和田秀樹「認知症予防に脳トレは無意味」語る根拠 脳の活性化に有効なのは「他人と会話すること」
東洋経済オンライン / 2024年3月14日 16時0分
内閣府の調査によれば、2025年には65歳以上の認知症患者数が高齢者人口の20%になると推計されています。つまり、5人に1人が認知症になるという計算です。近年は「脳トレ」と呼ばれるパズルが高齢者の間で人気を博していますが、認知症予防の観点では効果がないということもわかっています。認知症を防ぐためには、どうすればいいのか。高齢者の精神医療を専門として6000人以上の高齢者を診察してきた和田秀樹氏が認知症の「真実」を語ります。
※本稿は和田氏の新著『「健康常識」という大嘘』より、一部抜粋・再構成のうえお届けします。
難聴を避ければ認知症のリスクを減らせる
私は高齢者の精神医療を専門として、これまでに6000人以上の高齢者を診察してきました。長い臨床経験のなかには、認知症家族の家族会運営も含まれています。
認知症の人の家族の多くが「ボケるのが怖い」「ボケたくない」と言います。介護などでつらい経験があると、どうしてもそう考えてしまうのでしょう。
世界五大医学誌の一つとされる『ランセット』は、2020年に「12の認知症発症リスク」を発表しました。これは認知症の発症を40%予防、もしくは遅らせるために避けるべきことをリスト化したもので、たとえば「難聴」を避ければリスクを8%減らせるといった具合です。
そのなかの3番目、認知症リスクを4%下げるとされたのが「社会的孤立」です。孤立を避け、仕事や遊びで家族や仲間との交流を持てば身体活動も精神活動も増えて、脳機能の維持に役立つというわけです。
同様に、国立長寿医療研究センターのあるグループが65歳以上の約1万4000人をおよそ10年間にわたって追跡調査した結果でも「配偶者あり」「同居家族の支援あり」「友人との交流あり」「地域のグループ活動に参加している」「就労している」という5項目のすべてを満たす人は、0~1項目しかあてはまらない人に比べて認知症リスクが46%低いとしています。
独居のほうが認知症の進みは遅い
ただし、ここで注意をしなければいけないのは『ランセット』の挙げた「社会的孤立」は、決して「独居の高齢者」を指したものではなく、「社会との接点の有無」を言っているという点です。
たとえ一人暮らしであっても、自発的に社会との接点をいろいろとつくることはできます。老人会や地域サークルに参加するのもいいですし、今はたいていの高齢者がスマートフォンを持っているでしょうから、そこでSNSを活用してみるのも一種の社会交流です。
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