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東京に「フォーミュラE」は本当に必要なのか? 「おもしろかった」で終わらせない議論を

東洋経済オンライン / 2024年4月6日 11時20分

こうした最新の各種規定については、レース開催初日に日産が自社ピットで報道陣向けに実施した技術説明の際に確認した。

F1とは違う「対決方式」の予選

話を本稿冒頭の「意外におもしろかった」という部分に戻そう。「懐疑的」という見方については、その多くがF1を筆頭とする一般的なモータースポーツとの比較によるものだ。中でも、音の問題が大きい。

モータースポーツでは、エキゾーストノートと呼ばれる排気音も人の気持ちを高揚させる醍醐味のひとつであったが、BEVのフォーミュラEにエンジン音や排気音はない。比較的音量レベルが低い高周波のモーター音がするだけで、コーナーでのタイヤのスキール音も、さほど目立たない。

そうした静かな空間の中でマシンの挙動を見ていると、路面のギャップを通過する際、マシン全体がガタガタと響いていることがわかる。F1など、既存のモータースポーツに慣れ親しんだ人にとっては、レース現場で「無機質さ」を感じるかもしれない。

レース規定でも、F1とは違いがある。F1の予選は、予選中のラップタイムで競われるが、フォーミュラEの予選は、準々決勝・準決勝・決勝と対決して勝ち上がっていく方式で、見応えがある。

また、決勝には「アタックモード」という要素もある。これは、通常300kWの最高出力を一時的に350kWまで引き上げるモードだ。しかし、このアタックモードを使用するには、ひとつのコーナーに設定される「アクティベーションゾーン」を通過する必要があり、そこを通過するときはタイムが落ちる。

決勝レースでは、タイヤ交換や充電などのためのピットストップが義務付けられていないので、アタックモードによるチーム戦略がレース勝敗を大きく左右するわけだ。こうした「これまでにないレース規定」に対して、「ゲーム性が強くて馴染めない」という、既存モータースポーツファンの声がある。

その他、コース設定についても、市街地レースに特化したフォーミュラEはコース幅が狭く、抜くポイントがあまりないことをネガティブ要因として挙げる人もいるようだ。

参戦「する/しない」メーカーの捉え方

このように、さまざまな点で違いのあるF1とフォーミュラEは、参戦するチームや自動車メーカーの捉え方も違う。

現在のフォーミュラEには、日産、ポルシェ、ジャガーなどがメーカー本社直轄のいわゆるワークス活動として参戦している一方で、メルセデス・ベンツ、アウディ、BMWが近年、相次いで撤退している。

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