食品から業務用スマホまで。迅速な発注・納品に対応のマレーシアB2Bマーケットプレイス「Lapasar」
Techable / 2024年4月30日 18時0分
Amazonや楽天市場は2C(to C)マーケットプレイスである。すなわち、一般消費者向けのサービスだ。
単に一言「マーケットプレイス」といえば、ほとんどの人は2Cを連想する。しかし、世界ではB2B専用マーケットプレイスが朝の太陽のように頭角を表しているのだ。
この記事ではマレーシアのB2B卸売プラットフォーム「Lapasar」について解説しよう。同プラットフォームは、小規模店舗が販売する商品から会社の備品まで、あらゆるB2B取引を想定したサービスを展開している。
「品切れの商品の補充」は大変な仕事マレーシアではどこにでもある小規模小売店。食品や日用品など、生活に必要なものはここに行けば買うことができる。現地の人々にとっては、コンビニよりも利用頻度が高い「地域経済の中核」だ。
@lapasar.comLapasar adalah aplikasi borong yang menolong peruncit kecil dengan penghantaran stok yang laju & percuma.♬ original sound - Lapasarしかし、タイミングが悪く品切れを起こしている場合も多々ある。それを説明するために、ここでは上の動画のやり取りを解説したい。
「おじさん、エクストラジョス(東南アジアで広く消費されている粉末エナジードリンク)どこ?」と客に質問された店主は、店の奥の店を指差す。ところが、エクストラジョスの箱には肝心の在庫がない。
「OK、また明日来るよ」と客に言われた店主は、早速スマホを取り出して卸売業者に電話する。しかし、なかなか出ない。仕方なく店主は別の卸売業者に電話するも、こちらもつながらず。「品切れの商品を発注する」というのは、文字で書くよりも面倒な作業だ。
その後、店主は新聞の折り込み広告がきっかけでLapasarというものを知る───という内容だ。
Lapasarのスマホアプリでオンライン発注をすれば、倉庫から商品が直送される。発注業務の負担が大幅に軽減されるという仕組みだ。
「進化した問屋」は経済を下支えするこうしたオンライン卸売サービスは、今や東南アジア全体に拡大している。
GDPの大部分を稼ぎ出し、雇用の受け皿になっているのは大企業ではなくMSMEs(中小零細企業)である。これを大資本の店舗が潰してしまっては元も子もない。
MSMEsをそのまま活用しつつ、旧態依然の仕組みに甘んじている彼らのDX化を促す方法は何か。問屋すなわち卸売業を進化させるしかない。
伝統的に、問屋は早朝に赴くところだ。そうしなければ、目当ての商品は同業他者に買われてしまう。しかし、店主の身体はひとつしかない。毎日問屋へ足を運ぶ生活を送るわけにはいかない。だからといって電話で発注をかけようとすると、上述のような問題が発生するのだ。
それでは、あらかじめ多めに商品を仕入れておけばいいという意見もあるかもしれない。これには小規模店舗には在庫に余裕を持たせるだけのストレージがないという事情と、もしも多く仕入れた商品が売れなかったらそのまま経済的損失になってしまうという問題がある。
そうした理由から、急な発注にすぐさま対応できるオンライン卸売サービスに大きな期待がかけられているのだ。
「会社の備品購入」にも対応現時点で1万以上のアプリダウンロード件数を達成しているLapasarの場合は、「企業が使う備品の販売」にも対応している。
一例を挙げると、業務用のスマートフォンを企業が求めている場合はLapasarのプラットフォームで購入することが可能。もちろん、法人による購入のため見積依頼書や発注書、請求書、領収書は必ず発行される。それらのデジタル化にもLapasarは対応し、ペーパーレスの取引を実現させている。
そんなLapasarだが、2024年2月に複数のベンチャーキャピタルから3,100万リンギット(約10億円)の資金を調達した。これは東南アジア地域で一種の「B2Bマーケットプレイスブーム」が起きていることを示す現象ではないか。
途上国や新興国は、今までの遅れを取り返すように驚くべき勢いの「技術革新」が進められている。分野によっては、経済先進国の光景を凌駕しているほどだ。
こうした昨今の新興国の光景から経済先進国が学び取れることは数多くあるだろう。そして、このムーブメントは当面の間続くのではないだろうか。
参考・引用元:Lapasar
(文・澤田 真一)
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