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金利再上昇でも米国株が最高値を更新する理由 今後の日本株の上昇ペースは緩やかになる?

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 8時30分

もちろん、2024年も経済指標のサプライズで金利上昇が嫌気される場面はあるのだが、インフレ制御に成功しつつあるFRBの政策への信認が毀損するまでには至らない。総じて見れば、FRBが想定するとおりインフレは制御されつつあり、「インフレはアメリカ経済の問題にならない」との構図は崩れないだろう。

株高と金利上昇が併存するもう1つの要因は、もし長期金利4%台前半という現在の金利水準が続いても、アメリカでは経済成長と利益拡大の構図が変わらない可能性が高まっていることだ。2023年10~12月期のアメリカ企業決算は総じて堅調で、事前予想よりも1株当たり利益(EPS)は上方修正された。経済の安定が続き、多くの企業の業績改善が続いていることが、株高と金利上昇の併存をもたらしている。

一方、金利上昇の影響で、昨年まで好調だった個人消費には2024年にややブレーキがかかっている。一方で、金利敏感セクターである住宅市場には底入れ感が出るなど、金利上昇が及ぼす影響はややばらつきがみられている。

それでも、金利上昇や引き締め効果によって、経済活動が急失速するリスクはここにきて低下している。この点が、2024年になってからアメリカで金利上昇と株高が併存している2つ目の理由といえる。

2023年とは異なり、2024年はインフレ懸念に起因する金利上昇が、米国株のリスクになりづらくなっている。1月分のインフレ率が市場の予想よりも上振れるなど、インフレリスクは払拭されてはいない。

だが、FRBの利下げ転換までを変えるまでには至らず、FRBへの信認が揺らぐことは想定されない。2024年は株高と金利上昇が併存する時間帯が増え、金利上昇が株式市場の下落をもたらす可能性は低いだろう。

すでに年初来のS&P500の騰落率は約8%に達しており(3月1日時点)、好決算を推進力とした、いわゆるビッグテック株主導での相場上昇は、短期的にはいつ一服しても不思議ではない。だが、FRBの政策運営に対する信認が米国株市場を支える構図は変わらない。そのため、仮に米国株市場が下げるとしても、それは短期的に止まるだろう、と筆者は考えている。

日本株は日銀の政策転換をきっかけに上昇が緩やかに?

ところで、日経平均株価は2月22日に、約34年ぶりに史上最高値を更新した。34年間も最高値を更新しなかったことが世界的には異例なことではあるのだが、インフレ定着を伴う日本経済の正常化が株式市場で評価されたということだろう。

長期的に見れば、今後、日本が再びデフレを半ば放置するような緊縮政策を再び採用しなければ、日経平均が3万円を下回ることはもはやないだろう。日本経済は30年以上も前の平成バブル崩壊後の停滞をやっと克服しつつある、ということだ。

だが、年初からの日本株の大幅上昇は、米国株の上昇に加えて、円安ドル高進行が重なったことで、ほぼ説明できる。米国株の上昇基調は簡単には崩れないため、日経平均株価が4万円をつけたあとも上昇する可能性が高い。

ただ、4月までに予想される日本銀行の政策転換をきっかけに、為替市場ではこれまでの「大幅な円安」の修正が起きるとみられ、今後の日本株の上昇ペースは緩やかになるのではないかと筆者は考えている。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません。当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

村上 尚己:エコノミスト

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