“斜陽の出版業界”で唯一儲かっている電子コミック。好調の各社と「売上高が大幅減少する」企業で分かれた明暗
日刊SPA! / 2024年4月11日 8時53分
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中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
街の書店が姿を消していることが象徴しているように、紙の書籍は販売額の減少が止まりません。その一方で電子書籍は右肩上がりに伸びています。
市場をけん引しているのが電子コミック。サービスを提供する会社の多くが業績絶好調ですが、その裏で苦戦している会社もあります。
◆「紙の出版物」は減少の一途をたどるが…
出版科学研究所によると、2023年の紙の出版物の販売額は1兆612億円。前年比6.0%の減少でした(「出版指標 2023年出版市場」)。ただ、電子書籍は6.7%増加し、5351億円となりました。2018年は2479億円。5年で電子書籍の市場は倍増したことになります。
とはいっても、この数字を電子書籍というフィルターだけで見ると、実態を見誤ります。販売額の9割を占めるのが電子コミックだからです。
紙の市場は4割以上が雑誌で構成されています。これが電子になるとわずか1.5%ほど。その他の書籍も9%にも達していません。
2023年のデジタルにおける、コミック以外の雑誌・書籍の販売額は前年割れしています。デジタルの小説やビジネス書などはコロナ禍の2021年に販売額のピークを迎えましたが、それ以降は緩やかに縮小へと向かいました。
◆唯一伸びているのも「電子コミック」
電子書籍のみならず出版市場全体において唯一伸びているのが電子コミックなのです。2023年の販売額は4830億円。前年比7.8%の増加です。
電子コミックは、Webメディアなどにインパクトのある一コマを広告という形で掲載し、サービスへと誘導するなど巧みなマーケティングで読者を引き込んでいます。
紙時代のマンガは、雑誌連載を人気化させてコミックの販売に繋げるという手法を取っていました。現在はそのビジネスモデルが崩壊して編集者の役割も変化しています。スマートフォンに特化した縦スクロール型の漫画も登場し、消費者の選択の幅は広がりました。
市場を拡大するという視点では、大いに歓迎すべき時代になったと言えるでしょう。
◆「ウェブトゥーン」に強いピッコマは好調
電子コミックの単一プラットフォームとして、2023年に国内で初めて取引額1000億円を突破した会社がカカオピッコマ。ピッコマは韓国のIT企業カカオの日本法人カカオジャパンが2016年に開始したサービスです。電子コミックがヒットしたことにより、商号をカカオピッコマに改めました。
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