新幹線だけではない「鉄道・運輸機構」の仕事とは? 「JRとは違う」藤田理事長に直撃インタビュー
東洋経済オンライン / 2024年4月1日 6時30分
そうです。地質などの状況を考えながら私たちが決めています。
JRやゼネコンとの関係は?
――工事現場ではゼネコンも活躍しています。JRTTとゼネコンの役割分担は?
設計、発注、施工管理を行うのが私たちで、ゼネコンさんが実際に工事を行います。ゼネコンに限らず、電気の会社、設備関係の会社などさまざまな企業がプロジェクトにかかわっています。それをトータルでマネジメントしてプロジェクト全体を進めるのが私たちの仕事です。
――JRが工事に注文をつけることはあるのですか。
運行ダイヤを想定しないと駅や車両基地の設計ができないので、計画段階からJRの要望を聞きます。例を挙げれば、整備新幹線は時速260kmの規格で造りますが、JR北海道は今JR東日本が東北でやっている時速320km運転を北海道でもやりたいということで、JR北海道に追加の費用負担をしてもらって私たちが施工しています。このようにJRとは密接に連絡を取り、実際に運転するときの状況を考えながら計画しています。
――駅舎のデザインは?
私たちがデザインやコンセプトを地元の市町村に複数案をお示しして、その中から地元で選んでいただき、それを元に具体的な作業に入ります。なるべくその地域を反映するような特徴的なデザインにしたいと思っています。
――全国のあちこちでお仕事しているのですね。
整備新幹線の現場は全国にあります。2022年秋に長崎と武雄温泉を結ぶ西九州新幹線が開業して九州の仕事はピークを越えました。その後、北陸新幹線の金沢―敦賀間の工事が佳境を迎え、3月に開業しました。そして今度は北海道新幹線に注力しているわけです。現場が移るたびに、私たちも全国をあちこち移動しながら働いています。
――ということは、北陸新幹線の工事が終わって人が余るということはない?
ないですね。これからは北海道やリニアに人を振り向ける方向になっていきます。新幹線の場合、どうしてもほかの公共事業の場合と比べて事業量の変動が大きいので法人運営上の苦労がつきません。そこはいろいろやりくりしながら必要な体制を確保していきます。
――リニアにはどういう形でかかわっているのですか。
リニアは事業主体がJR東海で、整備主体もJR東海。私たちは全体の建設工事のうち首都圏の非常口、長野県と岐阜県の間のトンネルなど一部区間を受託しています。
――相鉄・東急直通線もJRTTが建設したのですね。
2005年に施行された都市鉄道等利便増進法に基づく受益活用型上下分離方式という仕組みを使って、われわれが施設を整備・保有しています。ほかの首都圏の路線では私たちが建設して鉄道会社に譲渡するという形が中心です。
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