尾上右近「カレー」と「歌舞伎」をつなぐ仕事観 年間360食「無類のカレー好き」で独自の存在感
東洋経済オンライン / 2024年4月13日 11時0分
歌舞伎俳優でありながら、七代目清元栄寿太夫という顔も持つ尾上右近さん。「1年間に360食のカレーを食べる」というカレー愛が高じて、著書『尾上右近 華麗なる花道』を上梓した。そのカレー偏愛をひも解くと、マルチな活躍の裏側に隠された、歌舞伎への熱い思いとその仕事観が見えてきた。
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きっかけは歌舞伎座近くの「ナイルレストラン」
年間360食カレーを食べ、歌舞伎の自主公演では自身がプロデュースしたレトルトカレーを販売するほどの無類のカレー好き。最近は「『名前は出てこないけど、カレーの人でしょ?』って言われる」という歌舞伎俳優の尾上右近さん。
バラエティ番組などでカレーを食べ歩いたり、熱く語ったりする姿を目にしたことがある人も多いだろう。
歌舞伎俳優でありながら、七代目 清元栄寿太夫も襲名、最近では映画やドラマ、バラエティ番組などでもマルチに活躍する右近さんだが、曾祖父は六代目尾上菊五郎、母方の祖父は昭和の名優 鶴田浩二、という華々しい血筋でもある。
カレー好きになったきっかけは、歌舞伎座近くにある「ナイルレストラン」(以下、ナイル)。歌舞伎俳優でファンを公言する人も多い、1949年創業の日本最古のインド料理店だ。
「最初に食べたのは10歳のとき、父に連れられて。僕は”洗脳”って呼んでいるんですけど、お父さんがナイルが好きで、子どもを連れていって、子どもが好きになって……という、もはや(歌舞伎業界の)ある種の伝統ですよね」
親が子をナイルに連れていって、脈々とナイルファンが受け継がれていく様を右近さんはそう語る。
多いときは1日1回ペース、公演時間の都合や地方公演などがあると1〜2週間に1回程度になるというが、それでも今なお定期的にナイルに通う。ナイルに行かない日でも、東京、地方問わず、右近さんの主食はカレーだ。
年間360食カレーでいい
歌舞伎俳優というと、差し入れもあれば、会食なども多いだろう。しかも、東銀座界隈には有名店や話題の飲食店があふれている。にもかかわらず、年360食カレーでよいのだろうか?
「食べること自体好きなので、お肉もお寿司もハンバーグも好きだし、ラーメンだって好き。差し入れでテンションが上がるものもあります。でも、自分で選ぶとカレーになりますね」
その理由は、カレーとそのほかの食事の位置付けの違いにあるようだ。
「誰かと一緒に食べるときって、しゃべるために行くみたいなところがあるじゃないですか。でも、カレーはすぐ出てきて、すぐ食べ終わってしまうから、コミュニケーションには向いていない。僕がカレーを食べるときは、ほとんどしゃべらないので、誰かとはあまり行かないんです」
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