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書店のドン「紀伊國屋」がTSUTAYAと組んだ裏側 紀伊國屋会長に合弁会社設立の狙いを直撃

東洋経済オンライン / 2023年12月19日 7時0分

――出版業界には、出版社が決めた販売価格を書店が守らなくてはならない「再販売価格維持制度」が存在します。これにより、書店が価格決定権を握れないなど、つねに業界の主導権は出版社側にありました。

この業界は書店が非常に弱い立場で、出版社が強かったことは事実だし、今も強い。仲間だから言えるけど、あの4社(小学館、集英社、講談社、KADOKAWA)は強い。

大手4社も協力の意思を示している

――各種の販売施策と並行することで、出版社の収益も拡大できると掲げていますが、電子コミックやライツビジネスの成長が著しい大手出版社は乗ってくるでしょうか。

確かに4社は漫画やアニメ、キャラクタービジネス、それらの海外展開が非常に大きくなった。でも基本的に、ほかの3000社くらいの出版社にそれらはない。東洋経済も含め、5位以下(の出版社)って大変でしょう?

だからたくさんの出版社が、「ブックセラーズと一緒に改革しよう」と思ってくれている。すでに紀伊國屋と朝日新聞出版、TSUTAYAとスターツ出版など、モデルになるような収益向上の事例は出てきている。同じように変えていけばいいわけだ。「紀伊國屋の高井が言ってるから、嫌だとは言えない」という人もいるけどね。

――とはいえ、大手4社が発行する出版物の量は無視できません。

具体的な参加の形はこれから詰めることだが、例えば講談社の野間省伸社長には「協力するよ」と言われている。大手4社に関しては僕が挨拶に行き、4社すべてから協力の意思を示された。

僕が行けなかった出版社にも、CCCの髙橋社長や日販グループホールディングスの吉川英作社長など、出資する各社のトップが設立前から直接説明している。

――仕入れ力の最大化という意味では、出資社以外の書店をより多く巻き込む必要もあります。

「どこまで粗利率が上昇するのか」と懐疑的になっている人もいるし、(日販の競合である)トーハン系列の書店は、そもそも参加が難しいだろう。こういった部分は仕方ないんじゃないの。

ただ書店はね、売上高の上昇や返品率の抑制によって、(現状は2割程度の)粗利率3割が見えてきたら雪崩を打ちますよ。実績が出たら、必ずブックセラーズから発表しますから。そうすれば、「じゃあ、俺のところも」ということになるだろう。

――「業界大手のTSUTAYAと紀伊國屋による出店調整に巻き込まれ、不利益を被るのではないか」などと、他の書店からは難色を示す声も聞こえますが。

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