フィリピン「ラスプーチン」で新旧大統領派が激突 指名手配犯の新興宗教教祖がカギを握る政局
東洋経済オンライン / 2024年3月28日 8時20分
ところが、その5日後の1月31日、アメリカ連邦捜査局(FBI)はキボロイ氏と側近2人を重要指名手配容疑者とする手配書を公開した。アメリカでの演奏会出演や留学、結婚など虚偽の名目で、フィリピン人信者にビザを取得させて入国させ、旅券を取り上げたうえ、車内に寝泊まりさせながら、フィリピンの子どもたちへの寄付名目でノルマを課して街頭募金をさせたとされる。
ほかにも家事手伝いや性行為を強要したとする労働法違反や人身売買、現金密輸、資金洗浄などの違法行為が列挙されている。2014からの約6年間で約2000万ドルを集め、団体の運営費、キボロイ氏や側近の贅沢三昧のために使ったという。偽装結婚は20年間で82件にのぼる。
アメリカ連邦大陪審が2021年11月10日、キボロイ氏を強制、詐欺、強要による性的人身売買および児童の性的虐待、現金密輸の罪で起訴し、逮捕状を出していた。
アメリカ政府の措置を受けてユーチューブ、TikTok、フェイスブック、インスタグラムは2023年8月までに規約違反などを理由にキボロイ氏と教団に関連する多数のアカウントを削除した。
フィリピンのネットメディア・ラップラーはキボロイ氏と教団がアメリカ・カリフォルニアとラスベガス、カナダに少なくとも計4つの邸宅(計1083万ドル)を所有していると報じた。
さらにフィリピン国内では膨大な不動産のほか、キボロイ氏の名をとった「アポロエア」で2機の航空機と3機のヘリを所有し、ドゥテルテ氏以外にも支援する政治家には選挙戦の足として提供している。
前大統領は2016年、ダバオ市内の3つの不動産と2台の車をキボロイ氏から贈られたことを明らかにしている。「教祖は気前がよい。買い物をするときは2つ買って、1つを私にくれる」と話していた。
ドゥテルテ氏はまた、持病の治療でアメリカの高名な脳外科医を紹介してもらい診察費を負担してもらったと告白している。要は、ずぶずぶの関係なのだ。
偽情報拡散と左翼とのレッテル貼り
FBIから指名手配されても、国内では政権交代後も教祖や教団は安泰とみられていた。先の選挙ではボンボン氏とドゥテルテ氏の長女サラ氏の正副大統領候補のコンビを教団ぐるみで応援し、マルコス氏とドゥテルテ氏の蜜月が続く限り、捜査の手が及ぶこともないと見られていた。
ところが両派の関係が2023年の途中から急速に悪化したことで風向きは変わった。SMNIの番組でドゥテルテ氏自身や側近がマルコス派を批判したことが引き金となった。
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