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本当にあった!ハゲタカ事件簿 CASE08:圧巻の最終回! 次世代は鷲津が残した教訓を生かせるか?

トウシル / 2018年9月7日 14時21分

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本当にあった!ハゲタカ事件簿 CASE08:圧巻の最終回! 次世代は鷲津が残した教訓を生かせるか?

CASE08:圧巻の最終回! 次世代は鷲津が残した教訓を生かせるか?

スーパーヒーロー不在の現在
我々は次世代が羽ばたける土壌を作れたか?

 日本を象徴する「日本株式会社」だった『帝都重工』。株価が下がらないように、経営陣の指示のもと、目先の決算の“お化粧”を繰り返してきました。「企業のために忠誠を尽くす」企業戦士たちが、それを黙々と実行してきたのです。そして、求められる品質基準を満たしていない製品を、満たしているように品質管理データを改ざんして出荷していることまで、鷲津により暴露されてしまいます。

 この話は、神戸製鋼所のデータ改ざん事件を思い起こさせます。世界中の、航空機・自動車・鉄道車両・建設機械に使われている神戸製鋼の部材。安全基準の問題で、航空機などを作り直さなければならないことになると、巨額の賠償が発生します。

 幸いにして、神戸製鋼所のほぼすべての納入先が「安全面の問題はない」と判断したため、最悪の事態は避けられました。ここからは、神戸製鋼の経営資源である「すぐれた技術力」と「忠誠なる企業戦士」を生かして、再生の道を歩むことを期待しています。

 ドラマ『ハゲタカ』は、1~8話までを通して、1997年から2018年までの日本経済の「歴史」を学ぶすぐれた教科書となっていました。過去はもちろん、今まさに起こっている経済・金融トピックスに基づき、細かい「作りこみ」ができていました。ファンドマネージャーとして、この時代の企業再生やM&A(Merger and Acquisition=合併・買収)をたくさん見てきた筆者から見て、フィクションと思えない臨場感がありました。

 バルクセール、バイアウト、ゴールデンパラシュート、MBO(Management Buyout=マネジメント・バイアウト)、TOB(Take-Over Bid=株式公開買い付け)、ホワイトナイト、クラウドファンディングなどなど、企業再生やM&Aの専門用語がきちんと学べます。これらを理解した後にもう一度見ると、企業再生とは何か、過去や現在の日本に必要な企業理論とは何か、がより深く理解できることでしょう。

 唯一、現実離れしていると感じたのは、鷲津(綾野剛)という企業再生のスーパーヒーローの存在です。現実の再生ファンド運営者は、短期に利益を稼ぎたい出資者の圧力で、理想とする企業再生ができなくなっています。昨今、目立った動きを見せたファンドとして、「村上ファンド」が挙げられますが、2006年、ニッポン放送株でインサイダー取引をしていたとして、代表が逮捕されるに至りました。最初は理想に燃えていたはずが、最後は短期利益を追い求める貪欲なファンドとなった裏には、短期的な利益を求める出資者があったからだ、と私は思います。 “ものづくり大国だったはずの日本を株価至上主義が腐らせた”という鷲津の批判が重く響きます。

 企業再生の理想を追求する鷲津が、外資ファンドを解雇されるエピソードはきわめてリアルでした。最終的に鷲津は、自らの力でファンドを立ち上げ、思い通りの再生を実現します。現在・未来の日本で、こんなスーパーヒーローの出現を見てみたい、と願います。

 

解説:窪田 真之(くぼた まさゆき)
楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト

 

「ハゲタカ」8話おさらい

 データ改ざん、不正会計など不祥事が続く『帝都重工』の社長に就任した鷲津(綾野剛)は、社長就任記者会見の場で「30日以内に『帝都重工』に革命をもたらす」と宣言。『帝都重工』子会社や関連会社の視察を開始する。

 一方『帝都重工』からの契約打ち切りを通告され、新スポンサー探しに奔走していた『スペース・フロンティア・ジャパン』の広報担当・桜井加奈(青野楓)は、独断で鷲津のもとを訪れ、契約解除を撤回してくるよう懇願する。そんな加奈に、鷲津は「近いうちに伺う」と意味深な言葉を残す。

『帝都重工』に革命をもたらすという鷲津。日本の未来のために『帝都重工』を守りたい芝野。そして『帝都重工』の腐敗を利用し、みずからの勢力を拡大しようとする飯島……。老舗の大企業を巡ってさまざまな思惑が渦巻く中、『日光みやびホテル』での会議の日がやってくる。鷲津の最後の戦いがついに始まる!

~トウシル編集部員の視聴後レビュー~ ハゲタカ「ココに注目」!

 空前のバブルに浮かれた身としては、7~8話の展開は痛い言葉だらけでだいぶ堪えました。深く考えず「儲かることが正義」と妄信してきた結果を、痛烈に採点されている気分。鷲津には会いたくないです、絶対怒られるから。でも、黒歴史だとしても、経済の混乱や不祥事など今起こっている問題は、一度立ち止まり、来し方行く末を見直すチャンスになるのだ、とドラマ『ハゲタカ』は教えてくれた気がします。

 最後、鷲津(綾野剛)と貴子(沢尻エリカ)は再会することなくそれぞれの道を歩き始めます。志を同じくする二人は、余計な言葉は必要ないくらい通じ合ってるのかもしれません。それはとても素敵な関係。イケメン&美女の組み合わせなので、見てるほうとしてはキャー♪と下世話に期待したくなりますが、ここで会わないのが”綾野ハゲタカ”の「美学」なんですね。

▼バックナンバー

8/10Released! CASE01:日本初のバルクセール、その背景は!

8/17Released!  CASE02:再生できる企業を見抜くには!

8/20Released!  CASE03:暴かれた「隠し口座」は本当にあった?

8/21Released!  CASE04:敵対的買収に対抗する『ホワイトナイト』とは!

8/22Released!  CASE05:名門電機メーカーの凋落、悲しい日本の現実!

8/24Released!  CASE06:敵対的TOBは減少「表面は友好的に」が定番へ

8/31Released!  CASE07:後をたたない不祥事会見、企業倫理は「再生」できるか?

9/7Released!  CASE08:圧巻の最終回!次世代は鷲津が残した教訓を生かせるか?

 

(トウシル編集チーム)

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