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「天体写真コンテスト」2022年の受賞作品発表! グリニッジ王立博物館

sorae.jp / 2022年9月22日 21時6分

今年もこの季節がやってきました。イギリスのグリニッジ王立博物館は現地時間9月15日、同博物館が開催した天体写真コンテスト「Astronomy Photographer of the Year 2022」の受賞作品を発表しました。全11部門にノミネートされた素晴らしい作品の数々から、その一部をご紹介します。

■2021年のクリスマスに撮影されたレナード彗星 【▲ Astronomy Photographer of the Year 2022総合優勝作品「Disconnection Event」(Credit: Gerald Rhemann)】

【▲ Astronomy Photographer of the Year 2022総合優勝作品「Disconnection Event」(Credit: Gerald Rhemann)】

2022年の総合優勝に輝いたのはこちらの作品、Gerald Rhemannさんの「Disconnection Event」です。「Planets, Comets and Asteroids(惑星、彗星、小惑星)」部門の優勝作品でもあるこの写真は、2021年12月に地球へ最接近した「レナード彗星(C/2021 A1)」の美しい姿と、驚異的な瞬間を見事に捉えています。

ナミビア共和国ホマス州の南東部にあるゲストファームを訪れていたRhemannさんは、2021年12月25日にこの写真を撮影しました。天候に恵まれた夜、レナード彗星を撮影した1枚目の写真では尾が印象的に感じられたことから、Rhemannさんは視野を広げて2枚目を撮影することにしたといいます。するとその時、「レナード彗星の尾の一部が切り取られて、太陽風に運ばれました」(Rhemannさん)。受賞作品は、レナード彗星の尾が切断された時の様子を捉えたものなのです。

審査員を務めたNew Crescent Society理事長のImad Ahmedさんは「この写真では天文学、神話、そして芸術が見事に一体となっています。優雅に捉えられた尾の切断は、科学者にとって大きな価値があるでしょう。けれどもクリスマスの日に撮影されたこの写真は、ベツレヘムの星や、夜空を舞う天使や妖精といった、別世界のストーリーをも物語っているかのようです」とコメントしています。

関連:レナード彗星はこれで見納め! その「尾」を追っかけてみました!

■月を横切る国際宇宙ステーションを鮮明に撮影 【▲ Astronomy Photographer of the Year 2022「People and Space」部門優勝作品「The International Space Station Transiting Tranquility Base」(Credit: Andrew McCarthy)】

【▲ Astronomy Photographer of the Year 2022「People and Space」部門優勝作品「The International Space Station Transiting Tranquility Base」(Credit: Andrew McCarthy)】

続いてご紹介するのはこちらの作品、「People and Space(人と宇宙)」部門で優勝したAndrew McCarthyさんの「The International Space Station Transiting Tranquility Base」です。米国アリゾナ州のフローレンスで撮影されたこの写真には、色彩が強調された月を背景に、シルエット状の国際宇宙ステーション(ISS)が小さく写っています。その位置は、1969年7月20日(日本時間21日)に静かの海へ降り立った「アポロ11号」の着陸地点と重なっています。

地上からISSを見たことがある人は、その時の様子を思い出してみて下さい。高度約400kmを秒速約7.7kmで飛行しているISSは、姿を現してからほんの数分で飛び去っていきます。そんなISSが月の手前を横切り、アポロ11号の着陸地点と重なって見える瞬間を狙いつつ、ISSのシルエットがはっきりと見分けられるように撮影するのは簡単なことではありません。McCarthyさんは数ミリ秒のチャンスを逃さないためにまずは地球上における自分自身の位置を正確に調整し、完璧なタイミングを狙って高フレームレート・高速シャッターの望遠撮影を行うことで、月面とISSを鮮明に捉えることに成功したといいます(※)。

審査員の一人であり、「Astronomy Photographer of the Year 2019」で総合優勝に輝いたLászló Francsicsさんは、人間の象徴であるISSの小さなシルエットと広大かつ詳細に捉えられた月面の対比は、人類がいかに儚(はかな)い存在であるかを示しているとコメントしています。

※…撮影時の機材や条件といった技術的な情報はグリニッジ王立博物館の特設ページ(英語)で作品ごとに確認できます(URLは記事の最後に記載)

関連:グリニッジ天文台の天体写真コンテスト、2019年の受賞作品が発表

■衝突の歴史を物語る威厳にあふれたソンブレロ銀河 【▲ Astronomy Photographer of the Year 2022「Galaxies」部門優勝作品「Majestic Sombrero Galaxy」(Credit: Utkarsh Mishra, Michael Petrasko, Muir Evenden)】

【▲ Astronomy Photographer of the Year 2022「Galaxies」部門優勝作品「Majestic Sombrero Galaxy」(Credit: Utkarsh Mishra, Michael Petrasko, Muir Evenden)】

最後にご紹介するのはこちらの作品、「Galaxies(銀河)」部門で優勝したUtkarsh Mishraさん、Michael Petraskoさん、Muir Evendenさんの3名による「Majestic Sombrero Galaxy」です。

中央に写っているのは「ソンブレロ銀河(Sombrero Galaxy)」の愛称で知られる「M104(Messier 104)」です。ソンブレロ銀河は渦巻銀河に分類されてきましたが、実際には内部に渦巻銀河のような円盤構造を持つ楕円銀河だったことが近年の観測で判明しています。3枚の画像を合成することで作成されたこの作品では、ソンブレロ銀河の特徴的な円盤構造の周囲に広がるハローや、過去に別の銀河と衝突したことで生じたとみられるストリーム(ループ状の構造)もかすかに捉えられています。

審査員を務めたBBC Sky at Night magazineのSteve Marshさんは、天体写真家は定番のソンブレロ銀河からさらに威厳を引き出す方法を模索しており、虚空に浮かぶぼんやりとした過去の衝突の痕跡を目にすることはただただ素晴らしいとコメントしています。

関連:楕円と渦巻のハイブリッド、ソンブレロ銀河に秘められた歴史

なお、グリニッジ王立博物館が公開しているコンテストの特設ページでは、全11部門の入賞作品がすべて公開されています。どの作品も素晴らしいものばかりですし、撮影機材や露光時間といった技術的な情報も記載されているので、興味を持たれた方は以下のURLにアクセスして是非ご覧下さい!

関連外部リンク:Astronomy Photographer of the Year 2022 WINNERS( https://www.rmg.co.uk/whats-on/astronomy-photographer-year/galleries/overall-winners-2022 )

 

関連:グリニッジ天文台が「天体写真コンテスト」2021年の受賞作品を発表!

Source

Image Credit: Gerald Rhemann; Andrew McCarthy; Utkarsh Mishra, Michael Petrasko, Muir Evenden グリニッジ王立博物館 - Astronomy Photographer of the Year 2022 WINNERS

文/松村武宏

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