相続において非常に評価が難しい雑種地について元国税の税理士が解説
相談LINE / 2021年2月2日 19時0分
相続税の申告で問題になる土地の評価については、土地の用途に係る区分である地目に応じ、それぞれに定める方法で評価することになっています。相続税評価において、地目は9種類ありますが、最も雑多な地目が雑種地です。雑種地は、残り8種類の地目以外の地目に区分される土地を意味するとされています。
このように、雑多な内容であることもあって、雑種地の評価は非常に難しいと言われています。
■雑種地の評価の原則
この雑種地ですが、原則として類似する近傍土地評価を基礎とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮した調整した価額で評価します(近傍地比準価額方式)。近傍「宅地」ではなく近傍「地」ですので、必ず宅地を比準するのではなく、農地や山林を比準する場合もあります。
例外的な評価として、固定資産税評価額に所定の倍率をかけた金額で評価する倍率方式もありますが、倍率方式が認められる雑種地は国税庁が公開している倍率表に乗っている地区だけで、かつその地区は非常に少ないですから、近傍地比準価額方式で評価するのがほとんどです。
■市街化調整区域の雑種地の評価
その他、雑種地の評価で問題になるのは市街化調整区域にある雑種地についてです。これについては、国税庁のホームページにおいて、宅地比準で雑種地を評価する場合、市街化調整区域にあるものについては、評価額が減額される取扱いが設けられています。
市街化調整区域とは、簡単に言えば市街化を抑制する地域として指定された地域であり、このような地域については、建物の建築が制限されることになります。相続税の土地の評価の考え方として、建物を建てることが抑制されたり、借地権が付されているなど土地の利用が制限されたりする場合には、評価額を下げる、というものがあります。このため、市街化調整区域にある雑種地は、一部評価を下げることとしているのです。
具体的には、市街化調整区域のうち、(1)市街化区域との境界付近で宅地価格と同等の取引実態が認められる地域は評価減なく、(2)(1)以外の市街化区域との境界付近は30%減、(3)純農地などと市街化調整区域との境界付近のものは50%減されるとされています。この点、こちらの国税庁ホームページの図をご参照ください。
実態に応じた判断が必要になりますので注意してください。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。税務調査対策術を無料で公開中。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
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