〈那須・焼かれた2遺体〉暴行現場はシャレた空き家の豪邸。逮捕された刺青男は「報酬に大金をもらった」いっぽう「傘で腹を刺し、犬以下のクズ!と」もうひとつの“宝島ロード事件”の裁判も続行中
集英社オンライン / 2024年4月25日 22時28分
〈〈那須・焼かれた2遺体〉「いつかこうなると思った」もうひとつの遺体は日頃からトラブル相手を罵っていた妻だった…逮捕された刺青男は「アニキ」と「共犯」について供述を開始〉から続く
東京・上野で焼肉店などの飲食店を多店舗展開する「サンエイ商事」社長の宝島龍太郎さん(55)と妻幸子さん(56)が殺害され、4月16日早朝に栃木県那須町の河川敷で火をつけられた遺体で見つかった事件。遺体発見前日の夜に宝島さん夫婦が立ち寄ったとみられる品川区内の空き家を警視庁が家宅捜索し、ガレージで血痕が見つかっていたことも判明した。また、宝島さん夫婦らが近隣の飲食店社長に暴行されたとして損害賠償を求めた裁判の手続きが4月25日東京地裁で開かれ、訴訟が続くことになった。
〈画像多数〉トラブルが発生し声を荒げる宝島さんと妻の幸子さんのツーショット写真。さらに平山容疑者の「カエルとダルマ」の和彫りの刺青写真
「訴訟は当面続きます」
サンエイ商事はJR御徒町駅から上野駅にかけてのエリアで14店舗を展開し、その一角が「宝島ロード」と呼ばれるほど勢いのある経営をしていた。だが「周辺の店との間で客の奪い合いでしょっちゅう揉めごとが起きていた」と近所の飲食店関係者らは口をそろえる。
こうした中で宝島さん夫婦とサンエイ商事幹部社員の男性D氏の3人は、昨年3月に飲食店B店の社長C氏から暴行を受けたとして、昨年11月に東京地裁に損害賠償請求訴訟を起こしている。25日にこの裁判手続きが非公開で行われた。社会部記者が言う
「宝島さんとCさんの間では、先にCさんのほうが営業妨害を受けたとして損害賠償を求める訴訟を昨年10月に起こしており、その後宝島さん側も暴行を受けたなどとしてCさん側を訴える訴訟を3件起こしています。25日に行なわれた裁判手続きはその3件のうちの1件です。原告3人のうち宝島さん夫婦の2人が亡くなり、残るはDさんだけになりましたが、民事訴訟は親族が引き継ぐこともできるため、裁判がすぐに止まることはありません」
訴訟の関係者も25日の手続き終了後、「先にどうなるかはわかりませんが訴訟は当面続きます」と話した。
別の関係者によれば、宝島さん側はこの訴訟で、C氏側がサンエイ商事従業員を引き抜いたことで起きたトラブルについて協議を求め、昨年3月25日夜にB店を訪れた。そして店の前で待っていたところ、外から到着したC氏ら2人が宝島さん夫婦とD氏の顔面や頭、首などを突然、一方的に殴ってきたと主張。
3人はいずれも2週間の加療が必要な打撲傷などを負ったとして、計約358万円の賠償支払いを求めている。
対するC氏の主張は正反対だ。
「Cさんは、従業員を引き抜いたことはないと主張しています。騒動が起きた夜は、Dさんが首などから刺青を見せながら店に何度も侵入しているとの連絡を従業員から受けて店に駆け付け、宝島さんら3人を店の外に追いやろうとした。
その際、傘で腹を刺されたり、中国語や朝鮮語で『バカ野郎』『浮気者』『犬以下のクズ』という暴言を浴びたりしたとも言っています。Cさんはその過程で幸子さんとDさんを2回ずつ殴ったことを認めていますが、差し迫った不正行為をやめさせるための攻撃で、大幅な過失相殺が認められるべきだと裁判所に求めています」(社会部記者)
コンクリート打ちっぱなしの地上3階、地下1階建ての豪邸
C氏側は店に取り付けた防犯カメラの映像などを証拠として提出。裁判は双方の主張が出尽くしたところで当事者の尋問が行なわれることもあるが、原告側で存命なのはいまやD氏だけ。D氏が法廷に立つのかどうかも含め、立証の行方は不透明な状況だ。
一方、事件の捜査は急展開を見せている。
「宝島さん夫婦は遺体が発見される前日の15日夜、知人2人と同じ車に乗って品川区へ行き、新たな店の物件の見学をしたとみられています。東品川付近の防犯カメラに宝島さんらがタバコを吸っている姿などが映っていました。
夫婦はこの後、拉致された後に殺害され、那須まで運ばれて遺棄されたとみられていますが、警視庁と栃木県警は東品川にほど近い品川区内にある住宅に、夫婦が立ち寄ったとの情報を入手しました。
警視庁が家宅捜索令状を取ってこの家を24日から調べたところ、ガレージで血痕を見つけました。宝島さん夫婦のどちらかのものである可能性があるとみてDNA鑑定が行われています」(警視庁担当記者)
問題の邸宅は閑静な住宅街にあり、コンクリート打ちっぱなしの地上3階、地下1階建ての豪邸だ。居住している人は現在おらず、空き家になっているという。周辺に住む50代の男性が語る。
「22日に10人ほどの警察官が突然、空き家に向かっているのを見ました。靴にビニールをかぶせ、頭にもシャワーキャップのようなのをかぶっていました。何かあったのだろうかと思ったら規制線が張られて作業を始めていました。あそこの一戸建てはもともと何かの会社が入っていて、スーツを着た男性と事務員みたいな若い女性が出入りしていました。
1年ほど前は、その会社の人がペットボトルなどのゴミの廃品を当番で出してるところや、朝にスーツの男性が出勤してくるのをよく見かけました。ここ1年くらいは人の出入りを見なくなっていましたが、空き家だというのは報道が出るまでは知らなかったです」
ガレージが開いてることもあったような気もしますが…
別の近隣の女性住民も空き家だとは気づかなかったという。
「正直そこまで気にして見てなかったというのはありますが、ここ最近は人の出入りはなかったように思います。ガレージが開いてることもあったような気もしますが、細かいことは記憶にないです。以前会社があった時は社用車だと思いますが、白いセダンの車がよく出入りしていました。
会社はずっと同じ会社かはわかりませんが、10年くらい前から入っていたと思いますよ。何年か前に近辺で2軒窃盗に入られたということはありましたが、ふだんは不審な人も見かけないですしね。事件のあった日も私はいつも早くに寝るので物音などには気づきませんでした」(女性住民)
死体損壊容疑で逮捕された平山綾拳容疑者(25)は「アニキ」と呼ぶ「怖い人」から遺体の処分を頼まれ、知り合いの飲み仲間2人に所有する黒い車を貸し、「報酬に大金をもらった」と供述している。
「平山は15日夜に品川区内のコンビニエンスストアで男2人に自分の車を引き渡しています。警視庁がすでに押収したこの車からは血痕や幸子さんの運転免許証、結束バンドなどが見つかっており、平山から車を受け取った2人が品川区内の住宅へ行き、そこから宝島さん夫婦を那須まで運んだ可能性があります」(社会部記者)
この品川区内の家まで宝島さん夫婦を連れ込み殺害、もしくは抵抗不能の状態になるまで暴行を加えることを計画したのは「アニキ」なのか。それともアニキに指示を出した別の人物がいるのか。捜査は少しずつ事件の核心に近づいている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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