北欧のEV「ボルボEX30」雪上で見せた真の実力 乗りやすく・楽しく・疲れない、ボルボらしさ
東洋経済オンライン / 2024年3月23日 13時0分
ボルボはオマケ(というかこちらが本番か)で、特設コースでのドライブも体験させてくれた。凍結湖を使い、短い間隔のコーンが並べられたコースと、間隔をうんと長くして速度が上げられるようにしたコース、そしてブレーキングとステアリングのコンビネーションを試す、3つで構成されていた。
はたして、シングルモーター・エクステンデッドレンジのEX30は、ひとことで言ってたいへん扱いやすい。スラロームのとき、ハンドルを操作して舵角を決めたあと、強めにアクセルペダルを踏み込むと、リアが流れだす。
「お、いいね。楽しい」と思うが、つぎの瞬間、動きは収束してしまう。なるほど、安定していて、実際の道ではかなり安心な設定だ。
ツインモーター・パフォーマンスは、大きく2つのモードを持つ。ひとつは必要に応じて前輪が駆動される「パートタイム4WD」モードで、もうひとつはつねに前後輪に駆動力がかかっている「パフォーマンス4WD」モード。
車両の挙動を安定させるのが目的のパートタイム4WDモードでは、予想したとおり、動きが乱れない。それでいて、スラロームでは立ち上がりからの加速が、後輪駆動モデルよりあきらかに速い。
乗りやすく・楽しく・疲れない
一方のパフォーマンスモードは、慣れないとスリルもある。前輪が車両を強めに引っ張っていくので、後輪駆動モードと同じつもりでコーンを通過して曲がろうとすると、自分の考えより車両が先へと行ってしまうのだ。もっとも、慣れればこちらのほうが楽しい。
直進状態での加速は、ツインモーターのパフォーマンスモードが目を見張るほど速い。さすが543Nmものトルクをぱっと出すモーターだけある。「ここ雪の上だよね?」と一瞬、疑問が頭をよぎるほど、矢のように安定した加速を見せるのだ。
そのあと、思いっきりブレーキングをしてすぐハンドルを切って、目の前に設置された障害物(これをボルボでは路上に飛び出してきたトナカイにたとえていた)を避けるテストでは、車載コンピューターが加速とブレーキをコントロールしているおかげで、まっすぐ進んでしまうことはなく、最終的にハンドルを切ったほうにすっと曲がっていけるのだった。
ひとことで言って、コントロール性が高い。それでいて、楽しさがある。そして、疲労感がない。ボルボのエンジニアによると、同社はスウェーデン陸軍による「雪の状態を表現する200とおりの言葉」をシェアしているとのこと。
こういうところが、自動車好きの心をくすぐり、そして「いいクルマづくり」につながると熟知しているのだ。
小川 フミオ:モータージャーナリスト
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