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岸田首相の言葉はなぜ響かないのか?“昭和の名宰相”の演説・スピーチと比較する

日刊SPA! / 2024年4月12日 8時51分

 そのうえ、東京では小中学校を週休2日制にしてはどうかとやっている。私は反対だ。これをやめて、むしろ夏か冬にまとめて休ませたほうがいいんです。都会の狭い鳥カゴみたいな家に、大きなお父さんが土曜も日曜もゴロゴロしていたら、おっかさんはたまったもんじゃないねぇ(大爆笑)。子供にまで土曜、日曜とまとわりつかれたら、おっかさんはもはや生きていられなくなっちゃう(笑)。私は断固、反対だ。

 子供は毎日、毎日、教え込まないとダメなんです。サーカスの動物だって1日ムチをやらないと、一から出直しどころか、訓練そのものがパーになっちまうですよ。子供も同じ。1週間に2日もブラブラしていたら、もとに戻ってしまう。教育とは、そういうもんじゃないですか、皆さん!(大拍手)」

 教師のデモ参加や義務教育の〝週休2日制〟が話題になっていた頃、田中の地元・新潟で開催された演説会の一節で、筆者が会場でメモを取ったものである。時に本題から〝脱線〟することもあったが、正味1時間、聴衆の誰もが熱に浮かされたように上気し、やがて満足げに会場をあとにしたものだった。田中がこの演説で、また支持者を増やしたことは言うまでもなかったのである。

 スピーチ上手は、人物の器を2倍、3倍にも大きく見せることを知っておきたい。

◆最強の説得力は「自分の言葉」で話すこと

 田中角栄は絶対の自信を持つ自らの演説などについて、「スピーチ上手への極意」を次のように語ったことがある。

「ワシの話は、聴衆が田舎のジイサン、バアサンでも、学生、サラリーマン、会社経営者でも、議員でも役人でも、誰もが分かるようにできている。つまり〝のけ者〟は一人もいない。暗い話は一切しない。誰もが『ああ、今日は話を聞いて良かった』と、心の底に何か一つでも持って帰れるようになっている。ダメな話の典型は、たいそうな話をするが、どうにも心を打つものがないというヤツだ。また、聞き手の気持ちが眼中になく、自分を売り込むことばかりの話も相手にされない。

 そのうえで最も大事なのは、〝自分の言葉〟で話せるかどうかだ。本、新聞、テレビ、あるいは友人、知人から借りた、どこかで聞いたような〝他人の言葉〟の羅列はダメだ。たとえ稚拙でもいい、とにかく自分の人生経験から得た〝自分の言葉〟で話すことだ。一所懸命で話にかわいげがあれば、聞き手は少なくとも耳を傾けてくれるはずだ」

◆黙っていても誰もついてこない

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