中古車大手ネクステージ社長が語る「信頼回復の道」 不正撲滅に「インセンティブ廃止」の大ナタ
東洋経済オンライン / 2024年4月9日 7時50分
――そうはいっても、インセンティブ廃止後に付属品・金融商品の販売といった「付帯ビジネス」が一時低下しました。
あれはインセンティブがなくなったから落ちたわけではない。当時は記者やYouTuberが店舗に来ることなどもあって、従業員が警戒・萎縮して活動量が低下してしまった。過度に慎重になり、お客様に保険やローンを勧めなかったりしたことがあったと思う。
だが、われわれは業務マニュアル、プロセス評価を含めて間違ったことをやっているわけではないので、少しずつ付帯ビジネスは回復している。
――インセンティブ撤廃について、従業員から「給料が下がる」という不満の声はなかったのでしょうか。
業界的にもベースアップの流れはあるので、会社全体の給料の平均値と中央値は上がっている。ただ、トップ・オブ・トップの営業マンは、人によっては3割ほど給料が下がった。
しかし、彼らからの苦情はあまりなかった。会社の今後の方針などを、個別でしっかりと話して納得してもらった。
クレームを減点項目から外した
――インセンティブ以外に廃止した制度はありますか。
以前はお客様からクレームが来ると、そのクレームを受けた従業員や店長の評価が下がる仕組みにしていたが、それも廃止した。クレームが評価の減点項目だと、クレームが発生してもそれを報告せずに隠蔽してしまう可能性があるからだ。
――浜脇氏が退任し、創業者の広田会長が社長にカムバックする形となりました。会社を変革するには、新人材の登用が必要ではないですか。
この会社は私が作った会社だ。私の会社なので、私自身が変わることによって会社自身も変わると思っている。リーマンショック時に会社が潰れかけたりするなど、これまでも様々な問題に直面してきた。そういう時もすべて、私が作った会社だから私が守るしかないし、私が変わるしかないと思って乗り越えてきた。今回も、自分が変わることで会社も変わると思っている。第一歩は私が変わることだ。
――業界最大手だったビッグモーターの弱体化は、ネクステージにとってチャンスですか。
買い取りにおけるお客様の満足は結局、「高値で買ってもらえること」だ。その点に関して、かつてのビッグモーターはすごかった。しかし、そのブランドが毀損して販売力が低下したことや、資金的に苦しくなったことで、積極的な買い取りができなくなり、当社の買い取り台数は増加している。
また、ビッグモーターは国土交通省から工場の指定取り消し処分を受けているので、その影響で“整備難民”となった方の当社への流入もある。
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