すがった海外「腎臓移植」"地獄"を見た患者の末路 海外「臓器売買・斡旋」の闇を追うルポタージュ
東洋経済オンライン / 2024年4月20日 19時0分
ロシア軍の侵攻により世界中から注目を集めることとなったウクライナだが、国民の所得水準は驚くほど低く、金銭と引き換えに自らの臓器を差し出すケースがたびたび確認されているという。
ウクライナ南部に住む女性もブローカーの誘いに乗り、日本人女性に腎臓を提供した。対価として得たお金は娘の学費などにあてられた。
「貧しい国の人が自ら望んで腎臓を売る。腎臓をもらいたい先進国の患者が金を出す。一見すると、双方にメリットがある『ウィン・ウィン』のような関係にも見えるが、果たしてそうだろうか?」
そう問いかけるのは、読売新聞社会部取材班による執念の調査取材をまとめた『ルポ 海外「臓器売買」の闇』だ。
同班によるスクープは2022年8月7日の読売新聞一面を飾り、その後、臓器移植を斡旋していたNPOの理事長は逮捕。同班はこの記事を発端とする海外臓器売買・斡旋に関する一連の報道で、2023年度の新聞協会賞を受賞している。
本記事では同書から一部を抜粋、再編集。前後編に分けて告発のきっかけとなった日本人女性の悲劇を掲載します。今回は後編です。
前編「海外での腎臓移植を望む50代女性が陥った"罠"」はこちら
目が覚めたらホテルに
入院から2日後の12月18日。病院5階にある手術室で、エレナの体内から摘出した腎臓を本田に移植する生体腎移植手術が行われた。
手術後、本田は意識が朦朧(もうろう)とした状態が続き、はっきりと目が覚めたのは1週間近くたった時だった。
そこは病室ではなく、ビシケク市内のホテルの一室だった。現地で「3つ星」とされるホテルで、客室は小綺麗だったが、臓器移植を受けた直後の患者が療養できるような場所でないことは明らかだった。
背中に、ナイフで刺されたかのような激痛があった。本田は、日本にいるNPOの菊池から電話を受けた。
菊池「もしもし、聞こえますか」
本田「聞こえてますけど」
菊池「歩くと痛いの?」
本田「もちろん、手術したから傷口が痛いに決まっているでしょ。25センチも切ったんですよ。最初は5センチと言われていて」
菊池「痛いといっても、(リハビリのために)動かないと余計ダメなんですよ。今回、リハビリが遅くなったので。麻酔から完全に覚めるのに2、3日かかったんですか?」
本田「手術日入れて4日かかりました。意識朦朧で。私、麻酔の事故だと思いますよ」
菊池「麻酔の量が多かったと思いますよ」
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