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『婚活1000本ノック』も…?“ここ数年のテレビドラマ”が多用する、とある演出に食傷気味な件

日刊SPA! / 2024年2月7日 15時51分

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『婚活1000本ノック』Instagramより

お笑い界から吹き込まれる名演は多い。とはいえ、まさか「3時のヒロイン」の福田麻貴にも主演のチャンスがくるとは……。
福田初主演ドラマ『婚活1000本ノック』(フジテレビ)が、毎週水曜日よる10時から放送されている。福田の表情やドラマ展開は申し分ないけれど、気になるのはモノローグの使い方だ。

「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、本作を恰好の参考例として、モノローグという視点から見えてくるテレビドラマのトレンド事情を解説する。

◆現在まで一足飛びのモノローグ
『婚活1000本ノック』では、冒頭すぐナレーションが流れる。コロナ禍での孤独が、人々をいかに婚活へ駆り立てたのか。現代人が婚活に焦り、もがく時代背景などが、端的かつ、明快に説明される。それに合わせてウェディングドレス姿の福田麻貴が刀を手にして次々切りまくる。

この冒頭場面を見れば、本作でこれから描かれる内容についてはおおむね理解できるように思う。ナレーションの次は、主人公・南綾子(福田麻貴)のモノローグが続く。

「この物語の主人公は私である」とコミカルな調子で主人公自ら説明してくれる。作品のトーンがただちに決定されると同時に、小学生時代から33歳の現在まで一足飛び。33年間の半生がわずか3分たらずでコンパクトにまとめられるというテンポのよさは、倍速以上に効果的。

◆33年間どころか、「400万年の省略」

いやはや、人の半生をそんな短さで描いてしまえるモノローグとは、何と魔法的なものか。というか、視聴者にとってのタイパ(今風だとタムパ)よすぎじゃない? と思うが、いやいやそれならもっとすごいのがある。

スタンリー・キューブリック監督による名作SF映画『2001年宇宙の旅』(1968年)の冒頭では、より驚きの編集技法が炸裂した。人類の祖先がモノリスなる黒い板のようなものによって知識を授けられ、有史へ向けて力を得た瞬間、手にしていた動物の骨を放り上げる。

宙を舞う骨。それが次のカットで衛星に変わる。これが映画史上最も大胆なジャンプカットであることは有名な話。『婚活1000本ノック』の33年間どころか、キューブリック監督が、400万年の省略をわずか3カットの画だけでちゃんと説明づけているわけだ。

◆ここ数年のテレビドラマは「モノローグが多すぎる」

つまり、音による説明(劇伴や効果音は別)には一切頼っていないということ。映画と違って、テレビドラマは“ながら見”も想定している。ワンショットずつ丁寧に画を見せることよりも、音ありき、音勝負の側面が強い。当然、台詞が重視される。映画は監督で、ドラマは台詞を書く脚本家のクレジットがメインになるのはそのためである。

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