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アートは投資? それとも癒し? コロナ禍でアートが爆売れ

LIMO / 2021年3月22日 18時35分

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アートは投資? それとも癒し? コロナ禍でアートが爆売れ

活況のニュージーランドアート市場

先日、久しぶりにある友人を家に訪ねました。すると、ドアを開けたとたん以前とはまったく違う雰囲気が…。

玄関を入ったところにまず1枚、居間に通されてまた1枚と大振りの絵がかけられていたのです。絵をかけるためのスペースを作るために、周りもきれいに整理整頓されていて、気持ちのいい空間が広がっています。

すっきり片付けられた部屋に通されながら、どうして絵を買ったのか尋ねると、「海外旅行で使うはずのお金で、これを買っちゃったの」と言うのです。

年に1度、数カ月をかけて海外旅行をするのが、彼女の楽しみ。でも、新型コロナウイルスの影響で、ニュージーランド人や国内居住者は緊急事態でもない限り、今、海外に出ることは考えられません。国境封鎖が続いているからです。

長引く国境封鎖に、人々は海外旅行で使う予定だったお金を別のことに使ったり、買い物をしたりしています。筆者の友人もその1人というわけです。一体なぜ今、絵画を買ったのでしょうか?

室内を見直すきっかけとなったロックダウン

コロナの影響といって誰もがまず思い出すのはロックダウンでしょう。

ニュージーランドでは、国内最大の都市、オークランドで約10週間、ほかのエリアでは約7週間ロックダウンを経験。散歩に短時間出られるだけで、ほぼ1日24時間ずっと家に留まらざるを得ませんでした。

この間、今まであまり気にしていなかった部屋のそこここに目が止まったり、長時間過ごすのなら室内をもっと快適にしたいと思ったりと、インテリアに目を向けた人は少なくありません。

そうした人は家具を新しく買ったり、カーテンを替えたり。はたまた思い切って部屋のリノベーションをしたという人もいました。

ロックダウン後の個展は「今までにない活況」

どうやら筆者の友人はトレンドを先取りする人たちの1人だったようです。公共サービスラジオ局であるラジオ・ニュージーランドは、首都ウェリントンにある画廊、バウエン・ギャラリーズの繁盛ぶりを伝えていました。

ロックダウンの影響で一時キャンセルになった個展を、ロックダウン後、開いてみたところ、ほぼすべての作品が売れてしまったのだとか。オープンして40年という同ギャラリーのオーナーは、この様子を「今までなかった活況」と話しています。

訪れた人が常連だけではなかったと話していますから、より多くの人がアートに興味を持ってやって来たのに違いありません。

ロックダウン中、使わずに済んだ雑費分の数百ドルで気に入った作品を買えればと訪れた人は、「アーティストもコロナで大変なはず。少しでもサポートできれば」と言います。中には自分のためだけでなく、アーティストのことまでを考えて、画廊に足を運ぶ人もいることがわかります。

ギャラリーオーナーも驚く「大型作品まで完売」

オークランドでも画廊盛況というトレンドは変わりません。

オークランド・アートフェアの共同ディレクター、ステファニー・ポストさんによれば、こうした状況は、海外旅行にお金を使うことができないからという理由だけではなく、何よりアートを買って、それを楽しみながら毎日を送りたいという人が増えているからだといいます。

ステファニーさんが主催するオークランド・アートフェアは、毎年2月下旬に5日間にわたって行われています。昨年はコロナのおかげで中止せざるを得ませんでした。今年も最後の1日だけロックダウンとかち合ってしまいましたが、4日間は無事開催され、参加者は約1万人ということでした。

市内の老舗アートギャラリー、ガウ・ラングスフォード・ギャラリーでは、先ごろ、著名なアーティストによるブロンズ彫刻の個展が行われました。どれも大型で、4mにも及ぶ作品もあったそうです。

言うまでもなく、サイズが大きいと、値段も高くなるものです。それにも関わらず、作品は完売。オーナーのギャリー・ラングスフォードさんは驚くやら、喜ぶやら。ニュージーランドも世界のトレンドにやっと追いついたと言います。

低金利下ではアートも投資対象に

ギャリーさんによれば、ベテランアーティストともなると、決して自作に安い値段はつけないものなのだそうです。

ニュージーランド人はそれに気づいており、高額であっても購入する腹づもりはできているはずとのこと。金利が非常に低い現在、人々は資金を投入できる投資対象を探しており、アートもその1つなのです。

ただし、来歴・状態・作者のほか、さまざまな要因でアートの価値は決まるもの。アートを投資対象とする場合は勉強も必要なようです。もちろん、株価下落や、需要と供給の関係などとは無縁なのはいいところといえるでしょう。

ですが、誰も未来を予測できないように、アートの価値もどのように変化するかわかりません。アートに、コロナやロックダウンで疲れた心の癒しを求めるのか、それを投資対象とするのか。両者の違いはずいぶんありそうです。

筆者の友人は、絵画購入の理由を、「毎日楽しい気分でいられるように」と話してくれました。「だって投資したら余計にストレスになっちゃいそうだもの」と笑っていました。

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