子どものケンカ「仲直りを促さない」凄い教育の訳 工藤勇一×西岡壱誠「教育の役割」対談【中編】
東洋経済オンライン / 2023年12月22日 6時50分
千代田区立麹町中学の校長として、「宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止」などの教育改革がメディアなどで話題となった工藤勇一氏。現在は横浜創英中学・高等学校の校長として同校の改革に取り組むとともに、『考える。動く。自由になる。――15歳からの人生戦略』などの書籍執筆をはじめ、さまざまな媒体で本質的な教育改革の提言を続けている。
そんな工藤氏に、偏差値35から2浪して東京大学に合格し、『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』などの書籍執筆を続けながら、全国の中高生に勉強法を伝授するカルペ・ディエム社の代表を務める西岡壱誠氏が、教育の本質について聞いた。
前編:「人のせいにする子ども」大量に生んだ日本の教育
対立を乗り越えるための教育
西岡壱誠(以下、西岡):前編で、学校の存在意義には2つあるとおっしゃいましたが、もう1つはなんでしょうか。
横浜創英中学・高等学校の校長として同校の改革に取り組む工藤勇一氏
工藤勇一(以下、工藤):多様性を受け入れ、対立を対話で解決する方法を教える場所だということです。
第2次世界大戦後、ヨーロッパを中心として教育は大きく変わりました。
ヨーロッパは地続きですから、何万年も前から争いが絶え間なく続いてきましたが、さすがに第2次世界大戦はヨーロッパ中のすべての国々に甚大な被害をもたらしました。科学技術の進化により戦争に使われる兵器の威力は計り知れないものになり、多くの建物や人々の命をあっという間に奪いました。
自分の国さえ良ければという考え方では人類は持たない、そんな思いがヨーロッパの教育を変えていったのだと思います。
そもそも、多様な人々が生きていくのだから、対立が起こるのは当たり前。平和で持続可能な社会を築いていくためには、多様性の中で対立を解決する対話の技術を、子どもたちに教えておかなければ、という考え方です。
それが市民教育として広がりました。その基になっているのが民主主義という考え方なのです。
日本の間違った幼児教育
工藤:いったん対立が生まれると、人はどうしても感情的になってしまいます。すると、ますます自分の考えを変えられなくなり、争いは続いてしまいます。
日本社会では人の気持ちを考えて、対立を解決しようとすることを幼いうちから教えられていますが、民主主義的な考え方では、むしろ人の気持ちに目を向けません。互いの利害の対立に目を向けます。国同士の争いごとにおいては、まさに「平和を実現させよう」という上位概念です。これさえ合意できれば、たとえ感情の対立は解決できなくても、互いにとってもっと重要な利害の対立が解決できることになります。
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