トップ10には1社だけ「日の丸半導体」残念な現在地 日本経済の「失われた30年」と重なる凋落の軌跡
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 13時0分
ヨーロッパは、1990年の9%から、2000年、2010年、2020年にはそれぞれ9%、8%、6%と低位で推移し、日本とともにこの4つの地域では最下位の位置に甘んじています。
いっぽう日本は、1990年には49%と世界トップを占めていましたが、その後、2000年、2010年、2020年にはそれぞれ25%、17%、6%と奈落の底に転げ落ちるように右肩下がりでシェアを減少させ続け、1990年からの30年間でなんと43ポイントも減らし、最下位まで落ちています。
これらの数値からわかるように、半導体市場の世界シェアとしてはアメリカが堅実にシェアを伸ばし、アジアパシフィックは大幅に躍進し、日本は凋落し、ヨーロッパは低位低迷を続けているといえます。
「失われた30年」と日本メーカーの凋落
先ほどのグラフにはありませんでしたが、日本は1980年代後半には50%を超える世界市場シェアを誇り、「日の丸半導体」とまでもてはやされていた時期がありました。
その日本の半導体産業はそれ以降凋落の一途を辿り、2020年にはわずか6%のシェアに落ち込んだのです。まさに日本の失われた30年(あるいは35年)を絵に描いたような状態が半導体業界を直撃したのでした。
ここでは国レベルではなく、企業レベルで「日本の半導体メーカーのポジションの変化」を捉えてみましょう。
1986年時点では、世界半導体市場におけるメーカー別シェアで、1位から10位までを見てみると、NEC、日立、東芝、モトローラ(アメリカ)、TI(アメリカ:テキサス・インスツルメンツ)、フィリップス(オランダ)、富士通、松下、三菱電機、インテル(アメリカ)と、トップ10の中に日本メーカーは6社が占め、しかもトップ3を独占していました。
次の1989年になっても、メーカーの順位に多少の変化は見られたものの、トップ10のメンバーの顔ぶれとトップ3メーカーに変化はなく、日本メーカーの存在感がむしろ増していたといえます。
1992年になると、トップ10のメンバーは変わっていないものの、インテルが一気にトップに躍り出ています。1991年からの日米半導体協定の影響が見られ始めているようです。
大きく変わった「トップ10」の顔ぶれ
1996年にはインテルがトップのままで、日本メーカーが1社減って5社になるとともに、新たにサムスン(韓国)とSGSトムソンがランクインしています。
SGSトムソンはイタリアのSGS社、フランスのトムソン社の半導体部門の合併により生まれた会社でしたが、その後、トムソンが撤退したため、1998年には社名をSTマイクロエレクトロニクス(本社はスイス、登記はオランダ)と変更しています。
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