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ポール与那嶺氏語る「日本企業が世界で戦う鍵」 ポール与那嶺さんにインタビュー(後編)

東洋経済オンライン / 2024年3月29日 11時0分

それと、ホノルル市内で鉄道ができつつありますが、駅周辺の都市開発、住宅開発、エネルギー事業の開発などで、ハワイとしてもっと日本と協業し密接になる必要があると考えています。

―――どのような開発ニーズがあるのでしょうか。

ハワイの喫緊の課題は住宅価格が高すぎることです。土地があるのになぜこんなに住宅が高いのか。オアフ島では土地面積の8%しか使われていなくて、残り90%は更地です。農地もあれば環境面で保護している土地もありますが、基本的にインフラが整っていません。

今回ようやくできる鉄道は20駅あって、一度乗ればすぐにわかると思いますが、(沿線は)土地だらけです。鉄道をベースに各駅周辺の住宅、ホテル、観光開発で新たなコミュニティーをつくり分散していけば、不動産価格の問題やオーバーツーリズムの問題もまだまだ解決していけると思うんですよね。

ハワイの企業はつねにアメリカ本土に行ってゼロから学ぼうとするのですが、日本を見習ってできる政策があると思うのです。みなさん同じことを考えているとは思うのですが、誰にお願いすればいいのか、誰と会えばいいのかわからないわけですよ。そこをつなぐことができないか、そう考えています。

―――日本経済は失われた30年ともいわれますが、今、円安が進み、海外から投資が向かう流れにあります。現状をどうご覧になっていますか。

日本は全世界ベースで今いちばん魅力的な国だと思います。安全安心で安くて食事もおいしく、サービスは最高で、インフラがうまく機能して、不動産も高くないですし、投資先としては魅力的ですよね。欧米の金利が高いので、それに比べると安い。世界的にこれほど素晴らしい国はないわけですよね。

ただ、今後、海外から投資がいっぱい日本に入ってくるときに、日本の社会がどう変わっていくのか、ものすごく心配しています。

海外の投資家が入ることで完璧な資本主義になるわけですから。四半期決算経営で株価はつねに上がっていかないといけないというメンタリティーになる。お客さんや社員のことも大事だけど、株主のほうに向かなければならなくなります。

でも、社員を守ってお客さんにもいいサービスを提供していこうという日本的な企業経営の考え方を、海外からの投資家に破壊してもらいたくないですよね。株主のいいなりにならないようにするにはやはり、企業として強くなっていかなくてはいけない。

日本の企業も上場していればグローバルで売りに出しているわけですから、今こそ、企業としてもう一段、グローバルという観点でマインドセットを変えて、日本人としての自信やプライドを持ちながら走り出す時期に来ていると思います。

走りながら、間違っていたら方向転換

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