快進撃のトランプ氏「13指標」で見た再選の現実味 過去の大統領選を的中、リットマン氏に聞く
東洋経済オンライン / 2024年2月28日 9時0分
「②現職大統領の党候補指名に挑む主要な候補者がいない」「③現職が再選を目指す選挙である」は、バイデン大統領が続投を宣言し、主要な党内の挑戦者もいないから、いずれも「真実(イエス)」だ。
「高齢のバイデン大統領は若い世代に道を譲るべきだ」といった不満が渦巻いているが、実のところ、与党・民主党にとって勝利のベストチャンスはバイデン大統領の続投にある。仮に彼が退いたとしたら、上記2つのカギが一転して「正しくない(ノー)」になる。
経済の短期予測がどうなるかは知る由もない
――「④主要な第3党候補者がいない」については、ケネディ元大統領の甥であるロバート・ケネディ・ジュニア氏が昨秋、無所属で大統領選への出馬を宣言し、著名な進歩主義派の学者であるコーネル・ウェスト氏も立候補を表明しています。反トランプ派の急先鋒であるリズ・チェイニー前下院議員(共和党)は、「トランプ復活を阻止すべく、あらゆる手を尽くす。第3政党からの立候補もありうる」と、CNNに語っています。
リズ・チェイニーが出馬するとは思わない。今から始めるのは時期的に遅すぎる。ロバート・ケネディ・ジュニアもコーネル・ウェストも、どれほどの支持を集められるか不透明。④について答えを出すのは時期尚早だ。
――「⑤経済の短期予測が良好である」「⑥経済の長期予測が良好である」は、今のところ、どちらも「真実(イエス)」ですよね。
確かにアメリカ経済は堅調だ。経済の長期予測に関する指標が良好なのはほぼ確実だが、今後6カ月間の短期予測がどうなるかは知る由もない。
――「⑦前政権から政策を大きく転換した」については、国内政策で大きな変化がありましたよね。バイデン大統領は、民主党が上下院を制していた就任後の2年間で、大規模な気候変動対策を盛り込んだ「インフレ抑制法」(IRA)や「インフラ投資法」など、大きな成果を上げたと言われています。
そのとおりだ。トランプ前政権から政策が様変わりした。⑦がバイデン大統領に有利なのは間違いない。「⑧社会不安がない」も目下のところ、バイデン大統領にとってマイナスになるような社会不安はない。
――しかし、アメリカでは、イスラエル・ガザ戦争に対する見方が世代によって違います。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を批判し、大学生などの若者が抗議デモを繰り返しました。この分断が社会不安につながる可能性は?
私が言うところの「社会不安」は、もっと大規模なものを指す。1960年代の公民権運動やトランプ政権下の「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動のように、全米規模で何百万人もの市民が抗議デモに繰り出し、「アメリカ社会の安定を揺るがす」ような現象のことだ。
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