中国ファーウェイ、米制裁の痛手から「全面回復」 2023年決算は3年ぶり増収増益、先行きにも自信
東洋経済オンライン / 2024年4月16日 18時0分
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の業績が、アメリカ政府の制裁の痛手から全面回復を見せている。
【写真】広東省深圳市に広大な敷地を持つファーウェイの本社地区(同社ウェブサイトより)
同社は3月29日、2023年の通期決算を発表。それによれば、売上高は前年比9.64%増の7042億元(約14兆7405億円)、純利益は前年の2.4倍の869億5000万元(約1兆8201億円)を記録し、3年ぶりの増収増益を達成した。
「目下の経営状況は予定通りだ。2024年は『鴻蒙』のエコシステムが本格稼働する最初の年になる。第1弾の200を超えるアプリケーションの開発を急ピッチで進めている」
ファーウェイの輪番董事長(訳注:交代制の会長職。任期は6カ月)を務める胡厚崑氏は、決算発表の声明の中でそう述べ、独自開発したOS(基本ソフト)の「鴻蒙(ホンモン、英文名はハーモニーOS)」を中核にしたさらなる事業拡大に意欲を示した。
5Gスマートフォンを再投入
事業分野別の業績に関して、胡氏は「通信事業者向けのICT(情報通信技術)インフラ事業は安定的に推移し、コンシューマー向け端末事業は計画通りだった。クラウドコンピューティング事業とデジタルエネルギー事業は順調に拡大し、スマートカー・ソリューション事業は本格成長のフェーズに入った」とそれぞれ評価した。
各分野の2023年の実績は、ICTインフラ事業の売上高が前年比2.3%増の3620億元(約7兆5775億円)。アメリカの制裁の打撃が最も大きかったコンシューマー向け端末事業は、5G(第5世代移動通信)スマートフォンの再投入が起爆剤となり、2023年の売上高が前年比17.3%増の2515億元(約5兆2644億円)に回復した。
クラウドコンピューティング事業の2023年の売上高は553億元(1兆1576億円)と、前年比では21.9%増加したが、2022年の高い伸び率(125%)には及ばなかった。デジタルエネルギー事業の売上高は前年比3.5%増の526億元(1兆1010億円)だった。
注目を集めるスマートカー・ソリューション事業は、2023年の売上高は47億元(約984億元)と規模はまだ小さいものの、前年の2.3倍という分野別で最も顕著な伸びを示した。
地域別の業績に目を移すと、2023年は中国国内の売上高が前年比16.7%増加し、総売上高の67%を占めた。
中国以外では、南北アメリカ地域の売上高が(南アメリカでの好調により)同10.9%増加。一方、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)地域の売上高は前年比2.6%、中国を除くアジア太平洋地域は同14.6%の減少をそれぞれ記録した。
研究開発への積極投資を継続
ファーウェイの2023年の研究開発投資額は1647億元(約3兆4475億円)と、前年比2%増加した。これは総売上高の23.4%に相当する額であり、(アメリカの制裁発動後に開始した)積極的な研究開発投資を続けていることが示された。
なお、2023年の純利益が大幅に増加した背景には特殊要因もある。ファーウェイは2021年に、スマートフォンのサブブランド「栄躍(Honor)」の事業と「x86」規格のサーバー事業を分離・売却した。
決算報告書によれば、ファーウェイは2つの事業売却の対価を複数年に分割して受け取っている。これらの取引を通じて手にした金融資産の公正価値(時価ベースの評価額)が大幅に上昇したことにより、313億2900万元(約6558億円)の利益押し上げ効果があったという。
(財新記者:張爾弛)
※原文の配信は3月29日
財新 Biz&Tech
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