再構成してお届けする。

お金は手段であり幸福ではない

「お金は使わなかったらただの紙切れ」と言うてんちむは、経験のための支出も惜しまない。 海外旅行のなかでもアマゾン川のアテンド・ツアーは高額だったが、希少な経験を得るための投資だと捉えた。



お金を使うっていうのは、経験を買うってこと。アマゾン川みたいに特殊な場所に行くのはお金がかかるから、そこでの体験が得られる人は多くないじゃないですか。そういう希少価値のある経験は自己投資の意味で買ったほうがいいって思ってるんです。中身を磨く自己投資になるから大事なんですよね」

てんちむが「内面を深めたい」と言っていたように、海外シリーズの裏テーマは自己成長だった。未知の体験をしたときに自分がどう思うかを知り、今までなく自分と対話できたと語る。それができたのはお金があったからでもある。

「てんちむってポジティブだねとか行動力があるねとか言われるんですけど、お金のおかげでもあるんですよ。お金があるから行きたいところに行けるし、臨機応変に対応できるんです」

海外に発つ数か月前、返金に追われたてんちむの口座残高は10万円だった。海外に滞在している最中にいくつもの案件を引き受け、連日ユーチューブに動画を投稿し、海外旅行そのものをコンテンツに変えて仕事にすることで、海外旅行にお金を使いながら稼ぎ、2,000万円分の海外旅行を実現した。

お金がなくても挑戦や再起はできる。2,000万円もなくたっていろんな国に行ける。ただ、お金には可能性と選択肢と勇気を拡大し、思い切った決断を後押しする力がある。生活費もままならない状態で、ままよ!とリセットボタンを押すのは無謀だ。

財力は経済的自立とイコールであり、自分の意思を尊重する礎になる。血の滲む返金生活でそれを体感したてんちむは、貪欲に稼ぐことをやめなかった。たかがお金、されどお金なのだ。

しかし、てんちむはお金至上主義者ではない。ユーチューバーになる前は「お金を稼いだら幸せになれる」と信じていたと言う。

「お金を稼ぐためにユーチューブ活動を始めたら、人気になるにつれてしがらみや誹謗中傷も増えて『お金を稼いでも全然幸せじゃないじゃん』って気付いたんですよ。入ってくるお金がストレスに比例しているように感じることもあって、すごくしんどくなったとき『私はこんなに心を貧しくしてまでこのお金が欲しいのか?』って自問して、いらないと思ったんです。 お金は心の余裕を生むけど、幸せになる手段にしか過ぎないんですよね」

お金も腹八分目がいい

むしろ「お金は持ちすぎないほうが幸せ」と考えている。多くのお金があると贅沢を知り、平均的な生活レベルに落とせなくなる。身の回りにお金持ちが増え、自分より上の世界も見えるようになり、劣等感や欲が生まれる。

「上の世界を知らないほうが現状に満足しやすいんですよ。発展途上国だけど幸福度が高くて『世界一幸せな国』って言われてたブータンが、スマホが普及してから国民が他国と比べるようになって、幸福度が一気に下がったって話を聞いて、何でも上を知ればいいってわけじゃないなと思いました。一人の人間として必要な分だけ稼ぐくらいが幸せなんじゃないかな」

しかし、てんちむの行動は「必要な分だけお金を稼げばいい」というものには見えない。タワマン・ハイブランド・ウーバーイーツといったイメージが定着しているように、多くを稼ぎ、気前よく使うライフスタイルだ。

「私はインフルエンサーで自分を発信しているから、かわいい服を着たほうがいいし、楽しいことに挑戦したほうがいいし、いろんなところに行ったほうが目立てるし、ネタを作れます。ついつい『お金があるに越したことはない、もっとがんばって稼がなきゃ』って思っちゃうんですけど、バッシングされながら得たお金で贅沢しても幸せじゃない。インフルエンサーじゃなかったら、もっと腹八分のお金で生きられる気がします」

刺激中毒はインフルエンサーの強み

刺激中毒のてんちむは、腹八分主義だ。満たされると世界が色褪せていく。海外シリーズでも「あと2〜3日滞在したいな」くらいで次の国に行くのがちょうどよかった。腹八分でわずかな心残りを抱えておくことが、飽きずにロマンを持ち続けるコツだ。

あらゆる刺激は花火のように爆ぜて、儚くひらひらと舞い落ちる。すぐ次の花火を打たな ければ輝かしい日々は続かない。インフルエンサーがSNSのコンテンツとして消費される 昨今、生き残るには消費され尽くさないようアップデートし続けなければならない。てんちむ流に言えば「喰われる前に喰う」ということだ。

そういった意味で、刺激中毒なてんちむの飽き性は強みでもある。

定期的に自分に飽きて『このままだとつまらなくて嫌だ』って思うタイミングが来るんですよね。大体は安定しているときか、でっかい目標がないときです。海外に行ったのも、このままステイホームの日本で変化なく過ごすのが嫌だったからだし、マンネリした環境にいるのは時間がもったいないって思っちゃうんですよね」

2,000万円の海外旅行を味わい尽くしたてんちむは「本当に必要なものはほとんどない」と知った。装飾品にまみれていくと、本当に大事なものが見えなくなる。

それを痛感したのは、海外のホテルでゴキブリに遭遇し、芋虫を食べたときだった。

人生に必要なものはほとんどない


南米のジャングル地帯を旅していたてんちむは、ゴキブリが徘徊するホテルに泊まったり、 アマゾン川のローカル食である芋虫を食べたりした。

調理された食用芋虫ではなく、頭が赤黒くて体が薄い黄土色の、ものすごく立派なむっち りした芋虫だ。それを素手で掴み、うにょうにょ動いている状態で生のまま頭からかじって食べたのだ。

先に現地の人が食べると、かじった瞬間に体液がポタポタとしたたり落ちた。真横で見ていたてんちむは「うわ」と眉をひそめたが、その表情のまま「オウケイ!」と頷き、頭からガブリといった。神妙な顔でガジガジとしばらくかじり「いっぱい噛むと液体が出てきます」と周知の事実を述べてから「芋虫って言われなければ平気。あっ、刺身みたいな味する。マグロ」とホントか?と聞き返したくなる食レポをした。

その後、焼いた芋虫も食べた。咀嚼中に「その芋虫は成長すると蛾になる」と言われ「マジで?ホントに(食べて)大丈夫?」と笑いながら飲み込んでいた。5億円返金と同じくらいすごい。

そんな体験をいくつも重ねたことで、てんちむは「私って頑丈なんだな」と気付いたらしい。てんちむ以外は気付いていた気もするが。

「別にゴキブリと一緒に寝るのも大丈夫だし、芋虫食べるのも『ローカルなものを食べたい』って思ってたからあんまり抵抗なかったです。日本ではいい家に住みたい、ウーバーイーツでおいしいもの食べたい、かわいい服を着たいって欲があったんですけど、それがなくても生きていけるなって知ったんですよね。いろんな執着がなくなったんですよ」

家で過ごす時間が長いてんちむは家の広さや住みやすさを重視していたが、炎上による転落で小さなアパートに引っ越してもさほど不自由を感じなかった。海外でシャワーやトイレがなくゴキブリまで出る宿泊先に泊まっても「別に寝れればいいや」と適応できて「どこでも生きられる適応能力がある」と自覚したらしい。

「海外だとてんちむを知っている人がいないから見た目を気にしなくていいし、どんな環境でも適応できるから広い家も必要なくて、服と家への執着がなくなりました。生きてくうえで本当に大事なものってめっちゃ少ないんですよ。でも見栄とかプライドで欲しいものが増えて、大事なものが見えなくなっちゃう」

お金や“てんちむ”より大事なもの

「大事なもの」とは何か聞くと、「自分の心」と返ってきた。

「自分の心が本当に一番大事。私はどうしたいんだろうって考えると、もっとプライベートを大事にしたいって結論に至りました。てんちむでいるとプライベートをおろそかにしちゃうから、てんちむを辞めない限り幸せにはなれないって思うんですよ。これは今に始まったことじゃなくて、前からずっと言ってることですけどね」

てんちむを辞めたい。

炎上前も、炎上中も言っていたことだ。でも、努力して返金を終えて「てんちむでよかった」と思ったのではなかったのか。

てんちむはバーレスク東京の卒業公演を終えて、目尻を拭いながら「私に生まれてよかった」と言った。その「私」というのは「てんちむ」ではなく「てんちむをまっとうした橋本甜歌」だったのだろうか。

お金にも“てんちむ”にも、執着がない。だからいつでもリセットボタンを押せてしまう。

リセットボタンはてんちむの延命装置になっていたが、リセットして延命できてしまったがゆえに、てんちむによって殺された心を生かす機会は奪われ続けたのかもしれない。自分の心と向き合い育てる間もなく、次々にリセットして新しい自分を作った。

それが幸か不幸かは、本人にしかわからない。

文/秋カヲリ
写真/『推される力 推された人間の幸福度』より出典

『推される力 推された人間の幸福度』

てんちむ

2023年11月18日発売

1,870円(税込)

344ページ

ISBN:

978-4910903040

「私を死なせてでもてんちむを生かす。道化になっても生き抜いてやる」

10歳から29歳まで推され続け、2023年9月に無期限活動休止した天性のインフルエンサー・てんちむの度重なる転落と再起を追い、鬼の自己プロデュースによる【推される力】を彼女の言葉と周囲の人々の言葉で赤裸々に紐解く1冊。
大炎上から半年で5億円を支払った逆転劇の裏側と、活動休止に至る葛藤とは―?

自分をさらけ出して私生活を切り売りし、人気と幸福度に向き合ったてんちむが、29歳最後の日に届けるこれまでの総決算。

「炎上後は『全身整形して別人として生きていきたい』って何度も言ってました」(アシスタント)
「たかが2億2000万円を守って、てんちむ生命を終わらせてたまるか。炎上商法と言われるものをやって、今のバッシングも全て生かして、私を死なせててんちむを生かして、道化として生きて最後の金稼ぎをするしかない」(てんちむ)
「銀座にバケモンが来たな、と思いました。こんなに売上を立てる人は見たことがないですし、たぶん今後も現れないと思います」(クラブ・黒服)
「過程から本番までの見せ方がうまくて、女性は『夢中になってるてんちむを見てると幸せ』ってなるし、男性は『無邪気で愛せる』ってなる。『コイツ、おもろいから追い続けたいな』って思うんです」(友人)
「彼女はどれだけ避けても、投げ出しても、逃げ出しても、その場その場で成功してしまった。家出して上京しても、芸能活動を辞めても、モデルを辞めても、人と向き合わなくても、それでもずっと成功してきた子なんですよね」(元恋人)

――この本を読んだあなたは、私に対してどんな印象を受けるんだろう。強い?自立?自由?破天荒?想像通り?
私はこの本を読んで「とても頑張ってるはずなのに、かわいそうな人」に見えました。この本の取材期間中は、私自身を見直す期間でもありました。(てんちむ)

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