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「過疎ビジネス」にすがった福島・国見町の過ち コンサル丸投げ自治体が陥ったガバナンス不全

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 8時0分

同様の事例は、形を変えて各地で起きる可能性がある。政府は2021年、地方創生に抱き合わせる形で「デジタル田園都市国家構想」を打ち出し、各種の交付金や補助金のメニューを用意した。自治体DXの大潮流が起きた。行政のデジタル化は時代の要請だが、協力する企業は最大利益を合理的に求めるのが常だ。

2022年度の全国の企業版ふるさと納税の寄付総額は2021年度比で1.5倍増の約341億円。寄付件数は1.7倍の約8400件で、いずれも2016年の制度開始以降で最も多かった。国の2023年度当初予算はデジタル田園都市国家構想関係に4兆2000億円を計上、うち地方創生にひも付けられる交付金は1800億円に上る。

地方創生や自治体DXを手がけるコンサルやIT企業にとっては千載一遇のチャンスだ。ノウハウの乏しい自治体は、豊富なデータや知見を持つ民間の力を必要としている。

官民連携を一概に否定するつもりはない。だが、地方創生もデジタルも地域発展の手段であって、それ自体が目的ではない。そして、公金を原資に使う以上は何をするにも確かな民意の裏付けがなければならない。私たちの公金は、一企業が営利のために好き勝手に使っていい代物ではない。

主体性なき自治体の官民連携には、いずれ大きな落とし穴が待ち受ける。持続可能な地域社会の実現には、住民一人一人が自治の主体として権利と責任を意識し、意思決定に関わる不断の努力が欠かせない。

人口減少時代の「限界役場」に巣くう過疎ビジネス。誰もが地域課題に無関心な「お任せ民主主義」が続くようでは、先行きは危うい。

横山勲:『河北新報』記者

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