障害者雇用「5人→10年で33人」奈良医大の大改革 民間企業の「法定雇用率」が来年から2.5%に
東洋経済オンライン / 2023年12月22日 11時40分
インクルーシブ(inclusive)とは、「全部ひっくるめる」という意。性別や年齢、障害の有無などが異なる、さまざまな人がありのままで参画できる新たな街づくりや、商品・サービスの開発が注目されています。
そんな「インクルーシブな社会」とはどんな社会でしょうか。医療ジャーナリストで介護福祉士の福原麻希さんが、さまざまな取り組みを行っている人や組織、企業を取材し、その糸口を探っていきます。【連載第17回】
来年(2024年)4月から、民間企業での障害者の法定雇用率が段階的に引き上げられる。現行の民間企業の法定雇用率は2.3%、これは従業員43.5人以上に障害者1人の雇用に相当する*。それが来年4月からは同2.5%(従業員40人以上)となり、2026年7月からは同2.7%(従業員37.5人以上)となる。
【写真】パソコンへのデータ入力を行う男性。奈良県立医科大学附属病院では障害者雇用に力を入れている
各企業では身体障害、知的障害、精神障害、発達障害のある人をどのように雇用していくか、検討と実践を重ねている。そこで今回は、奈良県立医科大学附属病院(橿原市)の障害者雇用の様子を紹介したい。
毎日9時から16時まで勤務
精神障害のある角谷(かくたに)翔太さん(28歳)は、2019年から同院に非常勤雇用の形態の1つである時間雇用職員として勤務する。
月曜から金曜の週5日間、毎日9時から16時まで、看護部や薬剤部、人事課、外来化学療法室から依頼された仕事をこなす。取材した日の前日は、午前中に外来化学療法室と薬剤部の作業をした。
外来化学療法室のいすは、がん患者が抗がん剤を点滴するときに使うため、清潔な状態を保つよう白いシーツが敷いてある。このシーツはベッド用のものを使うのだが、サイズが合わない。そこで適当な大きさに裁断して使っている。角谷さんはこの裁断作業を任された。
薬剤部から依頼された仕事では、薬の説明書約400枚を患者に手渡ししやすい大きさに折る。角谷さんはコツコツと仕事をすることが得意だ。
このほか、人事課から依頼される出退勤や年次休暇のデータ入力、文書作成などを担当する日もある。どんな仕事でも、初めて作業するときは必ず依頼者と一緒に作業をし、でき上がりの見本を見せてもらう。障害の特性上、抽象的な表現の指示はイメージしにくいからだ。
仕事が順調に進んでいるときでも、急ぐことなく自分のペースで作業するよう心がけている。職場で悩みや困ったことが起きたときは、1人で抱え込まず上司に相談する。
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