バイクでのツーリング中、ほかのライダーとすれ違うと、ピースサインや挙手を交わすことがあります。知らない人からすると一見奇妙に思えるこの行動は「ヤエー!(YEAH!)」と呼ばれ、ライダーには常識の挨拶の文化。その言葉のないコミュニケーションには「こんにちは」の意味だけではなく、「気をつけてね!」や「楽しんでね!」など人によってさまざまな意味が込められていて、実際にやってみるとなんとも言えない気持ちよさがあります。
ライダーでないと日常生活でこのような体験をすることはあまりないと思いますが、私の知る限り、1車だけハンドサインを交わし合うクルマがあります。
それは、第二次世界大戦中にアメリカで軍用車として開発され、欧州戦域の連合国軍最高司令官(CINCAF)を務めたドワイト・D・アイゼンハワー大統領が、"第二次世界大戦を勝利に導いた兵器”として、「C-47輸送機」や「バズーカ」などと並んで挙げたことでも知られる「Jeep」です。
四輪駆動車の代名詞であるJeepは、初代「Jeep Willys」の登場から81年が経ち、現在はステランティスグループの1ブランドとして「WRANGLER」「RENEGADE」「COMPASS」「GRAND CHEROKEE L」「GLADIATOR」がラインナップ。2013年以来国内市場において9年連続で販売記録を更新し、2021年度には年間1万4000台という 、過去最高販売台数を達成している、今大人気のクルマです。
「Jeepにはオーナー同士がすれ違うとハンドサインで挨拶をする文化があります。これは『Jeep Wave』と呼ばれるのですが、なぜWave(波)なのかというと、ハンドルを持ちながらピースした手の形が波のように見えるからです。Jeep Waveの起源には諸説ありますが、第二次世界大戦中にアメリカ軍がヨーロッパへ戦争に行ったとき、兵士たちが敬礼代わりに行ったのが始まりと言われます」(Stellantisジャパン・新海氏)