実験店舗に行ってみた!「SIPストア」とPB比率50%「まいばすけっと」 その狙いは?
東スポWEB / 2024年4月25日 18時8分
狭小商圏で戦い抜くために――。コンビニ業界の雄「セブン-イレブン」と“コンビニキラー”として存在感を発揮する「まいばすけっと」がともに実験店舗で興味深いテストを行っている。流通ウォッチャーの渡辺広明氏がその狙いを徹底解説した。
セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)とイトーヨーカ堂(IY)がグループシナジーの最大化を目指すためにテスト店舗として2月末にオープンさせたのが「SIPストア」(※SIPはSEJ・IYパートナーシップの通称)だ。
場所は新京成線・常盤平駅のすぐ近く。1日の平均乗降客数は1万6787人(2022年度)とそれほど多くなく、地域住民以外が訪れることがまずなさそうな、閑静な住宅街が広がっている。
SIPストアは店舗面積が約290平方メートルと通常店の約2倍で、取り扱い商品数も約5300点とこちらも通常店の約1・8倍と豊富だ。入り口を入ると右側にパン、おにぎり、弁当、飲料、アイスなどコンビニの定番が置かれ、左側には冷凍ケースがズラリと、調味料、セブンプレミアムの総菜類、生鮮3品(青果、精肉、鮮魚)が並ぶ。グループ商品としてアカチャンホンポのベビー用品や、ロフトが選んだトレンドのメーク用品や入浴剤などもある。さらに紅茶マシンのほかチョコクロワッサンやメロンパンなど焼きたてパンの提供などカウンター周辺でも多様な実験が進められている。
「10日にセブン&アイ・ホールディングスがイトーヨーカ堂などのスーパー事業の株式上場検討が報じられましたが、その背景にはGMS(総合スーパー)の苦境があります。ヨーカ堂だけでなくダイエーも西友もチェーンストア理論で過去に成功を収めましたが、現況ではうまくいっていない。一律的な展開から脱却して、地域に根差した店舗が求められています。SIPストアの取り組みというのはセブン、つまりコンビニが作った狭小商圏を足がかりにグループのシナジーを見いだそうというものです」(渡辺氏)
改装後の売り上げは好調だというものの、5月には目の前に「OKストア」が出店予定で改めて真価が問われることになる。渡辺氏も「まだ半分セブン、半分ヨーカードといった印象で、ちぐはぐな感じは否めない」と手厳しい。
一方、イオングループが展開する「まいばすけっと」が実験店として選んだのは横浜市都筑区のまいばすけっと仲町台駅南店。横浜地下鉄ブルーラインの仲町台駅の乗降客数は2万9221人(22年)とこちらも住宅街の駅といった印象だ。面積は約280平方メートルでほぼSIPストアと同じだが、店内に並ぶ3300商品のうち半分に当たる約1600品をプライベートブランド(PB)の「トップバリュ」シリーズにした。
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